はじめに
当クリニックの外来には「腰痛の手術をしたくない」、あるいは「手術をしたけれど良くならなかった」という患者様が非常に多く来院されます。
なぜこれほどまでに多くの方が腰の手術を避けたがるのか、そしてもし手術をして良くならなかった場合にどう備えるべきかについて、実際のデータや論文の裏付けをもとに詳しく解説していきます。
今回の記事では、野中腰痛クリニックのYouTube動画『【見なきゃ損!?】脊椎術後疼痛症候群(FBSS)とは!?【腰痛手術前必見】』より、手術前に知っておきたい外科的手術後の症状について解説します。
動画で詳しく見たい方はこちら▼
目次
なぜ多くの患者様が「腰の手術」をためらうのか?

なぜ患者様はメスを入れたりボルトを入れたりする手術を嫌がるのでしょうか? その主な理由は、ご自身の周囲の環境からの情報にあります。
- 周囲からの反対
多くの患者様は、ご家族やご友人など身近な方から「腰の手術はやめておいた方がいい」と止められることが多いようです。
- 「生き地獄」への恐怖
腰の疾患はがんなどのように命に関わるものではありません。だからこそ、万が一失敗して痛みやしびれが残り、日常の生活ができなくなることを恐れるのです。
- 医師からの忠告
整形外科の医師自身から、年齢やリスクを理由に「手術はちょっとやめておきなさい」と止められるケースもあります。
手術後も痛みが残る「FBSS(脊椎術後疼痛症候群)」とは
腰の手術をしたにもかかわらず、「痛みやしびれが取れない」「一度は良くなったがまた再発してしまった」という状態のことを、医学用語で「FBSS(脊椎術後疼痛症候群)」と呼びます。
手術をきちんと行ったのになぜこのようなことが起きるのでしょうか? それには以下のようないくつかの原因があります。
- 神経周囲の癒着
手術で悪い部分を取り除いても、元々神経が傷んでいたり、神経周囲の癒着が起こったりすることで痛みやしびれが残ることがあります。
- 隣接障害
ボルトで腰を固定して安定化させる手術は50年以上前から行われています。しかし、一部を固定してしまうと、その上下の椎間板や関節に今までの2倍以上の負担がかかり、そこが壊れていく「隣接障害」が起こりやすくなります。
- 除圧の不十分さ
人間の手で行う以上、どうしても悪い部分を取りきれないなど、手術による処置が不十分になってしまう可能性もあります。

データで見る腰痛手術と再手術の成功率
「手術をしてあまり良くなかった」という声は、果たしてデータ上でも本当なのでしょうか?ここで、論文などのデータに基づいた実際の成功率・満足度を見てみましょう。
手術後の満足度と再手術の成功率
状況 成功・満足している割合 微妙・良くなかった割合 2回目の手術 約50% 約50% 3回目の手術 約25% 約75% 4回目の手術 約5% 約95%
| 状況 | 成功・満足している割合 | 微妙・良くなかった割合 |
| 2回目の手術 | 約50% | 約50% |
| 3回目の手術 | 約25% | 約75% |
| 4回目の手術 | 約5% | 約95% |
一度手術をして痛みが再発してしまった場合、2回目、3回目と再手術を検討される方もいらっしゃいます。しかし実はデータ上、再手術は繰り返すたびに成功率が大きく低下することが分かっています。
脊椎術後疼痛症候群(FBSS)に関する有名な医学論文(※)でも、『2回目の手術成功率は30〜50%、3回目は15〜25%、4回目になるとわずか5%にまで落ち込む』と報告されています。
つまり、手術を繰り返せば良くなるというわけではなく、むしろ『やればやるほど治りにくくなる(4回目はほぼ外れを引く確率になってしまう)』というのが、腰痛手術の厳しい現実なのです。
(※参考:Pain Medicine誌 "Failed Back Surgery Syndrome" などの研究報告より)
手術前後に知っておくべき「最大の対策」
手術の満足度が低い可能性があると分かっているなら、手術をする前から対策を考えておかなければなりません。
痛み止めを正しく服用する(保存治療)
「痛み止めは根本治療じゃないし、副作用が嫌だから飲みたくない」という方が多くいらっしゃいます。 しかし、これは大きな誤解です。
痛みを我慢して3ヶ月経過すると、脳の中枢で痛みに対する感受性が上がり(閾値が下がり)、慢性的に痛みを感じやすい体になってしまいます(痛みの記憶)。これを防ぐためにも、痛み止めを飲んで痛みの程度を下げることが非常に重要です。

リハビリとダイエット(保存治療)
リハビリで関節の可動域を広げたり、筋力をつけたりすることが大切です。また、ダイエットで痩せることも、腰の負担を減らして悪化のスピードを予防するために非常に重要です。これらは手術後だけでなく、手術の前から準備として行っておくべきです。

最先端の「椎間板治療」という選択肢
当院では、北米の治療法を導入し、メスを使わずに細胞の修復を促す「椎間板治療」を行っています。これは手術前の患者様だけでなく、手術後の患者様にも適用可能です(一部例外を除く)。再手術を検討しているものの、成功率の低さに悩まれている方は、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ:事前準備があなたの腰を守る
通常の診察の短い時間(約5分)では、医師からこうした詳しいリスクや対策について説明を受けられないことも多いのが実情です。
一発逆転の手術はありません。手術後にも良くならない可能性がそれなりに高いことを事前に理解し、適切な薬の服用やリハビリなどの綿密な準備を行うことが、患者様の幸せと健康の維持につながります。
ご自身の体を知り、後悔のない選択をしていきましょう。当院ではそのためのサポートを全力でさせていただきます。
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ご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。MRI画像からあなたの症状に合わせた治療を提案いたします。
今回ご紹介した当院の治療法
ディスクシール治療
この記事の著者
大阪本院 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任、2025年:研修を経て10月に頚椎ディスクシール治療ライセンスを獲得