脊柱管狭窄症
/ 原因と治療法

脊柱管狭窄症とは

背骨の中にある神経の通り道が狭くなった状態を指します。そして神経の通り道を脊柱管と呼びます。
背骨は図にある様に大きく分けると、①骨②椎間板③神経④黄色靭帯(おうしょくじんたい)の4つから出来ています。

正常な椎間板

正常な椎間板(側面図)
正常な椎間板

脊柱管狭窄症とは、上記の脊柱管が狭窄(きょうさく=狭くなる)することにより神経(脊髄)が圧迫される病気です。特に脊柱管が腰の部分で狭くなる病気のことを腰部脊柱管狭窄症と言います。腰部脊柱管狭窄症は腰椎の不安定性が原因の場合、身体の動きで痛くなることが多いです。

脊柱管狭窄症には ①神経根型 ②馬尾型 ③混合型(神経根型と馬尾型のミックス) の3タイプがあります。神経根型は比較的治りやすく保存療法(薬やリハビリ等)を選択する場合が多いです。馬尾型や混合型では外科的手術等をしなければ症状が改善しないケースが多い事が分かっています。

神経根型

脊柱管狭窄症(神経根型)

馬尾型

脊柱管狭窄症(馬尾型)

混合型

脊柱管狭窄症(混合型)

脊柱管狭窄症の症状

脊柱管狭窄症になると、腰や足にしびれや痛みが現れます。例えば、長時間正座をしていると、大腿(ふともも)の裏側にある坐骨神経が圧迫され、足がしびれ、引き続き圧迫が続くと足に痛みが出現するのと同じです。また初期の症状では神経の圧迫が強くないため、しびれや痛みが感じない状態でも、運動を行った時に圧迫が強くなり、しびれや痛みが強く出現する事があります。その様な運動時にしびれ、痛みがでる現象を間歇性跛行(かんけつせいはこう)と言います。間歇性跛行とは、歩行時にふくらはぎなどの筋肉が痛み、歩きつづけることができない状態を言います。

脊柱管狭窄症の原因

歩きにくい、太ももに痛みや痺れがでる、歩行中に痛みがでて休憩するとまた歩けるようになる、背筋を伸ばすと腰に痛みがでる、立ちっぱなしになると痛い、寝起きの立ち上がりが辛い、脊柱管狭窄症が原因で歩行が困難、歩くと途中で休憩しなければ歩けないなど日常生活に支障をきたす症状が多く、神経からくる症状も出やすいことが特徴です。
神経を圧迫するこれらの症状にはいくつかの原因が考えられますが近年その原因が明らかになってきました。最近の研究結果から「根本原因の一因に椎間板の損傷が関与している」という事が分かってきました。その理由を以下に説明していきます。

幼少期には慢性的な腰痛が出現しませんが、クッションである椎間板、骨、神経の損傷が無く、機能が正常であるからです。しかし、椎間板の加齢変化によって狭くなることや、背骨のずれ(すべり症など)や椎間板ヘルニアなどでも脊柱管が圧迫されて狭窄症になっていきます。早ければ16歳前後から腰の部分に最も負担がかかるため、椎間板に損傷(亀裂)が生じ始めます。そして損傷部分からクッション成分の源である髄核(ずいかく)が漏れだし、クッション機能が低下します。クッション機能が低下すると骨に負担がかかり、骨の変形が始まります。骨に変形が生じると、最終的に神経が存在する空間である脊柱管が狭くなり、神経を圧迫し始めます。
つまり脊柱管狭窄症は、椎間板の損傷から始まる事が分かってきました。さらに、脊柱管狭窄症は「歩くと足がしびれ、少し休むと再び歩けるようになる」間欠性跛行(かんけつせいはこう)という病気を引き起こす原因となります。

椎間板が潰れ、骨が変形して神経が圧迫された状態(正面)

椎間板が潰れ、骨が変形して神経が圧迫された状態(側面)

椎間板が潰れ、骨が変形して神経が圧迫された状態

脊柱管狭窄症の手術療法

腰椎椎弓切除術

狭くなった脊柱管を広げる手術方法です。広範囲に椎弓を切除する広範囲椎弓切除術と、内視鏡下で行う切除が必要な部分だけ手術を行う部分椎弓切除術があります。
広範囲椎弓切除術の場合、皮膚切開と後方展開約4㎝の皮膚切開を行い、骨から筋肉を剥離してから腰椎椎弓を切除し、中心性狭窄の原因となる肥厚した黄色靱帯を取り除きます。
内視鏡下で行う部分椎弓切除術の場合、皮膚を1.5㎝~2㎝切開した後に1.2㎝~1.8㎝の円筒型の手術器具を体内に挿入し、先端についているカメラから映し出される体内の様子をモニターで確認しながら椎弓の一部と靭帯を切除することで除圧を行います。

腰椎椎弓切除術のメリット

切開範囲が狭いため傷口も小さく、約1週間ほどで退院ができます。

腰椎椎弓切除術のデメリット

部分椎弓切除術の場合、切開部分が狭い代わりに視野も狭くなるため複数箇所に狭窄がある場合や椎骨が安定していない場合は受ける事ができません。
また、広範囲椎弓切除術の場合、切開範囲が広くなるため感染症や合併症のリスクが高くなります。
さらに、一度広範囲に切除した場合は再手術ができないこともあります。

脊椎固定術

プレート、スクリュー、ロッドやスペーサーなどの医療器具を用いて脊柱管狭窄症となっている脊椎を固定させる手術方法です。
全身麻酔を行い、背中から皮膚を切開します。椎弓と呼ばれる脊椎の一部や椎間関節を切除して、椎間板や黄色靭帯を切除します。椎間板の代わりにスペーサーを挿入して、プレートをセットしロッドとスクリューで固定します。術後はリハビリが必要なため、入院期間は約1ヵ月となります。

脊椎固定術のメリット

脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニアをはじめとする幅広い腰椎疾患に対応しています。
脊椎を固定させるため腰椎が不安定な場合にも効果が期待できます。

脊椎固定術のデメリット

術後はリハビリが必要なため、入院期間は約1ヵ月となります。
脊椎固定術は切開範囲が広く、手術時間も長いため感染症・合併症のリスクが低侵襲手術に比べて高く、術後のリハビリや固定による違和感や痛みを感じる場合もあります。
MEL法と同様に再手術が難しい手術方法です。

保存療法で全く改善がない、痛み・痺れが強すぎて歩けない・排尿障害になるといった場合には外科的手術が選択されることもあります。当院では、脊椎固定術に代わる治療として低侵襲のDST法を行っています。

脊柱管狭窄症の保存療法

薬物療法

病院や整形外科で診断してもらった場合に湿布や塗り薬といった外用薬または炎症を抑える為の消炎鎮痛剤、筋肉の緊張を和らげることで腰の痛みを和らげる筋弛緩剤などがあります。またその原因が神経の場合は神経の回復を目的としたビタミンなどを摂取することがあります。

薬物療法のメリット

一時的に痛み、しびれの症状を緩和できます。
痛みやしびれの強さに合わせて処方ができます。

薬物療法のデメリット

副作用が強く、体に合わない場合もあるため医師と相談しながらの服用が必要です。
投薬を続けると効果がなくなる場合があります。

温熱療法

温熱療法を行う目的は、腰を温めて血行不良を改善させることです。

温熱療法のメリット

血行が良くなる事で新陳代謝が活発になり疲労物質や化学物質が滞ることがなくなり、痛みの緩和や疲労の回復が期待できます。
病院や整骨院ではホットパックや電気マッサージで血行不良を改善させることが多く、身近なところではカイロも使用されることがあります。

温熱療法のデメリット

急性腰痛に対して腰を温めることはかえって炎症を悪化させることがあります。
対症療法になるため、しばらくすると元の痛みに戻ることがあります。

理学療法

脊柱管狭窄症になった場合に安静にすることがありますが、安静の期間が長くなると腰痛が長引くことがあります。

理学療法のメリット

体操やストレッチ等で改善することがあります。
腹膜筋を鍛えることで腰に負担がかからないようにします。神経への圧迫または筋肉への負担から炎症が起こると、痛みやしびれと言った症状が現れます。腹筋や背筋を鍛えることが重要です。

理学療法のデメリット

脊柱管狭窄症・椎間板ヘルニアをはじめとする幅広い腰椎疾患に対応しています。
腹筋を鍛えることが全てではなく、正しくない方法や無理をした筋トレなどは反対に腰痛を悪化させる恐れもあります。必ず医師のアドバイスを受けてください。

脊柱管狭窄症はまず保存療法を第一に選択することが多く、薬や運動療法で改善を図る方法が挙げられます。

当院の治療がどのように脊柱管狭窄症に効果があるのか?

まず脊柱管狭窄症に対しては、外科的手術がありますので簡単に説明したいと思います。外科手術は1960年より本格的に行われはじめましたが、骨を切除し、時に固定が必要であり、手術リスクが高い事、再発率(2年以内)が30~46%と高い事が問題でした。
現在では内視鏡や傷口を小さくする等工夫がされてきていますが、根本的に治療する訳ではないので、リスクも再発率も高いままです。

脊椎固定術

上記に説明した通り、外科的手術の問題点に対して、1980年代より椎間板治療が始まりました。現在では脊柱管狭窄症に対してDST法(ディスクシール治療)も始まっています。DST法の原理は、椎間板機能を改善させる事で骨の負荷を改善させると同時に神経の圧迫を解除する事が可能となります。DST法の特徴は椎間板を修復するだけなので、リスクが極めて低い事、根本的な原因を治療するので再発率が低い事です。
また針が細いので傷口も小さく、1週間ほどでふさがるため傷跡が残ることもありません。
当院では午前中に診察を行い午後から治療ができるため遠方の方や海外にお住まいの患者様も日帰りで治療を行う事が可能です。また事前に遠隔で画像診断を行い、DST法の適応が可能か診断を行うことができます。

当院の治療方法

  • DST法

    ディスクシール治療

    DST法は、米国の医師であるケヴィン・パウザDrが開発した治療法です。米国では特許が取られている、主に腰の損傷した椎間板を修復・再生させる治療法です。当院長は2018年6月にDST法のライセンスを獲得し、現在までに2,880人近い患者様にこの治療を行っています。2018年6月時点では、DST法を開発したケヴィン・パウザDrと野中院長が治療を行っていました。2019年12月現在では、ハーバード大学、ボストン大学の医師を含めて約20人の医師が米国でDST法を行っています。

  • PODT法

    経皮的椎間板オゾン治療

    PODT法とは、0.8mmの針(穿刺針)を用いて椎間板髄核内にオゾンを注入し、椎間板炎による腰痛や椎間板ヘルニア及び脊柱管狭窄症による神経痛を改善させる方法です。オゾンによる抗炎症効果の詳細は解明されているわけではありませんが、体内を活性化させることで、あえて強い免疫応答を生じさせ炎症を短時間で消失させると考えられています。オゾン自体は椎間板内にのみ注入しますが、適応疾患は椎間板ヘルニアにとどまらず脊柱管狭窄症や椎間孔狭窄にも効果があります。その理由として椎間板内に注入したオゾンが、損傷した椎間板を通過して周囲の組織に浸潤するためと考えられています。

脊柱管狭窄症に関するQ&A

腰痛疾患と症状一覧