10年前に腰の手術を行うも4年前に再発し、お尻や両足の痛み・痺れにより歩くことが困難になった患者さまです。ディスクシール治療により、潰れたり変形している椎間板の治療を行いました。治療中は痛み止めを使用し、痛みを感じないように治療用の管を椎間板に挿入していきました。治療後は1時間程度専用のお部屋でお休みいただき、その後歩いて帰宅されております。
椎間板変性症/ 対象疾患と症状
椎間板変性症とは
椎間板変性症は、椎間板の線維輪が損傷することで椎間板内部の髄核成分が漏出し、椎間板が硬くなってクッション機能が失われることで変形してしまうことを言います。また、漏出した髄核成分が神経を圧迫することで引き起こされる病気を椎間板ヘルニアと言います。椎間板変性症が悪化すると、椎間板ヘルニアになる可能性が高くなるということです。
主な原因とメカニズム
加齢や過度な運動、労働環境に遺伝などが関係していると言われています。椎間板の主成分は水分であり、加齢とともに体内の水分量は減少していきます。また、椎間板内の水分量もこれに応じて減少します。水分量が減少すると、椎間板の弾力性が乏しくなり硬くなります。こうなることで、ちょっとした刺激が原因で椎間板に亀裂が入ります。これが椎間板損傷の原因の1つです。椎間板は一度傷がつくと修復ができない消耗品です。椎間板に負担がかかる運動や仕事は、消耗を早め、劣化を促進する原因になります。
主な症状とその特徴
椎間板の症状は主に腰痛が多いとされています。しかし、椎間板に入った亀裂から髄核が漏れ出して腰椎椎間板ヘルニアとなり、神経を傷つけます。傷がつくことで神経に炎症が生じて、足の痛みや痺れなどの症状が発生します。
炎症
炎症とは、体の傷を修復する際に生じる反応で、痛みや腫れ、発熱などが生じる事を指します。また、椎間板の劣化により椎間板の厚みが減少し、骨と骨との距離が近づくことで衝突しやすくなります。骨が衝突を繰り返すと骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の棘ができたり、椎体そのものの変形が生じたりし、変形性腰椎症になります。この変形により骨の表面や周囲の組織などに炎症が生じて、神経由来の症状の他に腰やお尻回りなどに新たな痛みが発生します。炎症が慢性化した場合は、それは今まで積み重ねてきた痛みの蓄積により体が痛みに対して過敏になるので、手術をした後も痛みが治まらないことがあります。
治療症例
当院における椎間板変性症の治療症例をご紹介します。当院の椎間板変性症の治療症例はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、 6,589件(集計期間:2018年6月~2024年12月)
10代より腰痛に悩まれており、整体院や鍼灸院での治療に限界を感じたため、当クリニックを受診された患者さまです。腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛と判断し、PLDD治療を行いました。治療時間は15分で終了し、局所麻酔のみの使用でしたが痛みはほとんどないご様子でした。日常生活をより楽しく過ごしていただけるように丁寧に治療を行わせていただきました。
よくある質問
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- Q
- 椎間板変性症と診断されたら何に気を付ければ良いのでしょうか?
- A
まずは現在の痛みなど症状がかなり強い場合には安静にして1週間ほど様子を見てみてください。もし1週間ほどで緩和されるようであれば運動療法などの保存療法を推奨します。1ヵ月経っても症状に改善がないようであればお近くの整形外科クリニック・病院を受診されることをお勧めします。
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- Q
- 変形した椎間板は手術せずに元の状態に戻ることはあるのでしょうか?
- A
椎間板の損傷が軽い場合、自然治癒することがあります。自然に傷口が塞がると中の水分が増え、椎間板が本来の役割を果たします。しかし、傷口が深く線維輪も破れてしまっている場合には自然に治癒することは難しいことが多く、悪化すると腰椎椎間板ヘルニアや変形性腰椎症に繋がります。その場合はディスクシール治療による治療の選択も考えられます。
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- Q
- 椎間板変性症と腰椎椎間板ヘルニアの違いを教えてください?
- A
椎間板変性症は椎間板に亀裂が入り、損傷することで中の水分が抜け、椎間板が硬くなり、椎間板のクッション機能が失われ変形が始まり腰痛を引き起こすことを言います。腰椎椎間板ヘルニアはその損傷個所から中の髄核が漏れ神経を圧迫することを言います。椎間板変性症が悪化すると腰椎椎間板ヘルニアになる可能性が高くなるということです。
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- Q
- 椎間板の損傷を予防するために心掛けると良いことはありますか?
- A
椎間板の損傷は加齢などが原因と言われていますが、日ごろの姿勢や動作による腰への負担も大きいと言えます。特に長時間の座り姿勢は腰にかなりの負担をかけています。なので、日ごろから椅子の座り方や姿勢に気を付けるように指導や自宅トレーニングをお勧めしています。
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- Q
- 手術を受けた後に再度、椎間板が変形してしまった場合の再手術は可能でしょうか?
- A
はい、可能です。
ディスクシール治療の場合、椎間板の修復・再生を促す治療を行うため再治療は可能です。しかし、ディスクシール治療後の椎間板の変形はかなり強い圧力が加わった場合、例えば激しいスポーツや無理な姿勢を取り続けるような重労働などがほとんどです。
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- Q
- 保存療法では腰部脊柱管狭窄症は完治するのでしょうか?
- A
完治することはありません。
痛みや痺れを緩和させる目的のため根本治療にはならないです。ディスクシール治療は、原因となっている椎間板を修復することができる唯一の治療のため、根本的に痛みを改善することが期待されています。
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- Q
- してはいけない運動はありますか?
- A
過度に腰を使う動作や重い物を持つ動作は控えてください。激しい運動も椎間板の変形を進行させる原因となることがありますので正しい運動方法を取り入れるようにしましょう。
椎間板変性症について院長が解説
椎間板変性症の患者様には、主に腰痛の症状がみられます。椎間板の損傷や椎間板の機能低下が原因です。椎間板の主成分は水分であり、通常水分が多いことで柔軟性を保っていますが、加齢により水分量が低下すると、少しの刺激でも亀裂が入りやすくなります。椎間板の修復は難しく、一般に治療法として、痛みの緩和のために外科的手術や保存療法が行われます。しかし、当院のディスクシール治療は椎間板の修復・再生が可能であり、痛みを改善させることができます。椎間板変性でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
NLC野中腰痛クリニック院長
野中 康行
当院の対象疾患と症状
疾患
腰椎椎間板ヘルニア
腰部脊柱管狭窄症
腰椎すべり症
椎間板変性症
変形性腰椎症
症状
坐骨神経痛
間欠性跛行