2018年に当院で腰部脊柱管狭窄症に対しDST法を行い、症状は9割型改善されましたが、しびれの残存が気になったため3年ぶりに当クリニックを受診された患者さまです。恒久的な神経障害や神経周囲の癒着病変がしびれの原因として考えられ、PODT治療を行いました。治療は20分程度で終了し、しびれは3割程度改善されました。最大効果の出現には1ヵ月程度必要となります。
椎間板変性症/ 腰の病気の原因や症状と治療法
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椎間板変性症とは

椎間板変性症は、椎間板の線維輪が損傷することで椎間板内部の髄核成分が漏出し、椎間板が硬くなってクッション機能が失われることで変形してしまうことを言います。また、漏出した髄核成分が神経を圧迫することで引き起こされる病気を椎間板ヘルニア言います。椎間板変性症が悪化すると椎間板ヘルニアになる可能性が高くなるということです。
椎間板変性症の主な原因とメカニズム
加齢や過度な運動、労働環境に遺伝などが関係しているといわれています。椎間板の主成分は水分であり、加齢とともに体内の水分量は減少していきます。また、椎間板内の水分量もこれに応じて減少します。水分量が減少すると、椎間板の弾力性が乏しくなり硬くなります。こうなることで、ちょっとした刺激が原因で椎間板に亀裂が入ります。これが椎間板損傷の原因の1つです。椎間板は一度傷がつくと修復ができない消耗品です。椎間板に負担がかかる運動や仕事は、消耗を早め、劣化を促進する原因になります。
椎間板変性症の主な症状とその特徴


椎間板の症状は主に腰痛が多いとされています。しかし、椎間板に入った亀裂から髄核が漏れ出して腰椎椎間板ヘルニアとなり、神経を傷つけます。傷がつくことで神経に炎症が生じて、足の痛みや痺れなどの症状が発生します。
炎症
炎症とは、体の傷を修復する際に生じる反応で、痛みや腫れ、発熱などが生じる事を指します。また、椎間板の劣化により椎間板の高さが減少し、骨と骨との距離が近づくので衝突しやすくなります。衝突を繰り返すと骨棘(こつきょく)と呼ばれる骨の棘ができたり、椎体そのものの変形が生じたりし、変形性腰椎症になります。この変形により骨の表面や周囲の組織などに炎症が生じて神経由来の症状の他に腰やお尻回りなどに新たな痛みが発生します。炎症が慢性化した場合は、それは今まで積み重ねてきた痛みの蓄積により体が痛みに対して過敏になるので、手術をした後も痛みが治まらないことがあります。
椎間板変性症に対して行われる治療方法
外科的手術
骨棘が進んだり、ヘルニアが原因になったりして神経を圧迫している場合には外科的手術も検討されますが、椎間板変性症に対して有効とされる手術方法は今のところありません。外科的手術の場合、骨や靭帯を削り、神経の圧迫を取り除くことが目的であるため椎間板を治療することはないからです。
保存療法
運動療法や薬物療法があります。運動療法は、今まで蓄積してきた立ち方・歩き方・座り方などの生活習慣によって生じている腰への負担を取り除き、バランスの崩れた筋肉や関節の状態をストレスのかからない状態に修正することを行います。修正を行うことで、生活習慣によって生じたストレスが原因の炎症を除去することを促します。また、腰椎には血管が多く集まっているため血流を改善することによって炎症が緩和され痛みの改善にも繋がることがあります。
NLC野中腰痛クリニックの治療がどのように椎間板変性症に効果があるのか?
当院では椎間板変性症の患者様への治療法としてDST法(ディスクシール治療)を行っています。DST法(ディスクシール治療)とは椎間板の損傷部分に対して修復・再生を促す薬剤を注入することで椎間板機能を回復させ、クッション機能を維持することで痛みの改善を行う椎間板治療です。従来の外科的手術とは異なり、メスは一切用いず、局所麻酔で椎間板に直接針を刺し、そこから薬液を入れていきます。変形が進んだ椎間板に対して本来の機能を取り戻す働きを促し、また損傷した傷口を塞ぐため髄核が漏れ出ることを防ぐことができます。
NLC野中腰痛クリニックの腰痛治療一覧
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DST法
ディスクシール治療
DST法(ディスクシール治療)は、米国の医師であるケヴィン・パウザDrが開発した治療法です。主に腰の損傷した椎間板を修復・再生させる治療法で、米国では特許が取得されている治療になります。当院は2018年6月にDST法(ディスクシール治療)のライセンスを獲得し、この治療を行っています。現在ではハーバード大学、ボストン大学の医師を含めて約20人の医師が米国でDST法(ディスクシール治療)を行っています。
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PODT法
経皮的椎間板オゾン治療
PODT法とは、0.8mmの針(穿刺針)を用いて椎間板髄核内にオゾンを注入し、椎間板炎による腰痛や腰椎椎間板ヘルニア及び腰部脊柱管狭窄症による神経痛を改善させる方法です。オゾンによる抗炎症効果の詳細は解明されているわけではありませんが、体内を活性化させることで、あえて強い免疫応答を生じさせ炎症を短時間で消失させると考えられています。オゾン自体は椎間板内にのみ注入しますが、適応疾患は腰椎椎間板ヘルニアにとどまらず腰部脊柱管狭窄症や椎間孔狭窄にも効果があります。その理由として椎間板内に注入したオゾンが、損傷した椎間板を通過して周囲の組織に浸潤するためと考えられています。
DST法(ディスクシール治療)による椎間板変性症の治療実績
当院における椎間板変性症の治療実績をご紹介します。当院の椎間板変性症の治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、5,034件(集計期間:2018年6月~2023年8月)
10代より腰痛に悩まれており、整体院や鍼灸院での治療に限界を感じたため、当クリニックを受診された患者さまです。腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛と判断し、PLDD治療を行いました。治療時間は15分で終了し、局所麻酔のみの使用でしたが痛みはほとんどないご様子でした。日常生活をより楽しく過ごしていただけるように丁寧に治療を行わせていただきました。
椎間板変性症に関するご質問と回答
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- Q
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椎間板変性症と診断されたら何に気を付ければ良いのでしょうか?
- A
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まずは現在の痛みなど症状がかなり強い場合には安静にして1週間ほど様子を見てみてください。もし1週間ほどで緩和されるようであれば運動療法などの保存療法を推奨します。1か月経っても症状に改善がないようであればお近くの整形外科クリニック・病院を受診されることをお勧めします。
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- Q
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変形した椎間板は手術せずに元の状態に戻ることはあるのでしょうか?
- A
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椎間板の損傷が軽い場合、自然治癒することがあります。自然に傷口が塞がると中の水分が増え、椎間板が本来の役割を果たします。しかし、傷口が深く線維輪も破れてしまっている場合には自然に治癒することは難しいことが多く、悪化すると腰椎椎間板ヘルニアや変形性腰椎症に繋がります。その場合はDST法(ディスクシール治療)による治療の選択も考えられます。
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- Q
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椎間板変性症と腰椎椎間板ヘルニアの違いを教えてください?
- A
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椎間板変性症は椎間板に亀裂が入り、損傷することで中の水分が抜け、椎間板が硬くなり、椎間板のクッション機能が失われ変形が始まり腰痛を引き起こすことを言います。腰椎椎間板ヘルニアはその損傷個所から中の髄核が漏れ神経を圧迫することを言います。椎間板変性症が悪化すると腰椎椎間板ヘルニアになる可能性が高くなるということです。
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- Q
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椎間板の損傷を予防するために心掛けると良いことはありますか?
- A
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椎間板の損傷は加齢などが原因と言われていますが、日ごろの姿勢や動作による腰への負担も大きいと言えます。特に長時間の座り姿勢は腰にかなりの負担をかけています。なので、日ごろから椅子の座り方や姿勢に気を付けるように指導や自宅トレーニングをお勧めしています。
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- Q
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手術を受けた後に再度、椎間板が変形してしまった場合の再手術は可能でしょうか?
- A
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はい、可能です。
DST法(ディスクシール治療)の場合、椎間板の修復・再生を促す治療を行うため再治療は可能です。しかし、DST法(ディスクシール治療)後の椎間板の変形はかなり強い圧力が加わった場合、例えば激しいスポーツや無理な姿勢を取り続けるような重労働などがほとんどです。
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- Q
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保存療法では腰部脊柱管狭窄症は完治するのでしょうか?
- A
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完治することはありません。
痛みや痺れを緩和させる目的のため根本治療にはならないです。唯一DST法(ディスクシール治療)は原因となっている椎間板を修復することができる治療のため根本的に痛みを改善することが期待されています。
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- Q
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してはいけない運動はありますか?
- A
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過度に腰を使う動作や重い物を持つ動作は控えてください。激しい運動も椎間板の変形を進行させる原因となることがありますので正しい運動方法を取り入れるようにしましょう。
NLC野中腰痛クリニック院長が椎間板変性症について解説
NLC野中腰痛クリニックが対応する腰の病気一覧
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腰椎椎間板ヘルニア
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腰部脊柱管狭窄症
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坐骨神経痛
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腰椎すべり症
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椎間板変性症
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変形性腰椎症
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間欠性跛行
NLC野中腰痛クリニックホームページ監修の医師紹介
野中 康行院長

院長略歴
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- 2002年
- 川崎医科大学 卒業
医師免許取得
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- 2006年
- 神鋼加古川病院(現:加古川中央市民病院) 勤務
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- 2011年
- 医療法人青心会 郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科) 勤務
医療法人青心会 理事就任
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- 2018年
- ILC国際腰痛クリニック 開設
院長就任
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- 2020年
- 医療法人康俊会 開設
理事長就任
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- 2021年
- NLC野中腰痛クリニック 開設
院長就任
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- 2023年
- 医療法人蒼優会 開設
理事長就任
石田 貴樹副院長

副院長略歴
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- 2009年
- 高知大学 卒業
医師免許取得
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- 2012年
- 神戸市立医療センター西市民病院 勤務
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- 2013年
- 兵庫県立尼崎病院 勤務
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- 2014年
- 関西労災病院 勤務
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- 2015年
- 神戸大学医学部附属病院 勤務
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- 2018年
- 神戸大学医学部附属病院 助教就任
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- 2019年
- ILC国際腰痛クリニック 勤務
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- 2021年
- NLC野中腰痛クリニック 勤務
2年間の研修を経て2022年10月にライセンスを獲得
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- 2023年
- 医療法人蒼優会 理事就任
医療法人蒼優会 NLC野中腰痛クリニック 副院長就任
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- 椎間板変性症
椎間板変性症の患者様には主に「腰痛」の症状がみられます。椎間板の損傷や椎間板の機能低下が原因です。椎間板の主成分は水分であり、通常水分が多いことで柔軟性を保っていますが、加齢により水分量が低下することで少しの刺激でも亀裂が入りやすくなります。椎間板の修復は難しく、一般に治療法として痛みの緩和のために外科的手術や保存療法が行われます。しかし、当院のDST法(ディスクシール治療)は椎間板の修正・再生が可能であり、痛みを改善させることができます。椎間板変性でお悩みの方は、お気軽にご相談ください。
NLC野中腰痛クリニック院長
野中 康行