椎間板ヘルニア
/ 治療法と対応疾患

椎間板ヘルニアとは

椎間板を簡単に説明すると、椎体(ついたい)と椎体の間には椎間板が存在しており、椎間板は中央にゼラチン状の髄核(ずいかく)があり、髄核を取り囲むようにコラーゲンを豊富に含んだ線維輪(せんいりん)があります。
椎間板は髄核と線維輪の2つの組織により形成されています。
椎間板ヘルニアとは線維輪に亀裂(きれつ)が生じ、髄核が外に飛び出した状態を指します。
椎間板ヘルニアは大きく分けて2つのタイプがあります。

突出型

椎間板ヘルニア(突出型)

線維輪の亀裂が少なく、髄核が線維輪から飛び出さないが、髄核が後方へ移動して神経の一部を圧迫するタイプ

脱出型

椎間板ヘルニア(脱出型)

椎間板が傷む事により、線維輪に亀裂が入り、髄核が線維輪を突き破り神経を直接的に圧迫するタイプ

椎間板ヘルニアの原因

遺伝的要因や加齢、日常生活の負担による椎間板の老化が主な原因となります。本来、椎間板の中の髄核は水分で満たされていますが、加齢や日常生活での負担とともに椎間板の線維輪に亀裂が入る事で、髄核が線維輪から漏れ出し、水分が無くなることで、薄くなり潰れた状態になります。特に、日常生活で重たい物を持ち上げたり、激しいスポーツを行うことが椎間板を痛める原因になります。レントゲンとMRIでも椎間板が黒く写り、潰れた状態が確認できます。

椎間板ヘルニアの原因

最近になって判明した痛みの原因

以前から重度のヘルニアであっても痛みがない場合や、反対に軽度のヘルニアでも強い痛みがでる場合があり、謎とされていましたが、最近になって飛び出した髄核が炎症を起こす結果、近くにある神経に炎症が飛び火する事で痛みが発生する事が分かってきました、そして飛び出した髄核の炎症は一定期間(数か月)で自然消失する事も判明してきました、例えると焚火と同じで、新しい薪をくべると激しく燃えますが、ある程度時間が経過すると火が消えてしまうのと同じです、また薪は燃えたあと炭として残りますが、ヘルニアでは、炎症後に自然に吸収されることもあれば炭の様に残存することもあります、そして炭の様に残存したヘルニアは画像検査で重度のヘルニアとして見えるのですが、炎症後であるので症状はありません。

椎間板ヘルニアによる痛みは、脱出した髄核による物理的な神経圧迫ではなく、脱出した新鮮な髄核による炎症が原因です。

つまり数か月以上痛みが持続している人は、常に新しい髄核が漏れ続けている事を意味しており、反対に痛みが改善した人は、髄核の漏れが止まった状態を意味します。この事は非常に大切で、外科的手術では漏れ出た髄核を摘出し炎症を消失させるのですが、線維輪の亀裂を塞ぐ事が出来ないので、髄核が漏れ続け高い再発率の原因となっています。

椎間板ヘルニアの手術療法

椎間板切除術(LOVE法)

椎間板ヘルニアに対応した手術方法として古くから行われています。神経を圧迫している椎間板を切除し、神経の圧迫を取り除く外科的手術です。全身麻酔を行い、背中から皮膚を切開し、神経を圧迫しているヘルニアを切除します。
手術時間は30分~1時間で、手術当日と翌日は安静にします。1ヶ月ほどの入院が必要です。
切開範囲が広いため感染症や神経損傷のリスクが高く、体への負担も大きくなります。
またしばらくはリハビリや通院をする必要があります。

椎間板摘出術

内視鏡や顕微鏡を使用することで切開の幅が小さくなり、手術時間・入院期間の短縮が可能になった低侵襲な手術方法です。

MD法(顕微鏡下椎間板摘出術)

全身麻酔を行い、背中から皮膚を切開します。MD法では切開した後に顕微鏡を挿入して拡大した視野の中でヘルニアを摘出します。
切開範囲も3cmとLOVE法より狭く、筋肉の剥離もないため手術から退院までの期間もLOVE法に比べ短いのが特徴です。

MED法(内視鏡下椎間板ヘルニア摘出術)

全身麻酔を行い、背中から皮膚を切開します。切開後は内視鏡を挿入してモニターで拡大しながら手術を行います。
手術後も抜糸はなく、切開後は専用のテープで固定します。
手術の翌日から歩行が可能で、約1週間程で退院することが可能です。

PELD法(経皮的内視鏡下腰椎椎間板摘出術)

全身麻酔を行い、背中から皮膚を切開します。切開後は内視鏡を挿入してモニターで拡大しながら手術を行います。
MED法よりも切開範囲が狭く、6mmの操作管に内視鏡や3mmの小鉗子を入れてヘルニアを摘出します。
手術後も抜糸はなく、切開後は専用のテープで固定します。
手術後は数時間で歩行が可能で、翌日には退院することも可能です。

ヘルニア部分の椎間板の摘出術はLOVE法に比べて体への負担は少なく入院期間も短いのですが、切開範囲が狭いことから狭い視野で手術を行う必要があるため神経組織への損傷のリスクが高まり、ヘルニアが十分に取り切れず再手術が必要になるリスクも存在します。

経皮的椎間板減圧術

メスを使用せず、穿刺針を用いて背中からアプローチする手術方法です。切開をしないため日帰りで治療を行うことが可能です。

PLDD法(経皮的レーザー椎間板減圧術)

局所麻酔にて背中から穿刺針を挿入し、針を経由してレーザーファイバーを通します。
椎間板内の髄核(ヘルニア部分)に対してレーザーを照射し、蒸散させることで椎間板内の圧力を弱め、椎間板内を収縮させる方法です。
手術後は1時間程安静にし、医師の診断で問題なければその日の内に退院することが可能です。
体への負担が少なく、感染性症や合併症のリスクも外科的手術に比べると低いのですが重度のヘルニアには対応できないため適応出ない場合は治療を受ける事ができません。また保険適応外となるため治療費用は自己負担となります。

椎間板ヘルニアの保存療法

薬物療法

腰痛で病院や整形外科で診断してもらった場合に湿布や塗り薬といった外用薬または炎症を抑える為の消炎鎮痛剤,筋肉の緊張を和らげることで腰の痛みを和らげる筋弛緩 剤などがあります。また腰痛の原因が神経の場合は神経の回復を目的としたビタミンなどを摂取することがあります。

神経根ブロック

腰痛の症状でも、下肢への痛みが強く薬物療法などでも十分な効果が得られない場合に行う治療方法です。
激しい痛みや長期的な痛みが続くと交感神経が緊張してしまい、さらに痛みを呼び起こすことがある為、痛みの原因となっている神経又は周辺の神経に対して神経ブロック注射を打ち脳への痛みの伝達を遮断します。
痛みやしびれを緩和させるための治療法であることから選択されることが多いですが、外科的手術などによる根治治療ではないため治ることはありません。

理学療法

腰痛になった場合に安静にすることがありますが、安静の期間が長くなると腰痛が長引くことがあります。
安静が必要ない場合は、体操やストレッチが腰痛の改善になることがあります。
腹膜筋を鍛えることで腰に負担がかからないようにします。
神経への圧迫または筋肉への負担から炎症が起こる為、痛みや痺れと言った症状が現れます。但し、腹筋を鍛えることが全てではなく、正しくない方法や無理をしての筋トレなどは反対に腰痛を悪化させる恐れもあります。必ず医師のアドバイスを受けてください。

また保存的治療で痛み・痺れの改善がされない、激痛で動けないといった日常生活に大きく関わってくる場合には手術が検討されます。

椎間板ヘルニアの自然治癒

すべての椎間板ヘルニアが自然治療するというわけではありませんが、神経に飛び出したヘルニアが体外へ流れ出て、神経への圧迫が緩和されると炎症が消え、痛みがなくなり自然治癒するケースもあります。
しかし、ヘルニアが消失したとしても再発し、炎症が生じると炎症が長期間に渡って続き、やがて慢性的な痛みに変わります。
自然治癒を待つべきなのかどうかは担当の医師と相談した上で判断されることをおすすめします。

椎間板ヘルニアを早く治す方法

結論から言いますとなるべく症状の出ない生活を心掛けることが大切です。椎間板ヘルニアを小さくする飲み薬、運動、リハビリはありません。
また、整体、マッサージや電気治療もヘルニアを小さくする治療ではありません。姿勢や動き方によって痛みやしびれが出る場合は神経が刺激されている可能性がありますのでなるべく症状の出ない生活を心掛けることが大事だと言えます。

当院の治療がどのように椎間板ヘルニアに効果があるのか?

当院では、老化して線維輪に亀裂が入った椎間板に対して椎間板の修復・再生治療を行っています。もし、椎間板容量の減少が少なく、線維輪が損傷していなければ、PIDT法やPODT法、PLDD法といった治療も行います。しかし、椎間板に亀裂が入っている状態では、いずれ椎間板の水分がなくなり、徐々に狭くなる事も考えられるので、DST法をお勧めしています。DST法は、根本原因である線維輪の断裂に対して修復を行いますので、手術で改善しないヘルニアや手術で再発したヘルニアにも有効です。また、髄核が漏れ続けると椎間板が潰れ、最終的に脊柱管狭窄症等を併発するのですが、髄核の漏れを防ぐことで椎間板のクッション機能を弾力性がある状態に戻し、脊柱管狭窄症等の進行を抑制します。

当院の治療方法

DST法

ディスクシール治療

DST法は、米国の医師であるケヴィン・パウザDrが開発した治療法です。主に腰の損傷した椎間板を修復・再生させる治療法で、米国では特許が取られている治療になります。当院長は2018年6月にDST法のライセンスを獲得し、現在までに2,880人近い患者様にこの治療を行っています。2018年6月時点では、DST法を開発したケヴィン・パウザDrと野中院長が治療を行っていました。2019年12月現在では、ハーバード大学、ボストン大学の医師を含めて約20人の医師が米国でDST法を行っています。

DST法 - ディスクシール治療

椎間板ヘルニアに関するQ&A

  • Q
    椎間板ヘルニアかどうかの診断はどのようにしますか?
    A
    現在の症状やこれまでの経過、身体の診察の結果を見て、MRI検査やレントゲンで精密検査し、総合的に診断しています。
    ヘルニアを目視で確認するにはMRI検査が有効です。MRI検査で椎間板ヘルニアの位置、大きさ、形、神経の押され具合がわかり、自然に放置しても治りやすいものなのか、治療を施す場合、どういった治療が適切か等を確認します。
    MRI検査はMRIの性能や撮影の方法によって小さなヘルニアが見つからないことがあります。
    ヘルニアが写っていたとしてもしびれや痛みの原因が別にある場合もあります。
    椎間板ヘルニアではないと言われたが実は小さなヘルニアだったとか、椎間板ヘルニアと言われていたが実は別の病気だったということもありますので、まずは診察を受けることをご検討ください。
  • Q
    椎間板ヘルニアの手術後はどのくらいの時間・期間で歩くことができますか?
    A
    手術方法にもよりますがPELD・MEDのような切除術の場合、2~3日程の入院期間が必要になります。
    その後、帰宅が可能です。当院でも行っているPLDD法やDST法は日帰りでの治療のため術後1時間程で歩いてご帰宅いただけます。
  • Q
    レーザー治療(PLDD法)とはどのような治療ですか
    A
    レーザー治療は椎間板内の圧力上昇に対しての圧力を下げる治療法です。
    針(穿刺針)を椎間板に挿入し、ヘルニアの状態に合わせて半導体レーザーを照射します。
  • Q
    椎間板ヘルニアは危険な病気ですか?
    A
    人によっては症状が強く出る場合が多く、座ることができない、歩けないといった重度の症状が現れる事があります。
    まずは腰痛の診断をして適切な治療法を見つける事がなによりも大切です。
  • Q
    椎間板ヘルニアを放置したらどうなりますか?
    A
    椎間板ヘルニアは症状が消失し、自然治癒する可能性がある疾患です。
    ヘルニアを起こした椎間板が修復・再生することはありませんが、縮小または消失することならあります。
    外科的手術を検討する前に症状の変化を見ながら、負担の少ない治療を提案するように心がけています。
  • Q
    一度切除したヘルニアが再発することはないのでしょうか?
    A
    一回の切除で痛みが緩和されることもありますが、切除した場合、その切除部分から椎間板の中にある 髄核が漏れ出し再発する可能性があります。
    傷口をふさぐことで再発のリスクを下げる事ができるのはDST法だけです。
  • Q
    外科的手術後の再手術は可能ですか?
    A
    はい、可能です。
    当院では針を使った治療を行っているため外科的手術後でも治療を行う事ができます。
    まずは検査と診察を行い最善の治療法を診断いたします。
  • Q
    椎間板ヘルニアと診断された場合、あまり運動しない方がいいのでしょうか?
    A
    運動できないほど痛い場合以外は適度な運動は必要です。
    運動を怠ると体の筋肉が衰えてしまい、痛みが強くなる場合もあります。
    正しい運動方法を身につける事で症状が緩和することもあります。
    当院では腰痛に特化したリハビリ施設と提携し、腰痛の根本改善に努めています。
  • Q
    椎間板ヘルニアの手術後気をつけなくてはいけないことはなんですか?
    A
    当院の椎間板ヘルニアの治療後は、その日の内にご帰宅が可能ですが、腰にはコルセットを巻いて安静にした状態でお帰りいただくことをお願いしております。
    また、1ヶ月ほどは激しい運動などお控えいただき、適度なウォーキング・ストレッチを推奨しています。
  • Q
    椎間板ヘルニアの手術までの通院は何回必要ですか?
    A
    当院の治療の場合、診断後その日の内に治療を受ける事が可能です。
    診断のみをご希望され、後日治療だけお越しいただくこともあります。
  • Q
    椎間板ヘルニアの手術後、飛行機には乗れますか?
    A
    症状にもよりますが、飛行機にお乗りいただくことができます。
    万が一、術後に痛みがある場合には医師の判断によりご搭乗が難しい場合もありますので、異常を感じられた場合は当院までご連絡ください。

腰痛疾患と症状一覧