椎間板ヘルニア発症の要因
椎間板ヘルニアは椎間板と呼ばれる骨と骨の間にあるクッションの役割を果たす部分が背中の神経を圧迫することを言います。
神経を圧迫すると炎症が生じるため、腰の痛み・足の痛み・痺れなどが現れます。
椎間板ヘルニアは様々な要因が考えられますが、主に若年層に多い病気と言われています。早ければ20代・30代で症状がでることがあります。
重労働、過度なスポーツ、加齢等が原因となってヘルニアが発生することが多いです。
急に腰が痛くなり、2・3週間経つと徐々になくなる痛みもあれば、慢性化し常に痛みを感じる症状もあります。
ヘルニアは自然に消えてなくなることもあるため、まずは3週間ほど様子を見て改善の様子がなければリハビリや手術などを検討します。
加齢による椎間板の劣化
椎間板ヘルニアは椎間板が損傷することによって生じる病気です。
椎間板は加齢とも関係があり、年齢が進むにつれて椎間板内の水分が抜け、クッション機能が果たせなくなり潰れてきます。潰れると中の水分が外へ押し出されて、神経を圧迫します。
こうした現象により椎間板ヘルニアが発生します。さらに悪化すると脊柱管狭窄症、すべり症など骨や靭帯に影響を与える病気になることもあります。
日常生活における腰への負担
姿勢の悪さ
長年、姿勢が悪い状態が続くと腰に負担をかけてしまいます。
長時間のデスクワーク、座り仕事など同じ姿勢を続けることで腰が固まり立ち上がった時に痛みが出たり、座っている間に坐骨神経痛のような症状が出たりすることもあります。
特に前かがみの姿勢になってPCを見ていると椎間板に負担がかかり損傷を早め劣化する原因になります。
椅子に座る際には正しい姿勢を心がけ、定期的に立ち上がって歩いたりするようにしてください。
仕事や子育てによる負担
重たい荷物を運ぶ重労働による腰痛、子育てによる産後疼痛なども腰に負担をかける原因になります。
重いものを持ち上げる場合は腰痛ベルトを巻くなど、腰に負担をかけにくくして持ち上げるようにすると良いでしょう。
筋力
筋力は腰を支えるうえでとても重要な要素です。
腰骨の周りには筋肉、靭帯、関節など体を動かすために必要な部位が集まっています。関節が硬くなったり、筋力が低下すると腰痛・足の痛み・痺れに繋がることもあり、適度な運動や腰に負担のかかりにくい運動を取り入れることが非常に大事です。
当院では椎間板の損傷以外に靭帯・関節などを鍛える方法としてリハビリも推奨しています。
喫煙
腰痛は喫煙とも関係があります。
たばこに含まれるニコチンは血液循環に影響を与えることが論文などでも報告されています。特にがんや心臓病に影響を与えると言われています。
腰に関して言えば、椎間板ヘルニアの原因である椎間板にも影響を与えるとする研究結果もあります。血液は体を巡り骨などに栄養を届けていますが、血液循環が悪いと十分な栄養が行き渡らないため椎間板の変形に繋がり、変形した部分が神経を圧迫して痛みなどを引き起こすこともあります。
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椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法
椎間板ヘルニアは骨と骨の間にある椎間板というものの一部が飛び出して神経に当たり炎症が生じると腰痛や臀部痛、下肢痛などを引き起こします。
その原因は長時間の姿勢不良や筋力低下などが考えられるため、姿勢に気を付けて座ったり、合間でストレッチを行ったり、自宅での体幹や下半身のトレーニングをするのが効果的です。
腰に負担をかけない姿勢
『日本人が座っている時間は世界一長い』というお話をご存じでしょうか?
1日平均7時間座っていると言われています。 すごく長いですよね?
座る時間が長くなればなるほど、腰への負担は増します。 小まめに立ち上がる、姿勢を変えるなど対策はありますが、、、 ここでは、『正しい座り姿勢』についてお伝えします。
そもそも正しい座り方が分からない方が多いですよね。 正しい座り方のポイントは、1つだけです。
座骨座りです。 座骨座りについて詳しく解説していきたいと思います。
骨盤とは
骨盤は腸骨(ちょうこつ)、恥骨(ちこつ)、座骨(ざこつ)の3つに分かれます。

この3つをまとめて寛骨(かんこつ)と呼び、左右1つずつあります。 寛骨の間には仙骨(せんこつ)という骨があります。 寛骨と仙骨を併せて『骨盤』です。
座骨座り
座骨には少し出っ張った骨があり、これを『座骨結節』(ざこつけっせつ)と呼びます。 座骨結節はお尻の下の方に左右1つずつあります。
この骨が左右均等に椅子に当たっている状態が、腰に負担の掛かりにくい姿勢といわれています。
座骨結節の場所ですが、お尻の下の辺りに手の平を置いてください。
そのまま椅子に座って、お尻を軽く左右に動かします。

座骨結節を左右均等に椅子に当て、足裏をしっかり地面に着けている状態こそが『座骨座り』となります。

仙骨座り
反対におすすめできない座り姿勢は、『仙骨座り』です。

筋力トレーニング
ヘルニアに有効な体幹筋力トレーニングをお伝えします。 体幹筋力とは、体の奥にあるインナーマッスルのことです。 インナーマッスルに力が入ると、コルセットを着けている時のように体が安定し、椎間板への負担が軽減される効果があります。
ドローイン
1.膝を立て仰向けに寝転びます。
2.手は骨盤の出っ張った骨より指2本分内側を触ります。
3.鼻から息を吸いながらお腹を膨らませ、口から息を吐きながらお腹を凹ませ10秒間キープします。
4.お腹を凹ませた時に。手で触っている箇所が硬くなっているか確認してください。
5.この動きを10回行います。

ストレッチ
ヘルニアに有効なハムストリングス(太ももの裏)のストレッチをお伝えします。 ハムストリングスが硬くなってしまうと、骨盤が後ろに倒れ、腰痛の原因となります。1.仰向けになり、片方の膝を立てます。
2.片方の太ももの裏に手を組みます。
3.その状態で足を浮かし、膝を曲げ伸ばししてください。
4.この時に、頭が浮かないように注意してください。
5.手が届きにくい方は、タオルを使用してください。
6.この動きを片脚ずつ10回行います。

まとめ
椎間板ヘルニアには様々な要因があり、早ければ20代・30代頃から発症する病気です。
病気にならないために日頃から正しい姿勢、適度なトレーニングを行うことが非常に重要です。
当院ではリハビリによる運動指導・トレーニングはもちろん、椎間板ヘルニアが原因で腰痛の症状が出ている場合には椎間板治療を行うことも可能です。
- 椎間板ヘルニアと診断されるも治療方法が分からない
- 1カ月経っても腰痛や足の痛みが変わらない
等、お悩みをお持ちの方は一度診断を受けられることをオススメ致します。
参考文献 参照元
※参考論文および文献―
①T C Kwiatkowski 1, E N Hanley Jr, W K Ramp:Cigarette smoking and its orthopedic consequences:Am J Orthop (Belle Mead NJ). 1996 Sep;25(9):590-7.
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/8886197/
この記事の著者

院長 野中 康行
NLC野中腰痛クリニックでは、DST法をはじめとする腰痛治療を行っています。海外の先進治療を導入することで、腰をはじめとする脊椎疾患に悩む患者様の治療の選択肢を広げ、症状や状態に合わせた治療を提案しております。 主に脊柱管狭窄症、すべり症、椎間板ヘルニア等の対象疾患を中心に、ご高齢の方、再手術を検討する方、短期間での社会復帰を求める方にとって体への負担の少ない治療法を提供しています。