患者様の情報
80代 女性
疾患・症状
患者様の状態
38年前に腰痛発作(ギックリ腰)を初めて経験され、以後も腰痛発作を繰り返されていたところ、20年ほど前より坐骨神経痛が出現する様になられました。神経痛は徐々に悪化し、最近では歩くのにも支障が生じ、家事も満足に出来なくなられたため当院を受診されています。
検査
腰のMRI検査です。第2腰椎から第1仙骨まで腰のクッションである椎間板が変形しています。椎間板ヘルニアと診断致します。また、第4腰椎と第5腰椎の間では足の神経も圧迫されており、脊柱管狭窄症を合併されておられます。
治療
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
DRT(椎間板再生治療)も適応ですが、今回はディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行っております。
治療中にAnnulogram検査(椎間板の検査)の結果を説明するために、鎮静剤は使用せずに局所麻酔のみで治療を開始いたしました。
治療用の管は、NST針(非常にやわらかくて、曲げるなど成形しやすい特殊な針です)を使用していますが、今後は特注で直径0.6mmの管を用意する予定です。
椎間板検査としてAnnulogram検査を行っております。患者様にも画面で検査結果を確認してもらいました。
黒く映ってくる部分が損傷部位となり、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行った箇所になります。
左側が治療直前のレントゲン写真、右側が治療直後のレントゲン写真となります。治療時間は17分、2時間後には歩いて帰宅していただきました。
院長の一言
昨日は大学時代の仲間たちとゴルフに行ってまいりました。卒業してから24年になりますが、当時は全然勉強が苦手だったのに教授になっていたり、忙しくない生活を送るといっていたのに開業医になっていたり、人生はつくづく予測できないものだと思いました。そして、みんな太っていました。笑
さて、昨日の阪神タイガースは、雨の中9回に2点差を逆転し、見事に勝利いたしました。三浦監督、すんません。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。