患者様の情報
50代 男性
疾患・症状
状態
患者様は、2018年7月に当院で脊柱管狭窄症に対してディスクシール治療を行いました。治療後の経過は良好であり、運動も支障がない状態が続いておられましたが、2週間ほど前に駅の階段で転倒され、尾骨を強打した後から右足に坐骨神経が出現するようになったために、本日当院を受診されました。
治療
2018年7月にディスクシール治療を行った際の動画記録です。
治療後の状態
疼痛スケール
2018年7月 | 2024年11月 | |
---|---|---|
腰の痛み | 0点 | 4点 (運動時に出現) |
下肢の痛み | 10点 | 5点 |
しびれ | 5点 | 0点 |
臀部の痛み | 10点 | 0点 |
(患者様に痛みを10段階で評価してもらい、0点は痛みがない状態を意味します)
MRI検査結果
治療前後のMRI写真です。左側の写真が治療前(2018年7月)、右側の写真が本日(2024年11月)の写真です
診察結果
腰を捻転させると腰部に鈍痛が出現し、叩打痛も伴っていました。坐骨神経痛は徐々に改善しており、10分以上の歩行も可能な状況でした。MRI画像でも骨折などの異常は確認されず、転倒を契機とした炎症性神経障害と判断しました。1ヵ月程度で症状は消失する見込みであるとご説明しております。
まとめ
患者様が心配されていたのは、「ディスクシール治療をした部分に新たな障害が生じていないか?」「再治療の必要性がないのか?」ということでした。幸いにもその様なことはなく、鎮痛薬を内服するだけで自然回復すると説明し安心していただきました。
院長の一言
本日は東京院での診察をさせて頂きました。今年7月に循環器内科の先生を患者様として治療させていただいたのですが、その先生のご紹介で、当院で腰痛治療を研修したいと希望する都内の大学病院で勤務医されている先生が、本日お越しになられましたので、海外で行われている腰痛治療の知識や治療技術についてご説明させていただきました。当院では幹細胞関連の腰痛治療も導入しており、神経障害が後遺症になった症例にも対応ができていることに驚かれていました。海外での標準的治療が、日本でも標準的治療になるように治療技術を広めていきたいと思っています。
ところで、東京のホテル代が高騰しています。、都内では1泊3万円が普通で、安くて1泊2万円台のホテルになっており、インフレの凄さを実感いたしました。早く家に帰りたいです。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。