概略
腰椎椎間板ヘルニアでは、腰に負担をかけることは避けましょう。長時間の立ち仕事や座り姿勢、中腰での重い物の持ち上げは要注意です。運動不足や過度な運動も避け、適度な運動やストレッチを心がけることが重要です。喫煙は腰痛を悪化させる可能性があるため、禁煙を推奨します。日常生活の見直しと生活習慣の改善が予防に繋がります。
腰椎椎間板ヘルニアの時にやってはいけないこと
腰椎椎間板ヘルニアの原因は様々ですが、主に遺伝的要因、加齢、過度な身体への負担が考えられます。特に過去にスポーツをしていたり、腰に負荷がかかるような仕事をしていた方に多く見られ、10代や20代でも診断されることがあります。椎間板ヘルニアが悪化すると腰痛や坐骨神経痛の症状が発症しますので、以下の点に注意が必要です。
腰に負担のかかる作業
前かがみになるような姿勢
腰椎椎間板ヘルニアは体を丸めた姿勢によって痛みが出ることが多く、特にデスクワークでの長時間の座位や運転といった前かがみの姿勢を続けることで痛みやしびれといった症状が出ることがあります。前かがみになる姿勢が多い場合は、下記を意識するようにしてみてください。
- デスクワーク中は20~30分に1回立ち上がる
- 長時間運転をする場合は車から降りてストレッチする
- スマートフォンを猫背のまま扱わない
中腰で重いものを持ち上げる作業
中腰の姿勢で重い物を持ち上げたり、持ち続ける姿勢は腰に非常に負担がかかるため、腰を下まで下ろし膝を使って持ち上げるようにしましょう。また腰椎ベルトをお持ちの場合は、腰に巻くことで腰への負担を軽減することができます。
運動不足
日常的な運動不足
日常的にあまり運動をしていないと筋力低下や筋肉の緊張、筋肉の硬直を起こし、痛みが悪化する場合は適度な運動は積極的に取り入れるようにしてください。腰への負担が少なく、運動不足を解消する方法として水泳がおすすめです。また、30分程のウォーキングやストレッチも効果的です。ストレッチは症状や身体の状態に応じて適切な運動方法があります。
強い負荷の運動
椎間板に強い負荷がかかる運動
椎間板は体を捻ったり、曲げたりする動作をスムーズに行うための機能があります。この椎間板に強い負荷がかかると神経痛や痺れの原因になります。既に痛みがある場合にはこのような運動をなるべく控えていただくことをお勧めします。
- 体の片側だけに負担がかかる運動
- 捻る動作が多い運動
- 強い負担がかかる運動
ゴルフ、野球、激しい筋力トレーニング、ボウリング、テニス等は特に腰に負担がかかりやすい運動になるため、運動の前後にストレッチを念入りに取り入れていただき、痛みが強い場合は無理にしないように心がけてください。
喫煙
喫煙は腰痛を悪化させる可能性があると示唆されています。研究論文により、喫煙者は非喫煙者と比較して腰痛の発生率が高くなることが分かっています。腰痛にお悩みの場合は禁煙されることをお勧めします。
腰椎椎間板ヘルニアの予防方法紹介
腰椎椎間板ヘルニアは体を酷使したり、加齢によって椎間板の変形が進行し椎間板ヘルニアが起こるため、身体の動かし方や生活習慣の見直しから予防していくことが大切です。
- 適度な運動をする
- 同じ姿勢を続けるときは適度に休憩する
- スポーツをする時はストレッチ等の柔軟運動を行う
- バランスの取れた食事を心がける
特に座り姿勢は腰にとって負担のかかりやすい体勢であるため長時間椅子に座っての作業が多い方は適度な休憩を挟み、姿勢を良くして座るようにしましょう。
NLC野中腰痛クリニックによる腰椎椎間板ヘルニアの治療実績
当院における腰椎椎間板ヘルニアの治療実績をご紹介します。腰部脊柱管狭窄症と併発するケースも多くみられます。当院の腰椎椎間板ヘルニアの治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、6,358件(集計期間:2018年6月~2024年10月)
椎間板が変形したことで神経の周辺が炎症し、両足がしびれて仕事をすることも困難になられた患者さまです。ディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行うことで炎症を改善した後、足の症状の改善を図りました。
腰椎分離症と腰椎すべり症、そして椎間板ヘルニアと診断されておられる患者さまです。4年ほど前より左坐骨神経の領域に疼痛としびれが出現しておられ、原因治療を目的にディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行いました。
まとめ
腰椎椎間板ヘルニアは早ければ10代から発症する可能性のある病気です。まずは今回ご紹介したやってはいけないことに注意し、予防方法を実践いただくことをお勧めします。しかし、腰痛や坐骨神経痛、痺れ等の症状を繰り返し、慢性的になっている場合や、年々悪化傾向にある場合には手術も必要になることがあります。野中腰痛クリニックでは椎間板ヘルニアに対する治療法として症状に合わせた治療法を提供しています。椎間板の内圧が高く、MRI上の椎間板ヘルニアが軽度から中度である場合には「PLOT法」「PODT法」「PLDD法」が有効であり、脱出型・遊離型の椎間板ヘルニアに対しては「PIDT法」や「ディスクシール治療(Discseel® Procedure)」を提供しております。当院では椎間板の修復・再生を目的としたディスクシール治療(Discseel® Procedure)を提供しています。
※当院は腰椎専門のクリニックです。頚椎椎間板ヘルニアの施術は行っておりません。ご了承ください。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。