【経過報告】治療後半年で左臀部から下肢にかけての痛みとしびれが改善

患者様の情報

60代　男性

疾患・症状

• 椎間板変性症
• 脊柱管狭窄症
• 坐骨神経痛

患者様の状態

これまでに急性腰痛症（ぎっくり腰）を何度か起こされており、半年程症状が持続し改善しないため受診されました。症状は左の臀部から下肢にかけての痛みとしびれを自覚されておりました。VASスコアは臀部の疼痛3、下肢の疼痛3、下肢の神経障害性疼痛3でした。

検査

MRIでL2/3から5/Sにかけて椎間板の容量（厚み）はある程度保たれておりますが、椎間板変性を認めており、脊柱管の狭窄も軽度認めておりました。線維輪の損傷を疑いましたので、治療法はDST法を選択いたしました。

Annulargram検査と治療

DST法（ディスクシール治療）

Annulargram検査にて椎間板後方（脊髄や坐骨神経がある方向）への造影剤の漏れを多く認めております。神経側への髄核成分の漏れ出しは神経周囲での炎症を引き起こす可能性が高く、症状の原因となっていると推測されますので、フィブリン製剤による線維輪損傷部の修復を行いました。

治療後3ヵ月の時点での調査では、臀部や下肢の症状が日によって出現する部位や症状に変化があったようですが、治療後6ヵ月の時点では症状は消失しており、とても満足いただいておりました。今後も症状の改善が維持されることを願っております。

まとめ

椎間板のボリューム（厚み）があり、狭窄が軽度の症例は一般的には外科的治療の適応とはならず、保存的に経過観察をすることが勧められることが多いと思います。しかし、椎間板は自然には修復・維持されることは無く、徐々に損傷していくものですので、脊柱管狭窄症やすべり症などの形態的（見た目）の変化が大きくなる前で炎症が主な原因であるうちに治療することで症状は改善しやすい傾向にあります。将来的な悪化を防ぐ効果も期待されると考えておりますので、症状を繰り返す場合や症状が3ヵ月以上続く場合は早めに検査を行い、今後の対策を考えることが重要だと感じております。