患者様の情報
60代 男性
疾患・症状
患者様の状態
20歳の頃にヘルニアに対して外科的治療をされた経緯がある患者様ですが、ゴルフを契機に腰痛と左下肢神経障害性疼痛を発症され、改善がみられないため当院を受診されました。
診察と検査結果
MRIでは第1腰椎から仙骨までの椎間板変性、椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症を認めておりました。他院で椎間板ヘルニアと診断されておりましたため、PLDD(レーザー治療)を希望されておりましたが、5個の椎間板全てで線維輪の損傷が強く疑われる状態であり、症状が出現していることからPLDDの再発率と長期的な視点での椎間板に対するメリットとデメリットをDSTと比較してご説明いたしましたところ、DSTでの治療を希望されました。
施術内容
DST法(ディスクシール治療)
椎間板に対して検査を行いつつ治療を行いました。
椎間板L4/5は外科的治療術後でありましたので、治療前から椎間板の状態が心配でありました。造影検査の結果では懸念していた通り、高度椎間板変性を認め、椎間板機能の大幅な低下が疑われました。
検査結果から同部での椎間板機能の改善は難しい可能性がありましたが、他部位を含めた全ての椎間板の線維輪の損傷をDST法により修復いたしました。
椎間板を検査しておりますが、黒く映し出される部分が損傷部位となり、DST(ディスクシール治療)を行う箇所となります。
副院長の一言
腰痛治療には様々な治療法があり、医療者が患者様ごとに最良であると考える治療法はあります。治療方法の決定には患者様の病状はもちろんのこと、ライフスタイルなども考慮しつつ、患者様のご要望を伺いながら模索してまいりたいと思っております。
昨日から急に気温も低下し、肌寒さと夏の終わりを実感して寂しく感じております。体調を崩しやすい季節でございますので、皆様も体調管理に気を付けていただきたいと思います。
治療法
DST法(ディスクシール治療)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事
NLC野中腰痛クリニック 副医院長石田 貴樹
2009年:高知大学卒業・医師免許取得、2012年:神戸市立医療センター西市民病院勤務、2013年:兵庫県立尼崎病院勤務、2014年:関西労災病院勤務、2019年:ILC国際腰痛クリニック勤務、2021年:NLC野中腰痛クリニック勤務、2022年:2年間の研修を経て10月にライセンスを獲得、2023年:医療法人蒼優会理事就任・NLC野中腰痛クリニック副院長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。
椎間板変性症
椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。
変形性腰椎症
変形性腰椎症とは背骨の変形により骨の棘ができる疾患です。椎間板の変形や背骨の不安定性により骨の棘ができ腰痛や足の神経障害を引き起こします。