背骨のお役立ち情報 / 院長ブログ

「手術成功=痛み消失」ではない!?脊柱管狭窄症やヘルニアの手術後に痛みが残る3つの理由

はじめに

腰痛や坐骨神経痛に悩み、意を決して手術を受けたものの、「手術は成功したと言われたのに、一向に痛みが引かない…」と不安を抱えていませんか?
実は、医療現場で言われる「手術の成功」と、患者様が望む「症状の改善」の間には、知られざるギャップが存在します。
今回は、なぜ手術が成功しても痛みが残ってしまうのか、その理由と手術前に知っておくべき重要なポイントをわかりやすく解説します。


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目次

医者が言う「手術の成功」=「症状の改善」ではない!?

多くの患者様は「手術の成功=痛みが消えること」と考えますが、医師にとっての「手術の成功」とは、主に画像上の改善(目的の達成)を意味します。

  • ①手術の本来の目的:狭くなっている神経の通り道を広げること、またはグラグラしている骨を固定すること。
  • ②成功の基準:術後の検査画像で、狙い通り通り道が広がり、骨が固定されていれば、手術自体は「成功」と判断されます。

日本の外科医は非常に手先が器用で勉強熱心なため、神経を傷つけるような手術の「失敗」は滅多にありません。しかし、「神経の通り道が広がった(手術成功)」からといって、必ずしも「痛みが消える(症状改善)」わけではないのです。

手術成功の意味

手術後に痛みが残る3つの主な原因

では、なぜ手術が成功したのに痛みが残ってしまうのでしょうか。原因は大きく分けて3つあります。

手術後の痛みの原因

手術による身体へのダメージ(侵襲)

メスを入れて背中を切り開く外科手術では、骨を削ったり、靭帯をはがしたり、筋肉にダメージを与えたりします。この手術操作そのものによる組織の傷や炎症が、術後の痛みの原因になることがあります。

神経そのものの深い損傷(慢性炎症)

長い間、骨や靭帯によって神経が強く圧迫され続けていると、神経自体に元に戻らないダメージ(微細な傷など)がついてしまいます。神経の周りにある「髄鞘(ずいしょう)」というゼリー状の部分に小さな傷が入るだけでも、電気信号がうまく伝わらず、異常電流のような「しびれ」や痛みが残ってしまうのです。

そもそも痛みの根本原因が「狭さ」ではない

画像上でヘルニアや脊柱管狭窄症(骨のすべり)があっても、全く症状が出ずに元気に暮らしている人は世の中にたくさんいます。つまり、「神経の通り道が狭いこと」と「痛みがあること」は必ずしもイコールではありません。実は、痛みのもう一つの大きな原因は「椎間板のダメージによる化学的な炎症」です。

外科手術(特に固定術)の後に起こりやすいトラブル

骨をチタンのプレートなどで固める「固定術」を行った場合、以下のような二次的な問題が起こるリスクがあります。

手術後に起こりやすいこと
  • ①一時的な強い痛み・違和感:体内に異物(プレート)が入ることや、今まで動いていた場所が急に動かなくなることでトラブルが生じます。
  • ②筋力や可動域の低下:手術後の入院生活や安静期間(一般的に1日寝ると回復に3日かかると言われます)によって足腰の筋力が低下し、高齢の方ほど動けなくなってしまうリスクがあります。
  • ③隣接障害(お隣さんへの迷惑):一部の骨をプレートで固定すると、そこが動かない分、その上下にある椎間板に過度な負担がかかるようになります。その結果、上下の椎間板の劣化が早まってしまい、新たな痛みを引き起こす原因になります。

手術を受ける前に絶対に確認すべき3つのポイント

外科手術は一度行ってしまうと、決して元の状態には戻せません。後悔のない選択をするために、必ず以下の3点を確認・検討してください。

外科手術の注意点

手術の目的とメリット・デメリットを正しく理解する

先生に言われるがまま受けるのではなく、「何を目的とした手術か」「術後にどんなデメリット(動きにくさ、隣接障害など)があるか」を事前にしっかり確認しましょう。

身体へのリスクや術後の生活を知る

入院期間中の安静によってどれくらい筋力が落ちるのか、回復にどれくらいの期間がかかるのか、事前に把握しておくことが大切です。

他の治療法(手術以外の選択肢)と比較する

脊柱管狭窄症やヘルニアの治療法は、外科手術だけではありません。ご自身の痛みの原因がどこにあるかによって、選ぶべき治療は変わります。

手術をしない選択肢:「椎間板の炎症」を抑える治療

もし、あなたの痛みの根本原因が「狭さ」ではなく「椎間板から漏れ出た成分による炎症」である場合、骨を削ったり固定したりする外科手術をしても効果が出ない可能性が高いです。その場合の選択肢として、当院では「ディスクシール治療」などをメインに行っています。

特徴内科的・低侵襲治療(ディスクシールなど)外科手術(固定術など)
アプローチ傷んだ椎間板を修復し、炎症(中身の漏れ出し)を止める骨を削って通り道を広げる、または骨を固定する
身体への負担細い針を使用するため非常に少ない(異物も入らない)メスで切開し、骨を削るため負担が大きい
入院期間日帰りでの治療が可能一定期間の入院・安静が必要
画像との関係狭いまま、ヘルニアが出っ張ったままでも痛みが改善するケースが多い画像上の狭さを解消することを最優先とする

痛みの原因が「炎症」であれば、骨が狭いままであっても、椎間板の修復治療を行うことで劇的に症状が改善する方がたくさんいらっしゃいます。

ディスクシール治療の説明

まとめ

「手術をすればすべてが治る」と思い込んでしまうと、術後に痛みが残ったときのショックは大きくなります。
まずは、ご自身の痛みの本当の原因が「神経の圧迫(狭さ)」なのか、それとも「椎間板の炎症」なのかをしっかりと見極めることが大切です。外科手術のメリット・デメリットだけでなく、切らない最新の治療法なども視野に入れ、色々と勉強した上で納得のいく治療法をお選びください。

まとめ

切らずに治す治療のご相談はこちら

ご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。MRI画像からあなたの症状に合わせた治療を提案いたします。

今回ご紹介した当院の治療法

ディスクシール治療


この記事の著者

野中腰痛クリニック 大阪本院 副院長:石田貴樹

大阪本院 副院長石田 貴樹

2009年:高知大学卒業・医師免許取得、2012年:神戸市立医療センター西市民病院勤務、2013年:兵庫県立尼崎病院勤務、2014年:関西労災病院勤務、2019年:ILC国際腰痛クリニック勤務、2021年:野中腰痛クリニック勤務、2022年:2年間の研修を経て10月にライセンスを獲得、2023年:医療法人蒼優会理事就任・野中腰痛クリニック副院長就任、2025年:研修を経て10月に頚椎ディスクシール治療ライセンスを獲得


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