2020年12月に腰椎椎間板ヘルニアの外科的摘出術を受けられましたが症状の改善が無かったため、ご友人の紹介で当クリニックを受診された患者さまです。腰椎全般に椎間板変性と腰椎椎間板ヘルニアが認められたため、ディスクシール治療により症状の改善を図りました。治療中はほとんど痛みを感じられなかったようで、こちら側が行う説明もしっかりとご理解された様子でした。治療後は1時間半程度お休みいただき、ご帰宅されました。
腰椎椎間板ヘルニア/ 腰の病気の原因や症状と治療法
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腰椎椎間板ヘルニアとは
このページは、腰椎椎間板ヘルニアの原因や症状、その治療法についてご紹介します。
腰椎椎間板ヘルニアとは、線維輪に亀裂が生じ、髄核が外に飛び出すことで、痛みや痺れなどの症状が現れる病気です。椎間板を簡単に説明すると、背骨にある椎体と椎体の間には椎間板が存在しており、中央にはゼラチン状の髄核とその髄核を取り囲むようにコラーゲンを豊富に含んだ線維輪があります。椎間板は髄核と線維輪の2つの組織により形成されています。また、前提としてヘルニアは体内の一部があるべき所から飛び出てきてしまった状態を指し、でべそや脱腸もヘルニアに含まれます。
腰椎椎間板ヘルニアは女性と比べると男性が2倍ほど患者の数が多く、年齢別にすると20代~40代に多くみられる病気です。大きく分けて、突出型と脱出型の2つのタイプがあります。
突出型
線維輪の亀裂が少なく髄核が線維輪から飛び出さないが、髄核が後方へ移動して神経の一部を圧迫するタイプ
脱出型
椎間板が傷む事により線維輪に亀裂が入り、髄核が線維輪を突き破り炎症を引き起こしたり神経を直接的に圧迫するタイプ
主な原因とメカニズム
遺伝的要因や加齢、日常生活の負担による椎間板の老化が主な原因となります。本来、椎間板の中の髄核は水分で満たされていますが、加齢や日常生活での負担とともに線維輪に亀裂が入る事で髄核が線維輪から漏れ出し、水分が無くなることで薄くなり潰れた状態になります。特に日常生活で重たい物を持ち上げたり、激しいスポーツを行うことが椎間板を痛める原因になります。また、喫煙もヘルニアの原因の1つであると考えられています。病院やクリニックを受診した際に撮影されたレントゲンとMRIでも椎間板が黒く写り、潰れた状態が確認できます。
以前から重度のヘルニアであっても患者によっては痛みがない場合や、反対に軽度のヘルニアでも強い痛みがでる場合があり、謎とされていましたが、最新の情報では飛び出した髄核が炎症を起こす結果、近くにある神経に炎症が飛び火する事で痛みが発生する事が分かってきました。そして飛び出した髄核の炎症は一定期間(数か月)で自然消失する事も判明してきました。例えると焚火と同じで、新しい薪をくべると激しく燃えますが、ある程度時間が経過すると火が消えてしまうのと同じです。また薪は燃えたあと炭として残りますが、ヘルニアでは、炎症後に自然に吸収されることもあれば炭の様に残存することもあります。そして炭の様に残存したヘルニアは画像検査で重度のヘルニアとして見えるのですが、炎症後であるので症状はありません。
腰椎椎間板ヘルニアによる痛みは、脱出した髄核による物理的な神経圧迫ではなく、脱出した新鮮な髄核による炎症が原因です。
つまり数か月以上痛みが持続している人は、常に新しい髄核が漏れ続けている事を意味しており、反対に痛みが改善した人は、髄核の漏れが止まった状態を意味します。この事は非常に大切で、外科的手術では漏れ出た髄核を摘出し炎症を消失させるのですが、線維輪の亀裂を塞ぐ事が出来ないので、髄核が漏れ続け高い再発率の原因となっています。
主な症状とその特徴
腰のヘルニアは腰椎椎間板ヘルニアといい、主にお尻や足の痛み・しびれ・力が入りにくいというような症状が出ます。このような症状を坐骨神経痛と呼びます。
急性型と慢性型があり、急性型は重たい荷物を持ち上げた時やくしゃみをした時などに起こります。急性腰痛は所謂ぎっくり腰です。急性型の場合、1週間~1ヵ月程で次第に症状は軽くなっていきます。しかし、ぎっくり腰を何度も繰り返し、椎間板が損傷すると身体の状態を維持できなくなり、椎間板から髄核がさらに押し出されて炎症を引き起こしたり神経を圧迫してしまい、慢性的に痛みを感じるようになります。
痛みの大きさは無症状の方から激痛のする方までさまざまで、酷い場合には寝られないほどの痛みが出ます。また、稀に麻痺や排尿・排便障害の症状を発症する場合もあります。これらの症状は腰部脊柱管狭窄症でも共通するので、どちらの病気であるか判断できないケースもあります。
検査と治療法
腰椎椎間板ヘルニアかどうかの診断は、現在の症状やこれまでの経過、身体の診察の結果を見て、MRI検査やレントゲンで精密検査し、総合的に診断しています。ヘルニアを目視で確認するにはMRI検査が有効です。MRI検査で腰椎椎間板ヘルニアの位置、大きさ、形、神経の押され具合がわかり、自然に放置しても治りやすいものなのか、治療を施す場合、どういった治療が適切か等を確認します。MRI検査はMRIの性能や撮影の方法によって小さなヘルニアが見つからないことがあります。ヘルニアが写っていたとしてもしびれや痛みの原因が別にある場合もあります。腰椎椎間板ヘルニアではないと言われたが実は小さなヘルニアだったとか、腰椎椎間板ヘルニアと言われていたが実は別の病気だったということもありますので、まずは診察を受けることをご検討ください。
椎間板ヘルニアは症状や状態によって治療方法が異なります。治療法としてまず選択されるのは保存治療です。お薬による投薬コントロール、神経根ブロックと呼ばれるブロック注射、リハビリになります。しかし、保存治療で痛み・痺れが改善されない、激痛で動けない場合には外科的手術も検討されます。外科的手術は一般的に椎間板の飛び出した部分(ヘルニア)を切除する方法が採用されますが、各治療法にはそれぞれメリット・デメリットがあります。詳しくは下記ページをご参照ください。
当院が腰椎椎間板ヘルニアに対して行う治療方法
DRT法
経皮的椎間板再生治療
ディスクシール治療
Discseel® Procedure
PLDD法
経皮的レーザー椎間板減圧術
PODT法
経皮的椎間板オゾン治療
PLOT法
経皮的オゾンレーザー治療
当院の治療がどのように腰椎椎間板ヘルニア効果があるのか?
当院では、老化して線維輪に亀裂が入った椎間板に対して修復・再生治療を行っています。もし椎間板容量の減少が少なく、線維輪が損傷していなければ、PIDT法やPODT法、PLDD法といった治療も行います。しかし、椎間板に亀裂が入っている状態では、いずれ椎間板の水分がなくなり、徐々に狭くなる事も考えられるので、ディスクシール治療をお勧めしています。ディスクシール治療は、根本原因である線維輪の断裂に対して修復を行いますので、手術で改善しないヘルニアや手術で再発したヘルニアにも有効です。また、髄核が漏れ続けると椎間板が潰れ、最終的に腰部脊柱管狭窄症等を併発するのですが、髄核の漏れを防ぐことで椎間板のクッション機能を弾力性がある状態に戻し、腰部脊柱管狭窄症等の進行を抑制します。
治療症例
当院における腰椎椎間板ヘルニアの症例紹介をご紹介します。腰部脊柱管狭窄症と併発するケースも多く、また坐骨神経痛などの症状もみられます。当院の腰椎椎間板ヘルニアの症例紹介はこちらをご覧ください。NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、6,358件(集計期間:2018年6月~2024年10月)
定年後ゴルフに熱中される中で、もともとお持ちだった腰痛が悪化し、2021年8月頃より左のお尻や太ももの裏側に痛みを感じたことからお近くの病院を受診し、腰椎椎間板ヘルニアが判明した患者さまです。外科的手術を勧められるも辞退し当クリニックを受診されました。椎間板の変形と炎症が見られたため、ディスクシール治療による治療を行いました。治療中は皮膚をつねられる程度のお痛みを感じられていましたが、特に問題はなく治療は20分程度で終了しました。
よくある質問と回答
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- Q
腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法はありますか?
- A
腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげるには、姿勢の見直しや適度なストレッチが最適です。また筋力低下も痛みの原因となるので、無理のない範囲でトレーニングをおこなうことも有効です。詳細は、「腰椎椎間板ヘルニアの痛みを和らげる方法ーまずは医師にご相談を」をご覧ください。
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- Q
腰椎椎間板ヘルニアは自然治癒しますか?
- A
すべての腰椎椎間板ヘルニアが自然治癒するというわけではありませんが、神経に飛び出したヘルニアが体外へ流れ出て、神経への圧迫が緩和されると炎症が消え、痛みがなくなり、6ヵ月程度の期間を目安に自然治癒するケースもあります。しかし、ヘルニアが消失したとしても再発し、炎症が生じると炎症が長期間に渡って続き、やがて慢性的な痛みに変わります。自然治癒を待つべきなのかどうかは担当の医師と相談した上で判断されることをおすすめします。
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- Q
腰椎椎間板ヘルニアを早く治す方法はありますか?
- A
腰椎椎間板ヘルニアを早く治す方法は、なるべく症状の出ない生活を心掛けることです。腰椎椎間板ヘルニアを小さくする飲み薬、運動、リハビリはありません。また、整体やマッサージ、電気治療もヘルニアを小さくする治療ではありません。姿勢や動き方によって痛みやしびれが出る場合は、神経が刺激されている可能性がありますので、なるべく症状の出ない生活を心掛けることが大事だと言えます。
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- Q
腰椎椎間板ヘルニアの予防法はありますか?
- A
腰椎椎間板ヘルニアの基本的な予防法は、腰に負担のかからない生活を送ることです。例えば、下記のような取り組みが挙げられます。
- 長時間、同じ姿勢を保たない
- 重いものを持ち上げる際は、腰を落として膝を活用して持ち上げる
- 体重を増やさない
- 適度なストレッチを行う
ストレッチについては、「【腰椎椎間板ヘルニアのストレッチ】腰痛専門医が教える自宅でできるストレッチ」をご覧ください。
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- Q
手術後はどのくらいの時間・期間で歩くことができますか?
- A
手術方法にもよりますがPELD、MEDのような切除術の場合、2~3日程の入院期間が必要になります。その後、帰宅が可能です。当院でも行っているPLDD法やディスクシール治療は日帰りでの治療のため、術後1時間程で歩いてご帰宅いただけます。
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- Q
レーザー治療(PLDD法)とはどのような治療ですか?
- A
レーザー治療は椎間板内の圧力上昇に対しての圧力を下げる治療法です。針(穿刺針)を椎間板に挿入し、ヘルニアの状態に合わせて半導体レーザーを照射します。
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- Q
腰椎椎間板ヘルニアは危険な病気ですか?
- A
人によっては症状が強く出る場合が多く、座ることができない、歩けないといった重度の症状が現れる事があります。まずは腰痛の診断をして適切な治療法を見つける事がなによりも大切です。
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- Q
腰椎椎間板ヘルニアを放置したらどうなりますか?
- A
腰椎椎間板ヘルニアは症状が消失し、自然治癒する可能性がある疾患です。ヘルニアを起こした椎間板が修復・再生することはありませんが、縮小または消失することならあります。外科的手術を検討する前に症状の変化を見ながら、負担の少ない治療を提案するように心がけています。
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- Q
一度切除したヘルニアが再発することはないのでしょうか?
- A
一回の切除で痛みが緩和されることもありますが、切除した場合、その切除部分から椎間板の中にある髄核が漏れ出し再発する可能性があります。傷口をふさぐことで再発のリスクを下げる事ができるのはディスクシール治療だけです。
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- Q
外科的手術後の再手術は可能ですか?
- A
はい、可能です。
当院では針を使った治療を行っているため、外科的手術後でも治療を行う事ができます。まずは検査と診察を行い最善の治療法を診断いたします。
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- Q
腰椎椎間板ヘルニアと診断された場合、あまり運動しない方がいいのでしょうか?
- A
運動できないほど痛い場合以外は適度な運動は必要です。運動を怠ると体の筋肉が衰えてしまい、痛みが強くなる場合もあります。正しい運動方法を身につける事で症状が緩和することもあります。当院では腰痛に特化したリハビリ施設と提携し、腰痛の根本改善に努めています。
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- Q
手術後気をつけなくてはいけないことはなんですか?
- A
当院の腰椎椎間板ヘルニアの治療後は、その日の内にご帰宅が可能ですが、腰にはコルセットを巻いて安静にした状態でお帰りいただくことをお願いしております。また、1ヵ月ほどは激しい運動などお控えいただき、適度なウォーキング・ストレッチを推奨しています。
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- Q
腰椎椎間板ヘルニアの手術までの通院は何回必要ですか?
- A
当院の治療の場合、診断後その日の内に治療を受ける事が可能です。診断のみをご希望され、後日治療だけお越しいただくこともあります。
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- Q
腰椎椎間板ヘルニアの手術後、飛行機には乗れますか?
- A
症状にもよりますが、飛行機にお乗りいただくことができます。万が一、術後に痛みがある場合には医師の判断によりご搭乗が難しい場合もありますので、異常を感じられた場合は当院までご連絡ください。
椎間板ヘルニアについて院長が解説
対応する腰の病気一覧
対応疾患
腰椎椎間板ヘルニア
腰部脊柱管狭窄症
腰椎すべり症
椎間板変性症
変形性腰椎症
対応する症状
坐骨神経痛
間欠性跛行
監修医師の紹介
野中 康行院長
院長略歴
- 2002年
- 川崎医科大学 卒業
医師免許取得
- 2006年
- 神鋼加古川病院(現:加古川中央市民病院) 勤務
- 2011年
- 医療法人青心会 郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科) 勤務
医療法人青心会 理事就任
- 2018年
- ILC国際腰痛クリニック 開設
院長就任
- 2020年
- 医療法人康俊会 開設
理事長就任
- 2021年
- NLC野中腰痛クリニック 開設
院長就任
- 2023年
- 医療法人蒼優会 開設
理事長就任
石田 貴樹副院長
副院長略歴
- 2009年
- 高知大学 卒業
医師免許取得
- 2012年
- 神戸市立医療センター西市民病院 勤務
- 2013年
- 兵庫県立尼崎病院 勤務
- 2014年
- 関西労災病院 勤務
- 2015年
- 神戸大学医学部附属病院 勤務
- 2018年
- 神戸大学医学部附属病院 助教就任
- 2019年
- ILC国際腰痛クリニック 勤務
- 2021年
- NLC野中腰痛クリニック 勤務
2年間の研修を経て2022年10月にライセンスを獲得
- 2023年
- 医療法人蒼優会 理事就任
医療法人蒼優会 NLC野中腰痛クリニック 副院長就任
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- 腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアの患者さまは、腰の痛み、手足のしびれといった症状が出ます。重たい荷物を持ち上げたときやくしゃみなどで起こることもあり、これをぎっくり腰と呼びます。当院では、まずMRI検査やレントゲンといった精密検査で総合的に診察し、どのような治療が適切か判断いたします。「手術で改善できなかった」「再発してしまった」という患者さまには、ディスクシール治療で腰椎椎間板ヘルニアの原因に直接アプローチする治療法がおすすめです。症状がある方は、お気軽にご相談ください。
NLC野中腰痛クリニック院長
野中 康行