椎間板ヘルニアになりやすい年齢は、比較的若い20~40歳代と言われており、男女比も男性2~3に対して女性1と、統計的に男性の方が発症リスクが高いというデータが出ており、そこに遺伝や生活習慣の要素も加わると、発生リスクはさらに高まるとの報告も挙がっています。


目次

椎間板ヘルニアの原因は?若いとなりやすい?

  • 遺伝的要因
  • 加齢
  • 無理な動作(重量物を持ち上げるなど)
  • 喫煙

上記が椎間板ヘルニアの主な原因と考えられます。このような原因から、腰のクッションである椎間板の中の線維輪に傷がつき、中央にある髄核が外に漏れ出てしまいます。以前までは、飛び出た髄核の物理的圧迫により椎間板ヘルニアの症状が出ると言われていました。最近では、飛び出た髄核が炎症を起こすことにより椎間板ヘルニアの症状が出るとされています。「若いから腰痛にはならない」と仰る方もいますが、椎間板ヘルニアになりやすい年齢は、20-40歳代といわれています。遺伝的な要素もありますので、ご心配な方は専門医の診察を受けていただければと思います。

椎間板ヘルニアになるとどんな症状が出る?

椎間板ヘルニアになると、腰の痛み、お尻から足にかけての痛みしびれが出現します<坐骨神経痛>。腰を丸めたり、前かがみ姿勢になると症状が悪化することが多いです。症状が進行すると感覚障害や排尿障害が出現することがあります。


椎間板ヘルニアの治療方法とは?

椎間板ヘルニアの治療方法は「保存療法」と「外科手術」と「椎間板治療」の3つに分けることが出来ます。

保存療法

  • 薬物療法……お薬を飲んだり、湿布を貼るなど。
  • 神経根ブロック……お薬の効果が乏しい場合は、神経ブロック注射を打ち、脳への痛みの伝達を遮断する。
  • リハビリテーション……腰を支える筋肉のトレーニングなどを行う。

保存療法とは、上記のような治療方法です。手術では無いので、お体への負担は少なくなります。まずは保存療法からスタートすることが多いです。とても良い治療法ですが、椎間板自体を治すわけではないので、椎間板ヘルニアが完治することはありません。

外科手術

  • 椎間板切除術……椎間板を切除し、神経への圧迫を緩和させます。
  • 椎間板摘出術……顕微鏡や内視鏡を使用し、椎間板を摘出します。

主な外科手術はこの2種類になります。椎間板ヘルニアの根本治療となります。全身麻酔を行い皮膚を切開するので、お体への負担は大きくなります。入院も必要となります。

椎間板治療

  • 椎間板内酵素注入療法……ヘルニコアと呼ばれる治療が代表的です。椎間板内へ酵素を注入することにより神経の圧迫を緩和させます。
  • 経皮的椎間板減圧術……レーザー治療と呼ばれる治療が代表的です。椎間板の内の髄核に対し、レーザーを照射し蒸発させ、椎間板の圧を緩和させます。

椎間板治療とは、メスを使わず局所麻酔で行える手術です。お体への負担は外科手術と比べ、少なくなります。


椎間板ヘルニアになりやすいのは?若者?男性?

「若いから腰痛にはならない」と仰る方もいますが、椎間板ヘルニアになりやすい年齢は、20-40歳代といわれています。男女比でいうと、2~3:1ほどです。男性の方が椎間板ヘルニアになりやすいです。データ通りだと、20歳から40歳代の男性で腰痛の方は、椎間板ヘルニアを疑うべきかもしれません。そこに遺伝的要因なども加わるとリスクが上がります。「自分は大丈夫」と自己判断されずに、専門医の診察を受けることをお勧めします。


椎間板ヘルニアに効果的なストレッチ

  1. 四つ這い姿勢になります(手は肩の真下、膝は股関節の真下に着きます)
  2. 右手と左足を伸ばします
  3. 5秒キープして元に戻し、反対の手足でも同様に行います
  4. 1セット5回ずつとし、1日に3セット行います

ポイント

  • 手足を上げる時に、体がふらつかないように意識します。難しい場合は、足はベッドにつけたまま手だけを伸ばしてください。

椎間板ヘルニアの根本治療をお探しの患者様へ

椎間板ヘルニアが発症しても、特に何もせずに痛みが緩和したというお話を聞いたことがありませんか?飛び出たヘルニアは、体の機能により3か月ほど経つと自然に吸収されます。上記のように「自然に治った」と仰る方は、この体の機能によるものです。もちろん、3か月以降もヘルニアのお痛みに悩まれている方もたくさんおられます。そのような方は、腰のクッション(椎間板)の傷が塞がっておらず、中にある髄核という成分が漏れ続けている状態です。体の機能を使いヘルニアを吸収しても傷が塞がっていなければ、髄核は漏れ続け、炎症も継続し痛みやしびれの症状も継続します。根本治療となるのは飛び出ているヘルニアに対しての治療では無く、ヘルニアが飛び出る原因となる、椎間板の傷口の治療を行う必要があります。当院では日帰りで椎間板の傷口の治療を行える、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行っております。入院が必要ありませんし、メスを使用しないのでお体への負担は少ない治療となっております。下記に、椎間板の傷口の治療とはどのようなものかをまとめています。是非一度、ご確認ください。


椎間板ヘルニアに年齢、性別は関係する!?若くしてヘルニアになった場合の治療方法についてもまとめて解説!のまとめ

  • 20~40歳代
  • 男女比は2~3:1

椎間板ヘルニアに年齢や性別は関係します。データでお話しすると、20-40歳代の男性の方は特に注意が必要です。さらに遺伝や生活習慣の要素も加わると、リスクはさらに上がります。もし診察を受けた結果、椎間板ヘルニアと診断があれば「保存療法」「外科手術」「椎間板治療」の3つのうちいずれかの治療案内があると思います。それぞれの治療にメリットデメリットがあるので、担当のドクターとご相談の上で治療方法を決めていただければと思います。「若いので大丈夫」と自己判断せずに、まずは専門医の診察を受けてください。早期治療が大切になります。


参照先

腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第2版 宮本 雅史, 中嶋 隆夫 日本内科学会雑誌 2016年 105巻11号p.2210-2214

引用リンク

腰椎椎間板ヘルニア診療ガイドライン改訂第2版

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。