椎間板ヘルニアの腰痛患者様にへ推奨している良い寝方は、エビ姿勢(横向けで背中や腰を丸める姿勢)です。しかし、良い寝方とはいえ、長時間の同じ姿勢は腰に負担が掛かりますので、姿勢を小まめに変えることを意識しましょう。


目次

椎間板ヘルニアと楽な姿勢について

腰骨の間には椎間板というクッションがあります。さらに、クッションの中には線維輪と中央部分には髄核という組織があります。腰椎椎間板ヘルニアとは、線維輪に傷がつき髄核が外に飛び出し、痛みやしびれが出る病気のことを言います。

  • 立っているよりも座っている方が辛い
  • 同じ姿勢を長時間続けられない
  • 腰を丸くすると痛い

椎間板ヘルニアの患者様は、上記のような症状が出ることが多いです。上記の姿勢では、椎間板の内圧(負担)が高くなります。椎間板ヘルニアにとっての楽な姿勢とは、椎間板の内圧が上がらないような姿勢です。 内圧が高くなると、椎間板を圧迫するストレスが高くなることを意味します。少しでも椎間板の内圧を下げるためには、下記の記載項目を意識してください。

  • 長時間座らず、適度に立ち姿勢を取り入れる
  • 長時間同じ姿勢を取らないように、姿勢を小まめに変える
  • 前かがみ姿勢や中腰姿勢を避け、腰を落として物を取るなど正しく体を動かす

正しい体の動かし方や姿勢については、専門のリハビリスタッフによる指導を受けることが重要です。お近くのリハビリテーション科にお問い合わせいただくことをお勧めします。

椎間板ヘルニアにうつぶせは良いか

椎間板ヘルニアには、うつ伏せは良いとされています。ヘルニアの場合腰を丸めるよりも、少し反った状態の方が椎間板へのストレスは少ないとされています。一度うつ伏せで寝転んでみて、少しでも楽であれば適度にうつぶせ寝を試してください。ただ、ずっと同じ姿勢も良くないので適度に姿勢は変えてください。反対に痛みがひどくなるようなら、あなたの症状にはうつぶせ寝は適していないので、お控えください。


椎間板ヘルニアと寝る姿勢は関係するか

椎間板ヘルニアに寝る姿勢は関係します。1日のうち、約3分の1はベッド上で過ごしていると言われています。3分の1の時間を腰にとって良い姿勢で過ごすのか、悪い姿勢で過ごすのかは椎間板ヘルニアにとって大きな影響を持ちます。脊柱管狭窄症であれば、エビ姿勢(横向けで背中や腰を丸める姿勢)や仰向けで膝の下にタオルを入れて腰を丸める姿勢をお勧めしています。その方が、腰の神経の通り道を圧迫しないためです。ただ、椎間板ヘルニアとなると腰を丸める事より、少し反らすことを意識してください。正解は一つでは無いと思いますが、次の項目でおすすめの寝方をお伝えします。

椎間板ヘルニアに良い寝方、楽な寝方とは

  1. バスタオルを丸めます
  2. 丸めたバスタオルを腰のウエストの部分に当てます
  3. 痛い方の腰を上側にして、横向けになります

解説

  • バスタオルを当てることにより、腰骨のカーブが保ちやすくなり負担が軽減されます。痛みがひどくなる場合は、中止してください。

椎間板ヘルニアと寝具について

椎間板ヘルニアにとって寝具はとても重要です。いくら良い姿勢で寝たところで、寝具自体が合っていなければ腰の痛みは軽減しません。特に、マットレスは椎間板ヘルニアにとっても重要となります。

椎間板ヘルニアに良い寝具、悪い寝具

下記2点をマットレスを選ぶ際の参考にしてください。椎間板ヘルニアにとって良い寝具、悪い寝具のポイントとなってきます。

  • 寝返りが打ちやすいか

良い姿勢で寝ることが出来たとしても、ずっと同じ姿勢のままだと椎間板へは負担が掛かります。寝返りが打ちにくければ、腰への圧力が増し、朝起きた時の腰の痛みが出現するはずです。起床時の腰の痛みが強い場合は、寝返りがしやすいマットレスへの変更をご検討ください。おすすめのマットレスは、実際に患者様自身で寝転んでいただく必要があります。「値段が高い=良いマットレス」ではありません。実際に寝返りをうってみて、腰の負担が軽減されているかをご確認ください。

  • 柔らかすぎないか

柔らかすぎるマットレスは、腰が必要以上に沈み込んでしまいます。沈み込みすぎてしまうと、寝返りが打ち辛くなり、結果的に長時間同じ姿勢を取ることとなります。長時間の同じ姿勢は、日常生活でも睡眠時でも避けなければなりません。悩まれたら、少し硬めのマットレスを選ばれることをお勧めします。


メスを使用しない、日帰りで行える椎間板ヘルニアの治療方法とは

椎間板ヘルニアが発症しても、特に何もせずに痛みが緩和したというお話を聞いたことがありませんか?飛び出たヘルニアは、体の機能により3か月ほど経つと自然に吸収されます。上記のように「自然に治った」と仰る方は、この体の機能によるものです。もちろん、3か月以降もヘルニアのお痛みに悩まれている方もたくさんおられます。そのような方は、腰のクッション<椎間板>の傷が塞がっておらず、中にある髄核という成分が漏れ続けている状態です。いくら体の機能を使い、ヘルニアを吸収しても傷が塞がらず漏れ続けているので、炎症は起き続け痛みやしびれ症状も継続します。根本治療となるのは飛び出ているヘルニアに対しての治療では無く、ヘルニアが飛び出る原因となる、椎間板の傷口の治療を行う必要があります。当院では日帰りで椎間板の傷口の治療を行える、DST治療(ディスクシール治療)を行っております。入院が必要ありませんし、メスを使用しないのでお体への負担は少ない治療となっております。下記に、椎間板の傷口の治療とはどのようなものかをまとめています。是非一度、ご確認ください。


椎間板ヘルニアに良い寝方は?うつ伏せはどう?楽な姿勢についてまとめて解説!のまとめ

椎間板ヘルニアにとって負担の掛かる姿勢とは、椎間板の内圧(負担)が高まっている状態を言います。椎間板ヘルニアの負担を少しでも軽減するためには、内圧が上がらない姿勢を保つ必要があります。以下のことを意識し、日常生活を送ってください。椎間板ヘルニアにとって楽な姿勢となります。

  • 長時間座らず、適度に立ち姿勢を取り入れる
  • 長時間同じ姿勢を取らないように、姿勢を小まめに変える
  • 前かがみ姿勢や中腰姿勢を避け、腰を落として物を取るなど正しく体を動かす

椎間板ヘルニアにとって良い寝方とは、腰が丸くなっていない姿勢のことです。脊柱管狭窄症では腰を丸める姿勢が良いとされていますが、ヘルニアではその姿勢は負担が掛かります。動画でご紹介したように、丸めたタオルをウエスト部分に当ててみてください。その他にも、膝を真っすぐした仰向けやうつぶせ寝も有効です。ただ、いくら良い姿勢でも長時間の同じ姿勢は、腰に負担が掛かります。姿勢を小まめに変えることを意識してください。それでも症状が治まらない場合は、お早めに専門医の診察を受けていただくことをお勧めしております。


参照先

腰部椎間板内圧に関する研究 奥島 平八郎 京都大学医学部外科整形外科学教室内 日本外科宝函編集室 日本外科宝函 1970年3月15日 39巻1-2号p.45-57

引用リンク

腰部椎間板内圧に関する研究

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。