人間は1日のうち約8時間を寝て過ごしますが、その間に腰に負担をかける寝方をしていると腰椎すべり症や腰痛の原因になります。腰椎すべり症に良い寝方は、タオルを膝の間に挟んで腰を丸める寝方です。これは骨が前方にずれるのを防ぎます。逆にやってはいけない寝方は、仰向けや横向きで腰が反る寝方で、骨が前方にずれやすくなります。


目次

すべり症や腰に寝方は関係するか

すべり症や腰に、寝方は関係します。日本人の平均睡眠時間は7~8時間と言われています。1日の約3分の1はベッドの上で過ごしていることになります。日常生活を送る上で、腰に負担を掛けないように心掛けていても寝方次第では、その心掛けも無駄になってしまう可能性があります。すべり症や腰痛の改善には、日常生活<3分の2>だけではなく、ベッド上での寝方<3分の1>の意識も見直すことが重要となります。


すべり症に良い姿勢と悪い姿勢

すべり症に良い姿勢と悪い姿勢というものが、存在します。良い姿勢は、体幹の筋力を使って真っすぐに姿勢を保つことが出来る姿勢をいいます。反対に悪い姿勢は、体幹の筋力が衰えたり筋肉が硬くなることで、腰が反ってしまう姿勢をいいます。すべり症は、ほとんどの場合が、骨が前にすべってしまう前方すべり症です。反り腰になると、余計に骨が前に滑ってしまい、すべり症の症状が増悪してしまいます。日常生活ではもちろん、寝ているときも反り腰姿勢には気を付けなければなりません。

反り腰の簡単チェック方法

患者様ご自身が、現時点で反り腰かどうなのかを理解することが重要です。簡単なチェック方法をご紹介いたしますので、是非お試しください。

反り腰

姿勢隙間
仰向けになり腰とベッドの間に手がスルっと入る

正常

姿勢隙間
仰向けになり腰とベッドの間に手が入りにくい

上記の表の通り、1度ご自身の姿勢をチェックしてください。すべり症の方は、反り腰になっている可能性が高いです。


すべり症や腰に良い寝方と悪い寝方

前述した通り、反り腰はすべり症や腰に負担の掛かる姿勢です。朝起きたときに、腰が痛かったり足の痛みやしびれを感じやすい方は、腰に負担の掛かる寝方をしている可能性があります。出来る限り、腰が反りにくい姿勢を取る必要があります。

すべり症に良い寝方を動画付きで解説

  1. 膝と膝の間にクッションやバスタオルを挟む
  2. その状態で横向けになる

ポイント

  • 上記の姿勢をとることにより、骨盤が少し後ろに傾き、腰を反らない姿勢を取ることが出来ます。すべり症に優しい寝方となります。

日帰りで行える、すべり症の治療をお探しの方へ

外科手術は、腰椎すべり症に対する根本治療ですがお体への負担は大きくなります。「全身麻酔は怖い」「長期の入院はしたくない」「体にメスを入れたくない」など様々なご意見があるかと思います。当院で行っている、DST法(ディスクシール治療法)はすべり症に対して、日帰りで行える椎間板治療となります。メスを使用しないので、お体の負担は少なくご高齢の方にも治療を受けていただくことが可能です。


すべり症や腰に良い寝方、悪い寝方のまとめ

すべり症には、良い寝方と悪い寝方があります。すべり症は多くが、骨が前にすべってしまう前方すべり症に分類されます。反り腰姿勢になると、余計に骨が前にすべってしまい、すべり症の症状が増悪します。日中は、腰が反っていないかを意識できると思いますが寝ているときは難しいです。なので、すべり症に適した正しい寝方が重要になります。タオルを膝と膝の間に挟み、少しでも腰を丸めるようにしてください。寝起きの腰の痛みが少しでも、緩和するかもしれません。ただ、緩和したしてもすべり症が治ったわけではありません。すべり症の完治を目指すのなら、まずは専門医の診察を受けることをお勧めいたします。


参照先

腰痛患者の骨盤傾斜に関する研究 白井 康正 日本医科大学雑誌 1967年34巻1号p.59-71

引用リンク

腰痛患者の骨盤傾斜に関する研究

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎すべり症

腰椎すべり症

腰椎すべり症とは背骨が前方や後方にずれてしまう疾患です。腰痛・足の神経障害の他に間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状を引き起こします。