すべり症の外科手術は根本治療となりますが、手術後も痛みやしびれが消失せず、後遺症が残ることがあります。これを腰椎手術後疼痛症候群(FBSS)と言います。どんな治療法にもメリット・デメリットが存在しますので、まずは専門医の診察を受けることから始めてみてください。


目次

すべり症の手術後に痛みはある?

外科手術を行ったからといって、痛みやしびれがすぐに完全に消えるわけではありません。腰椎手術後疼痛症候群といって、外科手術後も痛みやしびれが残る悪化する、または新たな痛みを感じることがあります。様々な理由がありますが、固定するための挿入金具による刺激であったり、神経損傷などが考えられます。また術後に痛みが緩和すると、どうしても無理な動きをしてしまうものです。

すべり症の手術後の生活や注意点は?

  • 重たいものを持つ
  • 腰を捻る
  • 腰を極端に曲げる、反らす
  • 長時間同じ姿勢を取る

再発することも考えられますので、上記のような動作や姿勢には充分にお気を付けください。

お仕事や睡眠について

お仕事については、事務職などのデスクワークであれば、30分に1度程度立ち上がるなど姿勢を変えてください。長時間の同じ姿勢は腰に負担が掛かります。重たいものを持つなど、重労働は控えることが賢明です。どうしても行う必要がある場合は、コルセットを装着してください。睡眠については、横向けになり腰を少し丸めるような姿勢を取ってください。うつ伏せなど腰が反ってしまう姿勢は避けてください。仰向けであれば、ひざ下にクッションを挟むことも効果的です。

運動や入浴について

運動については、ウォーキングなど腰に負担の掛からない運動から始めてください。ゴルフやテニスなど腰を過度に捻る運動は、ご注意ください。ゆっくり2,3割の力でスイングすることから試し、いきなりフルスイングすることはお控えください。入浴については、シャワーチェア(立ち座りをしやすくするお風呂用の椅子)を用いるなどして、腰に出来るだけ負担を掛けないようにしてください。


腰に負担の掛からない、物の持ち方

重たいものを持たないに越したことはありません。ただ、全く物を持たないことは不可能です。出来るだけ腰に負担の掛からない方法をお伝えします。

正しい物の持ち方

  1. 対象物の真正面に近づいて立つ。
  2. おへそを対象物に出来るだけ近づける。
  3. おへそと対象物が離れないように、ゆっくり持ち上げる。

間違った物の持ち方

  1. 対象物から離れて立つ。
  2. おへそを近づけずに対象物を持つ。
  3. おへそと対象物が離れた状態で、勢いよく持ち上げる。

すべり症に対しての、新しい選択肢とは

外科手術は、腰椎すべり症に対する根本治療ですがお体への負担は大きくなります。「全身麻酔は怖い」「長期の入院はしたくない」「体にメスを入れたくない」など様々なご事情があるかと思います。 当院で行っている、DST法<ディスクシール治療法>はすべり症に対して、日帰りで行える椎間板治療となります。メスを使用しないので、お体の負担は少なく、ご高齢の方にも治療を受けていただくことが可能です。詳細は下記のURLからご確認ください。


すべり症の手術後の注意点は?手術後の日常生活のポイントのまとめ

すべり症の治療方法は、「保存療法」と「外科手術」に分けることが出来ます。さらに外科手術は、「除圧術」、「固定術」に分類できます。外科手術は、すべり症の根本治療となりますが、手術後もすぐに痛みしびれが消失しないこともあります。腰椎手術後疼痛症候群といい、手術後にも症状が残る、増悪することも考えられます。手術後の日常生活にも、下記のような注意が必要です。

  • 重たいものを持つ
  • 腰を捻る
  • 腰を極端に曲げる、反らす
  • 長時間同じ姿勢を取らない

すべり症の治療は「保存療法」、「外科手術」、「椎間板治療」があります。どの治療法にもメリットデメリットが存在します。お悩みの方は、まずは専門医の診察を受けることから始めてみてください。


参照先

腰椎変性すべり症に対する後方除圧術単独の治療成績 : 利点ならびに問題点(1.腰部脊柱管狭窄症:腰椎変性すべり症に対する手術法,<特集>高齢化社会における脊椎・脊髄外科) 井須 豊彦, 菅原 淳,金 景成,森本 大二郎,磯部 正則,松本 亮司  脳神経外科ジャーナル 2009年18巻2号p.90-97

引用リンク

腰椎変性すべり症に対する後方除圧術単独の治療成績 : 利点ならびに問題点(1.腰部脊柱管狭窄症:腰椎変性すべり症に対する手術法,<特集>高齢化社会における脊椎・脊髄外科)

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎すべり症

腰椎すべり症

腰椎すべり症とは背骨が前方や後方にずれてしまう疾患です。腰痛・足の神経障害の他に間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状を引き起こします。