反り腰は脊柱管狭窄症の原因や悪化につながり、寝ている時にも起こります。脊柱菅狭窄症を軽減するための寝る姿勢は、胸を張らずに頭のてっぺんを天井に引っ張られるように意識することが大切です。また、ご自身に合った寝具を選ぶことが重要で、寝返りが打ちやすい硬めのマットレスがおすすめです。


目次

脊柱管狭窄症と姿勢について

脊柱管狭窄症は、神経が通る骨のトンネル(脊柱管)が狭くなることで症状が出現します。具体的にどのような姿勢かというと、腰を反る姿勢が該当します。腹筋が上手く使えない場合や、腰回りの筋肉が硬くなることにより、骨盤が前の方に傾くと反り腰姿勢になります。反り腰になると脊柱管狭窄症が増悪し、腰痛や下肢の痺れ、歩行制限につながります。

脊柱管狭窄症におすすめの姿勢改善

脊柱管狭窄症に対しては、反り腰姿勢を避けるべきです。 胸を張った良い姿勢を取ろうとしすぎ、反り腰姿勢になっていることはよくあります。 まずは胸を張って、背筋を伸ばそうとすることを止めてください。 頭のてっぺんが天井から吊られるような、真上に少し伸ばされる意識をもち日常生活を送ってください。「胸を張った良い姿勢=脊柱管狭窄症にとって良い姿勢」では無いことを覚えておいてください


脊柱管狭窄症と寝る姿勢は関係するか

脊柱管狭窄症と寝る姿勢は関係します。反り腰というのは、何も立っている姿勢だけではありません。寝転んでいる姿勢でも反り腰になってしまっていることがあります。起きている時間は脊柱管狭窄症に優しい理想の姿勢が取れていても、寝ている時に反り腰になっていると脊柱管狭窄症は悪化する可能性が高くなります。

脊柱管狭窄症に良い寝方

  1. 膝と膝の間にクッションやバスタオルを挟む
  2. その状態で横向けになる

ポイント

  • 上記の姿勢をとることにより、骨盤が少し後ろに傾き、腰を反らない姿勢を取ることが出来ます。脊柱管狭窄症に優しい寝方となります。

脊柱管狭窄症に悪い寝方

  1. 膝をピンッと伸ばす
  2. 仰向けになる

ポイント

  • 上記の姿勢をとることにより、骨盤が前に傾き腰がベッドから浮いてしまっています。脊柱管狭窄症が悪化する寝方となります。

脊柱管狭窄症と寝具について

脊柱管狭窄症に良い寝具とは、寝返りを打ちやすいかどうかがポイントとなります。その方に合った寝具、合っていない寝具があります。値段だけで決めることはお勧めできません。できれば実際に寝転び、寝返りがスムーズに出来るかを確認していただければと思います。

脊柱管狭窄症におすすめの寝具

寝返りをスムーズに行うためには、少し硬めのマットレスをお勧めします。寝返りが打てないと、同じ姿勢を何時間もとることになり脊柱管狭窄症が悪化するおそれがあります。 相性もありますので、無理のない範囲でいくつかのマットレスを試していただければと思います。

脊柱管狭窄症に悪い寝具

マットレスが柔らかすぎるものは、お勧めできません。ご自身の体重により、腰が沈んでしまい寝返りが上手く打てないことがあります。寝転んだ時に、体が下に沈みきっていないかを確認してみてください。


寝る姿勢や寝具を工夫しても脊柱管狭窄症の症状が改善しない場合

脊柱管狭窄症と姿勢には深い関わりがあります。反り腰になってしまうと、神経が通っている骨のトンネルが狭くなることにより、脊柱管狭窄症が悪化します。そのためには、日常生活や睡眠時の姿勢の改善が有効です。ただ、姿勢改善をしてもすべての脊柱管狭窄症が改善するわけではありません。脊柱管の狭窄具合が重度の場合など、反り腰姿勢を改善しても痛みやしびれが変わらない場合もあります。そのような場合は専門の医師にMRI画像を撮影してもらい、診察を受けることをおすすめします。保存療法(投薬やマッサージ)ではなく、外科手術と診断される場合もあると思います。「メスを使用するのが怖い」「家庭の事情で入院することが難しい」と仰る方も多くおられます。NLC野中腰痛クリニックでは、メスを使わずに脊柱管狭窄症の日帰り治療を行うことが出来ます。


脊柱管狭窄症の寝る姿勢や寝具、寝方についてのまとめ

脊柱管狭窄症を改善するためには、姿勢改善が必要です。反り腰になると、神経の通り道である骨のトンネルが狭くなり、脊柱管狭窄症が悪化します。普段の姿勢や寝る姿勢を工夫することが必要です。マットレスや寝具を見直す必要があります。脊柱管狭窄症に良いストレッチを行うことも重要ですが、脊柱管狭窄症に良くないことを止めることも非常に大切となります。脊柱管狭窄症に対して正しい知識を持ち、症状改善に努めていただければと思います。現在の症状に対して、どのような姿勢が良いのかが分からないといった場合は、医師などの専門医にまずはご相談いただければと思います。


参照元

腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2011 稲毛 一秀, 大鳥 精司, 折田 純久, 高橋 和久 日本内科学会雑誌 15巻(2016)10号

引用リンク

腰部脊柱管狭窄症診療ガイドライン2011

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。