患者様の情報

80代 女性

疾患・症状


患者様の状態

13年前に自宅で転倒した際に腰部を強打し、以後左坐骨神経領域の痛みとしびれがたびたび出現する状態になられました。痛みとしびれは年齢を重ねるごとに増し、歩けない状態となられた為に当クリニックを受診されました。


診察と検査結果

MRI

腰のMRI検査ですが、腰を真横から見た写真で、向かって右側が背中側となります。腰は腰椎と呼ばれる骨が縦に並んで出来ており、腰椎と腰椎の間にはクッションである椎間板が存在しております。また腰椎と椎間板の傍には足の神経が通っております。このMRI検査では1箇所椎間板が潰れており、腰椎がずれている部分が見られます。腰椎がずれることをすべり症と言います。その結果、足の神経が圧迫を受け、神経痛の原因となっております。


施術内容

DST法(ディスクシール治療)

通常であれば外科的手術も適応になる場合がございますが、患者様に腎不全や腸閉塞(単純性イレウス)の既往があり、体力的にもリスクが高いことからDST(ディスクシール治療)を選択されました。今回は腰部椎間板L3/L4、L4/L5の2箇所にDST(ディスクシール治療)を行いました。

治療風景①

局所麻酔を用いて、皮膚から椎間板まで治療用の管を挿入しております。

治療風景②

潰れた椎間板に治療用の管を挿入する場合は、神経に触れない様に細心の注意を払いつつ、複数の角度から椎間板の位置を確認します。

造影検査を行い、損傷した椎間板を確認しているところです。黒く映っている部分がありますが、DST(ディスクシール治療)が必要な部分となっています。治療時間は20分程度であり、2時間ほどベッドでお休みいただき帰宅していただきました。


院長より一言

本日治療させて頂きました患者様より「なかなか予約がとれないですね」と言われてしまい、返答に窮しました。出来るだけ多くの患者様を診させていただくべく、外来予約の工夫も重ねておりますが、痛みに耐えながら診察をお待ちの患者様におかれましてはご迷惑をおかけしているのも事実でございます。この場を借りお詫び申し上げます。


治療法

DST法(ディスクシール治療)

治療期間

日帰り

治療費用

1,320,000円~1,650,000円(税込)

リスク・副作用

治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


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椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。


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坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。