椎間板ヘルニアは、椎間板周囲で発症した炎症が神経を刺激し、腰や足のしびれとして発現します。また、足の右側・左側と足の片側にだけ症状が見られるのは、椎間板ヘルニアが腰のどちら側で発症しているかに起因します。椎間板ヘルニアによる足のしびれの治し方として、原因である炎症を抑制する治療が必要です。


目次

椎間板ヘルニアになるとなぜ足が痺れるのか

椎間板ヘルニアとは、線維輪に傷が生じ髄核が外に飛び出すことで、痛みや痺れなどの症状が現れる病気です。椎間板というクッションの中にある、髄核が外に飛び出すと炎症が起きます。その炎症が神経にも飛び火すると痛みやしびれが発生します。腰から足に繋がっている神経に炎症が起き、その結果足のしびれが発生します。

椎間板ヘルニアでは片足だけがしびれやすい

しびれの理由は前述した通り、飛び出た髄核が炎症を起こし、神経に飛び火することによってしびれが発生します。右足にしびれが出ている場合は、右側の腰の神経に炎症が起きているということです。同様に、左足にしびれが出ている場合は、左側の腰の神経に炎症が起きています。よって、椎間板ヘルニアでは右足だけや左足だけのように、片足だけにしびれが出ることが多いです。

椎間板ヘルニアでは両足同時にはしびれにくい

同時に両側の神経に炎症が起きることは稀です。腰椎椎間板ヘルニアになり、両足にしびれがでにくい理由は、そのようなことが考えられます。


椎間板ヘルニアと足のしびれの治し方

椎間板ヘルニアが発症しても、特に何もせずに痛みが緩和したというお話を聞いたことがありませんか?飛び出たヘルニアは、体の機能により3か月ほど経つと自然に吸収されます。「自然にヘルニアの痛みが治った」と仰る方は、この体の機能によるものです。もちろん、3か月以降もヘルニアの痛みにお悩みの方もたくさんおられます。そのような方は、腰のクッション<椎間板>の傷が塞がっておらず、中にある髄核が漏れ続けている状態です。いくら体の機能を使い、ヘルニアを吸収しても傷が塞がらず漏れ続けているので、神経への炎症も続きます。その結果、足のしびれ症状も続いてしまいます。足のしびれを治すためには、飛び出ているヘルニアに対しての治療では無く、ヘルニアが飛び出る原因となる、椎間板の傷口の治療を行う必要があります。当院では日帰りで椎間板の傷口の治療を行える、DST治療(ディスクシール治療)が可能です。入院が必要ありませんし、メスを使用しないのでお体への負担は少ない治療となっております。下記に、椎間板の傷口の治療とはどのようなものかをまとめています。是非一度、ご確認ください。


椎間板ヘルニアからくる、足のしびれに体操は有効か

体操を行っても、ヘルニアの根本解決にはなりません。ただ、筋肉をつけることにより腰への負担を軽減することは可能です。道具を使わずにご自宅でも行えますので、一度お試しください。

足のしびれを予防する体操

  1. 壁などを持って、立ちます
  2. ゆっくりかかとを上げて、ゆっくりかかとを下げます
  3. この動きを1セット20回繰り返します
  4. 1日3セット行います

ポイント

  • かかとを上げたときに、腰が反ったり丸くなったりしないように意識します。

なぜ足がしびれる?椎間板ヘルニアと足のしびれについて専門医師が徹底解説。のまとめ

腰骨の間にあるクッション(椎間板)の中に、線維輪と中央部分に髄核があります。腰椎椎間板ヘルニアとは、髄核が飛び出てしまい、炎症が起きることを言います。その炎症が、腰から足につながる神経へ飛び火すると足のしびれが出現します。右側の腰の神経に炎症が飛び火すると、右足のしびれが発生します。同様に、左側の腰の神経に炎症が飛び火すると、左足のしびれが発生します。椎間板ヘルニアでは、片足だけしびれることが多く、両足が同時にしびれることは稀です。理由は、同時に両側の神経に炎症が飛び火することが少ないからです。この足のしびれを治すためには、腰のクッション(椎間板)の傷口を治療する必要があります。飛び出たヘルニア自体を取り除いても、根本であるクッションの傷口が治っていなければ、新たなヘルニアがまた飛び出すことになります。椎間板ヘルニアの根本治療をご希望の方は、当院までお問い合わせいただければと思います。


参照先

腰椎椎間板ヘルニアの自然縮小とその臨床的意義について 池田 天史, 中村 孝文, 千田 治道, 梅田 修二, 菊池 太朗, 藤本 徹, 高木 克公 整形外科と災害外科 1997年46巻4号p.1087-1091

引用リンク

腰椎椎間板ヘルニアの自然縮小とその臨床的意義について

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。