概略

MRI検査は体の内部を可視化し、腰痛の原因を特定するのに役立ちます。ただし、MRI検査で確認される全ての異常が腰痛なのかどうかまでは分かりません。正常な状態に見えなくとも、それがイコール深刻な腰痛というわけではございませんのでご安心ください。


MRI検査で腰痛が分かるのか? 序論

目次

はじめに

再診で来院された70代の男性患者様に「MRIで腰痛って本当に分かるものですか?」と聞かれました。多くの腰痛患者様は、そもそもMRIとは何をするためのものだろう?と思われるかもしれません。本日は、診察に欠かすことができないMRI検査についてお話ししたいと思います。


結論

MRI検査で腰痛かどうか迄は分かりません。しかし、身体の内部構造を診ることで腰痛の原因を発見することができます。


MRIとは

MRIは、日本語で「磁気共鳴画像法」と言います。その名の通り、磁気の力で背骨の状態をCG画像にすることができます。つまり、背骨に生じた怪我や加齢に伴う変化をお身体を開かずに診ることが可能となります。


MRI検査の欠点

MRI検査は、脊椎の問題を診断する際の世界標準ですが完璧ではありません。他の検査と同様に、診断の結果が腰痛の根本原因ではない可能性があるということです。多くの臨床研究では、30代と40代の個人の約30%が腰痛がないにもかかわらず、MRI画像で腰椎椎間板ヘルニアを持っていることが示されました。そのため、MRI検査だけで診断することはできません。 MRIで見られる全ての情報が、患者様の訴える症状(痛みの期間、場所、重症度など)と相関しているかを確認することが必要です。


まとめ

MRI検査は、身体の内部構造を視覚化し、腰痛の原因を発見する検査です。特にご高齢の方は、腰椎の構造や組織に加齢による損傷の形跡が見られるのが普通です。正常な状態に見えなくとも、それがイコール深刻な腰痛というわけではございませんのでご安心ください。

MRI検査で腰痛が分かるのか? 結論

参考文献参照元

①Medical expert and machine learning analysis of lumbar disc herniation based on magnetic resonance imaging - 2022 - Meng Han, Lei Liu, Mengzi Hu, Guangpu Liu, Peipei Li - Computer Methods and Programs in Biomedicine (VOLUME 213)
②Association of Early Imaging for Back Pain With Clinical Outcomes in Older Adults - 2015 - Jeffrey G Jarvik, Laura S Gold, Bryan A Comstock, Patrick J Heagerty, Sean D Rundell, Judith A Turner, Andrew L Avins, Zoya Bauer, Brian W Bresnahan, Janna L Friedly, Kathryn James, Larry Kessler, Srdjan Nedeljkovic, David R Nerenz, Xu Shi, Sean D Sullivan, Leighton Chan, Jason M Schwalb, Richard A Deyo - JAMA (VOLUME 313, ISSUE 11, P1143-1153)
③New Way To Diagnose Sciatica May Point To A Different Cause - 2005 - Cedars-Sinai Medical Center
④Magnetic resonance imaging of lumbar disc herniation. Comparison with myelography - 1990 - K Hashimoto, O Akahori, K Kitano, K Nakajima, T Higashihara, Y Kumasaka - Spine (VOLUME 15, ISSUE 11, P1166-9)
⑤The diagnostic accuracy of magnetic resonance imaging, work perception, and psychosocial factors in identifying symptomatic disc herniations - 1995 - N Boos, R Rieder, V Schade, K F Spratt, N Semmer, M Aebi - Spine (VOLUME 20, ISSUE 24, P2613-25)

参考文献のリンク

Medical expert and machine learning analysis of lumbar disc herniation based on magnetic resonance imaging
Association of Early Imaging for Back Pain With Clinical Outcomes in Older Adults
New Way To Diagnose Sciatica May Point To A Different Cause
Magnetic resonance imaging of lumbar disc herniation. Comparison with myelography
The diagnostic accuracy of magnetic resonance imaging, work perception, and psychosocial factors in identifying symptomatic disc herniations

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任