患者様の情報
60代 男性
疾患・症状
患者様の状態
2年前からゴルフ後に腰痛と左足のしびれを認め、最近になり症状がひどくなり、こむら返りを起こすこともある状態で来院されました。
診察と検査結果
MRIではL2/3~5/Sの椎間板で変性を認めており、L3/4ではヘルニアを認めております。しかし、狭窄は伴っていないことから、疼痛の原因はヘルニアによる狭窄ではなく線維輪の損傷部位からの髄核成分の漏出による炎症が症状の原因と考えられました。
施術内容
DRT(椎間板再生治療)
DRTによる線維輪の修復や椎間板周囲組織の再生が適応と判断し、治療しました。
治療の際には鎮静剤を使用し、患者様には眠っていただいている状態で疼痛を感じることなく治療を行うことができました。
造影検査にて椎間板の後方側(脊髄側)への損傷、造影剤の漏出を認めておりました。
4箇所の椎間板に対してDRT治療を行いました。治療時間は15分でした。採血や遠心分離、その他薬剤の準備などを含めて合計25分ほどで治療室から個室に戻られました。
副院長の一言
症状は悪化傾向ではありましたが、椎間板の損傷は軽度から中等度でありました。もちろん重症の方でも治療効果は認めますが、より早期の損傷の状態で治療を行うことで将来的な悪化を予防できる可能性も高まると思っておりますので、良い時期での治療となったのではないかと思います。
治療法
DRT法(経皮的椎間板再生治療)
治療期間
日帰り
治療費用
1,430,000円~1,760,000円(税込)
リスク・副作用
治療後は内出血・腫れ・発赤・疼痛・かゆみ・変色・および圧痛が発生することがあります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
禁忌事項
血液疾患に罹患中の方(血小板減少症、高度の欠乏性貧血など)、感染に伴う全身症状(発熱など)、癌・悪性腫瘍と診断され術後治療中の方は治療できません。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事
NLC野中腰痛クリニック 副医院長石田 貴樹
2009年:高知大学卒業・医師免許取得、2012年:神戸市立医療センター西市民病院勤務、2013年:兵庫県立尼崎病院勤務、2014年:関西労災病院勤務、2019年:ILC国際腰痛クリニック勤務、2021年:NLC野中腰痛クリニック勤務、2022年:2年間の研修を経て10月にライセンスを獲得、2023年:医療法人蒼優会理事就任・NLC野中腰痛クリニック副院長就任
腰椎椎間板ヘルニア
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腰部脊柱管狭窄症
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