患者様の情報
60代 女性
疾患・症状
患者様の状態
10年以上前からぎっくり腰を自覚されていました。ここ最近では慢性の腰痛に悩まされていましたが、日常生活は送ることが出来ておられました。しかし今年になって新たに左足のしびれが出現する状態にななられ、悪化した場合には生活に支障が生じる事が予測されることから当院を受診されています。
診察と検査結果
腰のMRI検査ですが、椎間板が3箇所以上で潰れている状態です。椎間板のクッション機能が消失し炎症も生じている状態と推定されます。この様な状態を椎間板変性症と椎間板ヘルニアと言います。
施術内容
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
椎間板損傷部位4箇所(L2/L3、L3/L4、L4/L5、L5/S1)を治療し炎症を抑えることで腰痛と神経障害の改善を図りました。
治療前にMRI画像から椎間板の損傷を推定しているところです。
背中に局所麻酔を行いつつ、治療用の管を椎間板まで挿入しているところです。腰の状態をモニター画面で確認して神経や血管を損傷しない様に気を付けています。
レントゲン装置が腰の周りをグルグルと回転しています。治療用の管を挿入する際にはいろいろな角度から腰と管の位置関係を確認する為です。
椎間板を検査して損傷の程度を確認しています。この後に椎間板治療を行いました。
治療時間は17分でした。
院長の一言
本日の午後はSCS外来を行いました。SCSとは脊髄神経刺激療法の略ですが、脊椎の手術後も神経障害の改善が無い患者様に対する特殊治療になります。私もSCSの手術は良く行っており、関西では治療件数No.1になった事もあり、市民病院などで講師もしておりました。腰にまつわる治療法は一通り経験してきましたが、今当院で行っている椎間板治療が最もリスクが低く、効果が期待できる治療だと思っています。
さて、昨夜は阪神タイガースの試合がなかったので夕食後は読書に耽っておりました。上田秀人先生の奥右筆秘帳を読んでおりましたが、立身出世の為には人を人とは思わない人間の生きざまが垣間見え、世の中の出世競争の厳しさに驚きました。我々の様な医療従事者は、世間から隔絶された世界で仕事をしていて、世間知らずで詐欺師に騙されやすいモラトリアム気質が多いとよく言われます。その為、マンション投資などの電話も良くかかってきます。医師が普通の企業に就職したら、まず出世はできないのではないかと思ってしまいます。医師は良いように言えば優しすぎ、悪く言えば世間知らずなのかもしれません。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。
椎間板変性症
椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。