患者様の情報

70代 女性

疾患・症状


患者様の状態

令和2年6月頃より、姿勢よく歩くと坐骨神経痛が出現する状態となり、前かがみで歩く様になってしまわれました。近所の病院を受診されたところ脊柱管狭窄症と診断を受け、ブロック注射と痛み止めの処方が開始されましたが症状の改善が乏しい状態が続くため、当クリニックを受診されました。


診察と検査結果

MRI

腰のMRI検査です。腰を横から見ており、向かって右側が背中側、向かって左側がお腹側となります。腰は腰椎と呼ばれる小さな骨が縦に並んで出来ており、腰椎と腰椎の間には椎間板と呼ばれるクッションが存在しています。また脳と足の神経が傍を通っているのですが、このMRI写真では第4と第5腰椎の間で一部神経の圧迫所見が見られ、脊柱管狭窄症と診断されます。


施術内容

PODT法

椎間板の容量は保たれている事もあり、脊柱管狭窄症に対してPODT(経皮的オゾン治療)を行うことになりました。PODTは椎間板損傷が軽度であるが、脊柱管狭窄症による神経障害性疼痛がある患者に対してEU圏で行われている保険治療です。

治療風景

一般的にEU圏では患者様は横向きに寝ていただきPODTが行われていますが、当クリニックではこの写真の様にうつ伏せで行っています。うつ伏せは難易度が上がりますが、アプローチの幅が広く取れる為、広範囲にPODTを行う事が可能となるためです。

すこし見えにくいのですが、白くなっていく部分がPODTによりオゾンが充満している部分となります。神経部分の癒着部位や炎症部位にまで広く浸潤していきます。治療時間は15分程度であり、痛みはほとんどありませんでした。


術後

治療後は1時間ベッドでお休みいただき歩行していただきましたが、しびれは4割程度改善を認めました。

※治療効果は個人差があります。


院長より一言

先日診療報酬の改定がありましたが、原材料高、燃料、光熱費、人件費等々が高騰している状況からすると、実質大幅なマイナス改定といえます。欧米ではGDPの約15%が医療費となっていますが、日本ではGDPの7%です。その為、日本では製薬メーカーや研究機関も資金不足から、新たな新薬や技術革新に対する研究開発が進まない状況です。この状況は20年以上前より続いており、当院が行っている椎間板治療に関しても海外の治療法が中心となっております。唯一PLDD(椎間板レーザー減圧術)は1980年代に日本人である丸茂先生が開発された治療であり、材料が国産であることから安価で提供が可能となっていますが、その他の椎間板治療は海外から医療材料を輸入し、治療に関するライセンス獲得が必要となるために高価な治療となっています。今後、政府が無駄な支出を抑え、少しでも医療費を引き上げれば、結果的に医療技術の向上から国産で安価な良い治療が提供でき、今までとは逆に海外へ医療技術を発信できるのではないでしょうか。
無駄な税金の支出が問題となるニュースが多いので、そのように思う今日この頃です。


治療法

PODT法(経皮的椎間板オゾン治療)

治療期間

日帰り

治療費用

330,000円~495,000円(税込)

リスク・副作用

治療を受けた後に今までになかった腰痛や痺れ、太ももに筋肉の張りを感じる場合があります。症状や状態により個人差がありますが、手術後1週間~1ヵ月程これまでになかった症状が一時的に続くこともあります。また外科的手術と比べると確率は非常に低くなりますが、治療箇所からの感染症や、合併症などのリスクがあります。


この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰部脊柱管狭窄症

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腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。


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坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。