脊柱管狭窄症患者様の看護のポイントは、腰に負担をかけない姿勢をとることです。腰が反ると神経が圧迫されて痛みが増すので注意が必要です。体操やストレッチは腰痛改善に効果的ですが、無理をすると患者様のストレスになりますので適度な活動量を見つけることが大切です。
目次
脊柱管狭窄症と看護について
脊柱管狭窄症は、骨のトンネル(脊柱管)が狭くなる(狭窄)ことで症状が発生します。原因として一番多いのが、腰のクッション(椎間板)が潰れることにより背骨がグラグラと動揺して脊柱管の靭帯が太くなり狭窄が起こることです。最初は腰痛や下肢の痛み痺れから症状は始まります。そこから歩行障害であったり、排尿障害が起こることもあります。特に高齢の方で症状が重い場合、筋力低下も重なり日常生活に支障が出る可能性があります。そのような方であれば、看護が必要となります。
脊柱管狭窄症の看護のポイント
脊柱管狭窄症の看護のポイントは、日常生活での活動量を減らさないことです。体幹や下肢の筋肉量が低下すると、背骨の不安定感が増してしまい症状が増悪します。症状が増悪すると、活動量が減り寝たきり状態へのリスクが増えます。寝たきりになると、認知症や褥瘡(じょくそう→寝たきりなどで長時間の圧迫状態が続き皮膚がただれたりすること)が起きるなど、腰痛以外の症状に繋がるおそれがあります。脊柱管狭窄症を正しく理解し、看護を行ことが重要となります。
意識するべき看護のポイント
脊柱管狭窄症では、腰が反る姿勢になると症状が増悪します。反対に、腰を丸めた姿勢は負担が掛かりにくい状態となります。特に気を付けていただきたいのが、寝る時の姿勢です。起きてすぐに症状が出ている方は、特に注意が必要です。
仰向けで寝転ぶ場合は、膝の裏にクッションやバスタオルを引いてください。そうすることにより、腰が丸くなる姿勢がとれるので脊柱管狭窄症に優しい姿勢となります。横向けで寝る場合は、膝と膝の間にクッションやバスタオル挟んでください。そうすることにより、腰の筋肉の負担が減り脊柱管狭窄症に優しい姿勢となります。
してはいけない看護方法
先述した通り、腰が反ると脊柱管狭窄症は増悪します。仰向けや横向けになり、膝をピンッと伸ばして寝る姿勢は腰が反りやすい姿勢です。寝転んでいる際は、腰が反っていないかを注意してみてください。もちろん寝ているときだけではありません。歩くときや体操をしているときも、腰が反っていないかを意識してみていく必要があります。
日に日に悪化していく脊柱管狭窄症の場合
脊柱管狭窄症に対する看護のポイントは、いかに日常生活での活動量を減らさないことかがポイントです。ただ、脊柱管狭窄症が進行している場合などは、いくら日常での姿勢などを改善しても症状の緩和が見込まれないこともあります。そのような場合は専門の医師にMRI画像を撮影してもらい、診察を受けることをおすすめします。 保存療法(リハビリや姿勢の意識)ではなく、外科手術と診断される場合もあると思います。「メスを使用するのが怖い」「家庭の事情で入院することが難しい」と仰る方も多くおられます。NLC野中腰痛クリニックでは、メスを使わずに脊柱管狭窄症の日帰り治療を行うことが出来ます。
脊柱管狭窄症に対する看護のポイントのまとめ
脊柱管狭窄症に対する看護のポイントは、いかに日常生活での活動量を減らさないことかがポイントです。活動量を減らさないようにするには、脊柱管狭窄症にとって負担の掛からない姿勢を取ることです。 寝る姿勢が悪いと腰に負担が掛かり、症状が増悪した結果、活動量が減ります。看護を行う際は、クッションやバスタオルを用いて腰を丸める姿勢を作るように意識してください。脊柱管狭窄症を正しく理解していただき、少しでも症状の緩和にお役に立てればと思います。
参照元
腰部脊柱管狭窄症患者の健康関連QOLに影響を及ぼす日常生活機能面の因子 宮﨑寛史 葉清規 大石陽介 村瀬正昭 理学療法の臨床と研究 2015年24巻p.45-47
引用リンク
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。