概略
多くの腰椎椎間板ヘルニアの患者様は、手術をしなくても保存的治療で改善が見込めます。しかし、全体の1割の患者様には手術を適用しないといけない場合があります。医療機関を受診し、正確に診断を受けることを推奨します。
目次
【はじめに】椎間板ヘルニアに手術が必要な割合は?
他院で外科的手術を勧められた40代後半の男性患者様が「椎間板ヘルニアになった人で手術が必要な人って全体の何割くらいいるのですか?」と聞かれました。多くの患者様が気になるであろうこの質問の答えを、今回皆さんと共有したいと思います。
椎間板ヘルニアに手術が必要な割合は1割程度
公表されている研究では1割程度の方が手術が必要となっております。しかし椎間板ヘルニアは手術をしなくても治療または改善できることがよくあります。
椎間板ヘルニアの手術が必要な患者の割合
米国の研究機関が公表したデータによると、椎間板ヘルニアに悩んでいる患者の約10% が手術を必要とし、残り90%が手術不要という結果が明らかになりました。また別の研究報告によりますと、椎間板ヘルニア患者の90%以上が、保存療法(リハビリ等)で「良好~優秀」という結果が示されました。これは手術が必要な椎間板ヘルニア患者は、全体のごく僅かであるという事実が強調されたことになります。
NLC野中腰痛クリニックによる腰椎椎間板ヘルニアの治療実績
当院における腰椎椎間板ヘルニアの治療実績をご紹介します。腰部脊柱管狭窄症と併発するケースも多く、また坐骨神経痛などの症状もみられます。当院の腰椎椎間板ヘルニアの治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、6,358件(集計期間:2018年6月~2024年10月)
右足に痛みと痺れが出現されていましたが、日毎に痛みが増悪し歩けない状態となられた患者さまです。椎間板が潰れ、飛び出した様に変形し、神経の周囲で炎症を起こしている状態になっていたため、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行う事で神経症状の改善を図りました。
【まとめ】椎間板ヘルニアに手術が必要な割合は?
椎間板ヘルニアの手術は、多くの場合、すぐに必要なものではありません。これは椎間板ヘルニアで悩んでおられる多くの患者様にとって大変良いニュースです。それでも不安な場合は、専門医の所で正確な診断を受けるのが一番だと思います。当院では、椎間板ヘルニアの治療も数多くの実績がございますので、一度ご相談いただければ幸いです。また、残念ながら当院での治療適応外の患者様におかれましても、腰痛専門のリハビリ施設を併設しておりますので、一度ご相談いただければと存じます。
参考文献参照元
①Herniated discs: when is surgery necessary? - 2021 - Wai Weng Yoon, Jonathan Koch - EFORT Open Reviews (VOLUME 6, ISSUE 6, P526–530)
②United States Trends in Lumbar Fusion Surgery for Degenerative Conditions - 2005 - Richard A Deyo, Darryl T Gray, William Kreuter, Sohail Mirza, Brook I Martin - Spine Journal (VOLUME 30, ISSUE 12, P1441-1445)
③Operative Management of Lumbar Disc Herniation - 2011 - F Postacchini, R Postacchini - ACTA NEUROCHIRURGICA's Supplement (VOLUME 108, P17-21)
参考文献のリンク
①Herniated discs: when is surgery necessary?
②United States Trends in Lumbar Fusion Surgery for Degenerative Conditions
③Operative Management of Lumbar Disc Herniation
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。