概略
椎間板ヘルニアによる慢性的な腰痛がストレスを引き起こし、高血圧のリスク要因となる可能性があります。腰痛に限らず、慢性的な痛みに悩まれている患者様は、高血圧やその他の心血管系の健康問題のリスクが高い傾向にあります。
目次
高血圧の原因は腰椎椎間板ヘルニア!?
40代男性の椎間板ヘルニア患者様から「先生、ぎっくり腰をやってから急に血圧が高くなったんですけど、椎間板ヘルニアと高血圧に関係性とか有りますか?」と質問されました。椎間板ヘルニアになると、痛みやしびれ、運動機能の低下等さまざまな問題が発生する可能性があります。果たして、椎間板ヘルニアは高血圧に繋がる可能性があるのでしょうか?本日は、この疑問について明らかにしたいと思います。
腰椎椎間板ヘルニアによるストレスが原因
高血圧の最大の要因の1つはストレスです。椎間板ヘルニアに伴う痛みや手術の可能性に対する不安といったストレスが血圧の上昇に関係していると考えられます。
腰椎椎間板ヘルニアと高血圧の関係
腰椎椎間板ヘルニアとは
椎間板の線維輪に亀裂が生じ、髄核が外に飛び出すことで痛みやしびれ等の症状が現れる病気です。
高血圧とは
安静にしている時の血圧が、慢性的に正常値よりも高い状態をいいます。
高血圧が引き起こす身体の痛みの研究報告
2014年に発表された香港の研究によると、まず身体が痛みを感じると脳からの電気信号が発せられ、交感神経系を刺激します。同時に大量のアドレナリンが分泌されます。この2つの生体反応により、高血圧と頻脈(脈拍が1分間に100回以上)が引き起こされることが明らかになりました。腰痛に限らず慢性的な痛みに悩まれている患者様は、高血圧やその他の心血管系の健康問題のリスクが高いということを忘れないでください。
NLC野中腰痛クリニックによる腰椎椎間板ヘルニアの治療実績
当院における腰椎椎間板ヘルニアの治療実績をご紹介します。腰部脊柱管狭窄症と併発するケースも多く、また坐骨神経痛などの症状もみられます。当院の腰椎椎間板ヘルニアの治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、6,358件(集計期間:2018年6月~2024年10月)
過去に他院さまにて椎間板ヘルニアの外科的治療をされましたが改善がみられない患者さまです。外科的治療の影響からか巨大なヘルニア性変化による疼痛(FBSS・脊椎術後疼痛症候群)を認めたため、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)で症状の改善を図りました。
【まとめ】椎間板ヘルニアは高血圧の原因になる?
慢性的な痛みは、身体に大きなストレスを与えます。高血圧を含む様々な身体的および心理的障害に関連していると言えます。特に重度の腰痛を持つ患者様にとって、より深刻な健康問題に直面する危険性がありますので、できるだけ早く効果的な治療法を見つけることが重要だということを忘れないで下さい。
もし腰の痛みや治療法に不安がありましたら、当院までお問い合わせください。
参考文献参照元
①Hypertension is Independently Associated with Lumbar Disc Degeneration: A Large-Scale Population-Based Study - 2014 - D. Samartzis, C. Bow, J. Karppinen, K. D. K. Luk, B. M. Y. Cheung, K. M. C. Cheung - Global Spine Journal (VOLUME 4, ISSUE 1)
②The potential effect of type 2 diabetes mellitus on lumbar disc degeneration: a retrospective single-center study - 2018 - Xiaoming Liu, Fumin Pan, Zhaoyu Ba, Shanjin Wang, Desheng Wu - Journal of Orthopaedic Surgery and Research (VOLUME 52, ISSUE 1, P13)
③Electrophysiologic deterioration in surgery for thoracic disc herniation: impact of mean arterial pressures on surgical outcome - 2014 - Scott L Zuckerman, Jonathan A Forbes, Akshitkumar M Mistry, Harish Krishnamoorthi, Sheena Weaver, Letha Mathews, Joseph S Cheng, Matthew J McGirt - European Spine Journal (VOLUME 23, ISSUE 11, P2279-90)
④Physical Activity is Associated With Elevated Arterial Stiffness in Patients With Lumbar Disk Herniation - 2015 - Gang Jin, Zhi-gang Cao, Yi-na Zhang, Ying Li, Bao-zhong Shen - Journal of Spinal Disorders and Techniques (VOLUME 28, ISSUE 1, P E30-E34)
参考文献のリンク
①Hypertension is Independently Associated with Lumbar Disc Degeneration: A Large-Scale Population-Based Study
②The potential effect of type 2 diabetes mellitus on lumbar disc degeneration: a retrospective single-center study
③Electrophysiologic deterioration in surgery for thoracic disc herniation: impact of mean arterial pressures on surgical outcome
④Physical Activity is Associated With Elevated Arterial Stiffness in Patients With Lumbar Disk Herniation
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。