概略

定期的なウォーキングが腰痛の改善と予防に効果的であることは科学的に立証されています。しかし、腰痛や膝痛の方にとって歩行が難しい場合があります。そのような方は、水中ウォーキングを推奨します。水中ウォーキングは、浮力により関節に負担がかかりません。また筋肉を強化し、心血管の健康を改善します。


腰痛+膝痛の場合のウォーキング方法は? 序論

目次

腰痛や膝痛の場合に有効なウォーキングとは?

適度なウォーキングが腰痛の改善・予防に効果的であることは科学的に証明されていますので、私も腰痛患者様によくおすすめします。しかし、偶にこのようなご質問も頂きます。「先生、普通に歩くだけでも足腰が痛いのに、ウォーキングで腰痛を治すなんて難しくないですか?」と。実はこのような患者様、特に中高年の方は日本国内にたくさんおられます。2014年度の総括研究報告書によりますと、膝痛・腰痛の両方に悩む人は全国でおよそ680万人と推定されています。今回はそんな患者様のために、膝が痛くても腰痛の予防・改善のウォーキング法についてお話します。


結論!水中ウォーキングをしましょう!

答えは単純明快で、水中ウォーキングです!腰痛患者様は、プール付ジムの契約と新しい水着へ投資した方がいいかもしれませんね(笑


水中で運動するメリットをご紹介

水中での運動は、腰痛の症状を緩和させると科学的に証明されています。例えば、JAMA Network Openに掲載された最近の臨床試験において、水中運動(週2回60分)を3ヵ月行ったところ、生活や睡眠の質、精神状態等が理学療法を行ったときよりも良い効果があったことがわかりました。しかもその効果は1年後も持続しているとのことです。

水中運動のポイント

身体への負担を軽減

水中では浮力が働くことで身体を持ち上げてくれますので、陸上での運動よりも足腰の関節への負担が少なくなります。

身体強化

水の抵抗があらゆる方向からかかります。普段使っていない筋肉を使いやすくなり、全身をバランスよく鍛えることができます。

心肺機能の向上

適度な水圧がかかると、心臓が血液を強く送り出すため血液循環が良くなります。同時に陸上にいるときよりも活発に呼吸する必要があります。結果として心肺機能を大いに鍛えることができます。

エネルギー消費の効率UP

水中では陸上に比べて約30%も早く身体が冷えます。すると体温を一定に保とうする身体のはたらきにより、エネルギー消費の効率が増します。


NLC野中腰痛クリニックによる腰部脊柱管狭窄症の治療実績

腰部脊柱管狭窄症の治療実績をご紹介します。中高年以上の患者さまが多く、治療中のご様子までご覧いただけます。当院の腰部脊柱管狭窄症の治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、6,466件(集計期間:2018年6月~2024年11月)


【まとめ】腰痛+膝痛の場合のウォーキング方法は?

プールでのウォーキングは、手術から回復中のアスリートから毎日腰痛に悩まれている高齢者まであらゆる人に有益です。しかし、水中ウォーキングを行うと陸上でのウォーキングより循環器系への負担が増すので、心臓病や高血圧の方、服用している薬がある方は、必ず医者と相談してください。

腰痛+膝痛の場合のウォーキング方法は? 結論

参考文献参照元

①Efficacy of aquatic exercises for patients with low-back pain - 1999 - M Ariyoshi, K Sonoda, K Nagata, T Mashima, M Zenmyo, C Paku, Y Takamiya, H Yoshimatsu, Y Hirai, H Yasunaga, H Akashi, H Imayama, T Shimokobe, A Inoue, Y Mutoh - The Kurume Medical Journal (VOLUME 46, ISSUE 2, P91-96)
②The effect of aquatic exercise program on low-back pain disability in obese women - 2019 - Fariba Hossein Abadi, Mohansundar Sankaravel, Fairus Fariza Zainuddin, Gunathevan Elumalai, Azira Iqlima Razli - Journal of Exercise Rehabilitation (VOLUME 15, ISSUE 6, P855-860)
③Walking, Cycling, and Swimming for Nonspecific Low Back Pain: A Systematic Review With Meta-analysis - 2021 - Natasha C Pocovi, Tarcisio F de Campos, Chung-Wei Christine Lin, Dafna Merom, Anne Tiedemann, Mark J Hancock - Journal of Orthopedic&Sports (VOLUME 52, ISSUE 2, P85-99)
④The effect of aquatic and land exercises on pain, health related quality of life, kinesiophobia and disability in chronic low back pain: A randomized clinical trial - 2020 - Nilay Çömük Balci, Ayça Aytar, Emine Atici, Gülşen Taşkin, Mustafa Gülşen, Mert Demirsoz - Journal of Novel Physiotherapy and Physical Rehabilitation
⑤Efficacy of Therapeutic Aquatic Exercise vs Physical Therapy Modalities for Patients With Chronic Low Back Pain - 2022 - Meng-Si Peng, Rui Wang, Yi-Zu Wang, et al - Physical Medicine and Rehabilitation
⑥Prevalence of knee osteoarthritis, lumbar spondylosis, and osteoporosis in Japanese men and women: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study - 2009 - Noriko Yoshimura, Shigeyuki Muraki, Hiroyuki Oka, Akihiko Mabuchi, Yoshio En-Yo, Munehito Yoshida, Akihiko Saika, Hideyo Yoshida, Takao Suzuki, Seizo Yamamoto, Hideaki Ishibashi, Hiroshi Kawaguchi, Kozo Nakamura, Toru Akune - Journal of Bone and Mineral Metabolism (VOLUME 27, ISSUE 5, P620-628)
⑦【動画解説】運動不足解消!水中ウォーキングの効果的なメニューとやり方 - 2021 - 国士舘大学教授 須藤 明治 - NHK健康

参考文献のリンク

Efficacy of aquatic exercises for patients with low-back pain
The effect of aquatic exercise program on low-back pain disability in obese women
Walking, Cycling, and Swimming for Nonspecific Low Back Pain: A Systematic Review With Meta-analysis
The effect of aquatic and land exercises on pain, health related quality of life, kinesiophobia and disability in chronic low back pain: A randomized clinical trial
Efficacy of Therapeutic Aquatic Exercise vs Physical Therapy Modalities for Patients With Chronic Low Back Pain
Prevalence of knee osteoarthritis, lumbar spondylosis, and osteoporosis in Japanese men and women: the research on osteoarthritis/osteoporosis against disability study
【動画解説】運動不足解消!水中ウォーキングの効果的なメニューとやり方

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任