概略

坐骨神経痛や足の痛み、痺れを引き起こす原因は、腰にある神経根にあると考えられます。具体的な状況を確認するために腰椎のレントゲン検査やMRI検査が行われます。我慢したり症状を放置したりすると、状況が悪化して日常生活に影響を与えるだけではなく、深刻な神経損傷が起こるリスクがあります。


腰痛ではなく足に痺れが出ているのに、なぜ腰の検査をする必要があるのか? 序論

目次

はじめに

この質問は、神経根症と呼ばれる状態の患者様からよく寄せられます。神経根症は、神経根の疾患として定義され、腰椎付近の神経根に問題が発生し、下肢への神経痛や痺れが出現する事が特徴です。


結論

足に出現する症状は、腰にある神経根が原因となりますので、具体的な状況を確認するために腰椎のレントゲン検査やMRI検査が行われます。


神経根症の原因

神経根症の原因は以下のようなものがあります。

  • 椎間板ヘルニアによる神経根の圧迫
  • 損傷された椎間板から漏れている髄核によって引き起こされた炎症の刺激
  • 椎間板変性で椎骨と椎骨の間の狭窄による圧迫
  • 黄色靭帯肥厚による腰部脊柱管狭窄症や神経根圧迫骨棘による神経根の圧迫

治療について

神経根症を引き起こす疾患が様々ありますので、治療法もそれに合わせて大きく異なります。

  • 保存治療
  • 再生治療
  • 外科的手術

一般的に、薬物療法や理学療法などの保存的治療を十分に行っても効果がみられない場合に限って手術を行うのが原則です。しかし、重大な神経麻痺が生じ、癌などが原因で骨の破壊が進行するような状況では緊急手術を行うこともあります。いずれにせよ医療機関で診察をうけることが重要です。


まとめ

我慢したり症状を放置したりすると、状況が悪化して日常生活に影響を与えるだけではなく、深刻な神経損傷が起こるリスクがありますので、必ず医療機関で検査を受けることが肝要だと考えます。

腰痛ではなく足に痺れが出ているのに、なぜ腰の検査をする必要があるのか? 結論

参考文献参照元

①腰椎椎間板ガスヘルニアによる神経根症の一例: 池田 耀裕, 河合 伸也, 小田 裕胤, 田口 敏彦, 秋穂 靖, 光山 博巳, 大谷 武, 村松 慶一 - 1990 - 整形外科と災害外科 39巻2号 (p499-500)
②腰椎管外神経根障害の診断と治療: 清水 敦, 佐々木 邦雄, 松尾 圭介, 田丸 卓弥, 渡辺 浩一, 甲斐 睦章 - 1990 - 整形外科と災害外科 39巻2号 (p501-504)
③下肢痛で発症し腰部脊柱管狭窄症との鑑別に難渋した悪性リンパ腫の一例: 櫻木 彬一, 大田 秀樹, 松本 佳之, 井口 洋平, 巽 政人, 田原 健一, 柴田 達也, 眞田 京一, 萩原 秀祐, 木田 浩隆, 竹光 義治 - 2021 - 整形外科と災害外科 70巻2号 (p186-189)
④Conservative Management of Lumbar Disc Herniation With Associated Radiculopathy A Systematic Review: Hahne, Andrew J. BPhysio, Ford, Jon J. PhD, McMeeken, Joan M. MSc - 2010 - Spine Volume 35 (Issue 11 - p.E488-E504)
⑤Physical examination for lumbar radiculopathy due to disc herniation in patients with low back pain: Daniëlle AWM van der Windt, Emmanuel Simons, Ingrid I Riphagen, Carlo Ammendolia, Arianne P Verhagen, Mark Laslett, Walter Devillé, Rick A Deyo, Lex M Bouter, Henrica CW de Vet, Bert Aertgeerts - 2010 - Cochrane Database of Systematic Reviews
⑥Mimickers of Lumbar Radiculopathy: Grimm, Bennett Douglas MD, Blessinger, Brian Joseph MD, Darden, Bruce Vaiden MD, Brigham, Craig D. MD, Kneisl, Jeffrey S. MD, Laxer, Eric B. MD - 2015 - Journal of the American Academy of Orthopaedic Surgeons Volume 23 (Issue 1 - p.7-17)

参考文献のリンク

腰椎椎間板ガスヘルニアによる神経根症の一例
腰椎管外神経根障害の診断と治療
下肢痛で発症し腰部脊柱管狭窄症との鑑別に難渋した悪性リンパ腫の一例
Conservative Management of Lumbar Disc Herniation With Associated Radiculopathy A Systematic Review
Physical examination for lumbar radiculopathy due to disc herniation in patients with low back pain
Mimickers of Lumbar Radiculopathy

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


坐骨神経痛

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坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。