患者様の情報
70代 男性
疾患・症状
患者様の状態
5年ほど前から腰痛を自覚する様になられました。整形外科で脊柱管狭窄症と診断を受けられ、内服による治療を行われましたが、徐々に腰痛は悪化し、最近では歩く事もできなくなってこられました。手術はできないことから当院を受診されています。
診察と検査結果
腰のMRI検査ですが、腰全体で椎間板の容量が少なくなっており椎間板変性症と呼ばれる状態です。また椎間板は飛び出した様な変形も伴っており椎間板ヘルニアと診断されます。その他足の神経も圧迫を受けつつあり脊柱管狭窄症と診断されます。
施術内容
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
椎間板機能の低下による椎間板性腰痛症を疑い、椎間板造影検査を行ったところ椎間板5箇所(L1/L2、L2/L3、L3/L4、L4/L5、L5/S1)に損傷部分が確定されたのでディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行いました。
治療前に点滴を行っているところです。抗菌薬の点滴です。
椎間板に治療用の管を挿入しているところです。椎間板の傍には神経もありますのでこの様にレントゲン装置を動かしながら管の位置を確認する必要があります。
椎間板を検査しているところです。検査で損傷部位を特定しディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行っております。治療時間は18分でした。
院長の一言
本日、午後の外来に10年前に私がPLDD(経皮的椎間板減圧術)を行った患者様(50代男性)がお越しになられました(10年前は青藍病院におりました)。PLDDを行ってからの10年間は腰痛発作もなく、ご趣味のサーフィンを楽しまれていたそうですが、この春にバリ島でサーフィンをした際に腰を痛められたとの事でした。診察の結果は椎間板に問題はなく、原因は椎間関節障害でありリハビリで改善が期待できるレベルでした。ホッといたしました。また外来ではバリ島でサーフィンができるなんて羨ましい人生だという話で患者様と盛り上がりました。私も10年後にはどうなっているのか?楽しみでもあります。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎椎間板ヘルニア
腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。
椎間板変性症
椎間板変性症とは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症やすべり症など様々な病気につながる恐れがあります。