患者様の情報
70代 女性
疾患・症状
患者様の状態
10年程前より坐骨神経痛を自覚されていましたが、シンガポールでは積極的な治療はなされず様子を見ておられました。ご友人が当院で日帰り治療を受けられ歩けるようになられた事から当院まで来られています。英語で意思疎通を図っております。
診察と検査結果
第4腰椎が前方にずれ込んでいる状態で腰椎すべり症と診断致します。その為に足の神経にも炎症が生じている状態で脊柱管狭窄症を合併しつつあります。また第5腰椎と第1仙骨の椎間板は容量が50%程度低下している状態で、慢性腰痛の原因となります。
施術内容
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
椎間板に対して検査を行ったところ、複数の損傷が確認されましたので椎間板修復治療を行いました。
まずは患者様の背中にイソジン消毒を行い、治療の準備を進めていきます。
メスで切らない治療となります。この様に非常に細い管を使用して治療を行います。ちょうど管が椎間板まで到達したところです。
細い管を通して椎間板を検査すると同時に治療まで行っていきます。検査結果に合わせてはレーザー治療(PLDD)やオゾン治療(PODT)など最適な治療法を選択していきます。
治療時間は18分でした。今回は鎮静剤も使用しましたので、患者様は痛みを自覚されることもなく、1時間後には歩いてホテルへお戻りになられました。
院長の一言
今日も医学部時代の後輩が研修に来ていました。当院では海外で行われている腰痛治療を行っているのですが、医師は基本的に時間がない為に容易に海外研修を受けられませんので当院で研修を行っています。当院の年間治療件数は海外の大学病院に匹敵するレベルですから十分な研修を行っていると自負しております。後輩からはお礼として、おいしい洋菓子を頂きました。太りそうです……。
レントゲン透視用メガネを新調いたしました。治療にも張り合いがでます。
治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって周りの筋肉・関節や靭帯などの広がりにより筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。
腰椎すべり症
腰椎すべり症とは背骨が前方や後方にずれてしまう疾患です。腰痛・足の神経障害の他に間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状を引き起こします。
坐骨神経痛
坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。