患者様の情報
60代 女性
疾患・症状
患者様の状態
今年1月頃より腰に違和感を自覚され、2月頃に腰痛発作が出現したため、近くの整形外科で鎮痛薬やブロック治療を行われました。しかし効果が限定的であり、5月になっても症状の緩和が見られない事から当クリニックを受診されています。
診察と検査結果

腰のMRI検査ですが、腰を真横から観察しております。腰は腰椎と呼ばれる比較的小さな骨が縦に並んで出来ており、腰椎と腰椎の間にはクッションである椎間板が存在しております。また腰椎と椎間板の傍には足の神経が通っており、神経の通る部分を脊柱管と言います。このMRI写真では、椎間板が潰れている部分が複数認められ、足の神経も圧迫を受けております。腰椎もずれが生じており、腰椎すべり症と呼ばれる状態です。
施術内容
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
潰れた椎間板を治療する事で、すべり症の改善を図り、腰痛症状の緩和を行います。今回は腰部椎間板L2/L3、L3/L4、L4/L5の3箇所にディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行いました。

患者様とご相談し、鎮静剤を使用し、寝ていただいた後に治療をさせて頂きました。椎間板まで治療用の管を挿入しているところです。

管の位置を微調整し、検査を行っているところです。
実際の治療の様子ですが、黒く映ってくる部分にディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行っております。治療時間は20分でした。
また患者様も治療直後にはお目覚めになられ、2時間後には帰宅していただいております。
院長より一言
本日、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)後より約2年経過した患者様が「マリンスポーツを再開したいが大丈夫なのか?」と気にされ来院されました。椎間板ヘルニアによる腰痛が主たる症状でしたが、症状は改善を認めており、MRI検査でも椎間板ヘルニアの減退を認めておりましたので、マリンスポーツは可能であるとお答えさせて頂きました。改善後も必要に応じて、継続的に診察をさせて頂いております。
今回の治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は、一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって、周りの筋肉や関節、靭帯などの広がりにより、筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
関連するの疾患と症状

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは、背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し、神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛やぎっくり腰などの症状を引き起こします。

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは、背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛や足の神経障害、歩行困難などの症状を引き起こします。

腰椎すべり症

腰椎すべり症とは、背骨が前方や後方にずれてしまう疾患です。腰痛や足の神経障害の他に間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状を引き起こします。

椎間板変性症

椎間板変性症とは、背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が変形する疾患です。椎間板の変形により、腰椎椎間板ヘルニアや腰部脊柱管狭窄症、腰椎すべり症などの様々な病気につながる恐れがあります。
この記事の著者

大阪本院 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任