概略

坐骨神経痛は、椎間板ヘルニアや脊柱菅狭窄症などの腰痛疾患が原因で起こる症状を表します。腰痛や下肢の痛み、痺れなどの症状を感じられたら、整形外科もしくはペインクリニックを受診することが一般的です。中には坐骨神経痛と間違われる可能性のある病気もありますので、正しく診断し、お身体にあった治療法を選択しましょう。


目次

坐骨神経痛かもと思ったら何科を受診する?

坐骨神経痛かもと感じたら整形外科もしくはペインクリニックを受診することが一般的です。坐骨神経痛が発生している原因を調べるために整形外科では画像検査による診断を行っております。診断結果から治療方針を決めるのですが、症状が強い場合には手術を検討することもあります。ペインクリニックはその名の通り「痛みの診療所」です。内服薬、理学療法(リハビリ等)、ブロック注射等の治療を行っています。慢性的に痛みやしびれを感じている方にはブロック注射で症状の緩和を目指します。急性・慢性的な痛みやしびれに対して的確な診断を行うためには、できる限り整形外科を受診されることをおすすめします。


病院を受診する前のチェック項目

病院を受診する前にチェックしておくといいこと、問診時によく聞かれることを確認しておきましょう。医療機関を受診する場合は、保険証、お薬手帳(内服中であれば)を準備し診察を受けるようにしてください。また診察での問診をスムーズに進めるためご自身の症状を把握しておきましょう。

  • 腰痛や下肢の痛み、しびれなどの症状が始まった時期はいつですか?
  • 痛み、しびれがでる場所はどこですか?また、悪化する動作、姿勢はありますか?
  • 日や時間により症状の強さに変化はありますか?
  • 症状が出たきっかけ(心当たり)はありますか?
  • 過去に同じような症状の経験をしたことはありますか?
  • 治療済み、治療中の疾患、服用中の薬はありますか?
  • その痛みは日常の活動にどの程度支障がありますか?

例えば、このような項目を見て思い当たることを考えてみてください。


坐骨神経痛の診断・検査方法

坐骨神経痛の検査はMRI・レントゲン撮影の他に、診断時に行う「SLR(下肢伸展挙上テスト)」という方法があります。

SLRテストの方法

  1. 仰向けの状態で、床に横になります。
  2. 足首をできるだけ立てた状態で、膝をまっすぐ伸ばし、脚を上げます。

この時に腰や足にしびれや痛みが出て足がしっかり伸びない場合は「椎間板ヘルニア」「脊柱管狭窄症」の症状が考えられます。SLRテストはあくまでも病名を知る判断材料なので詳しい腰骨の状態はMRI・レントゲンを撮影で判断します。


坐骨神経痛と間違えやすい病気

坐骨神経痛の症状に似た症状があります。「梨状筋症候群(りじょうきんしょうこうぐん)」「仙腸関節障害(せんちょうかんせつしょうがい)」「椎間関節障害(ついかんかんせつしょうがい)」「臀皮神経障害(でんひしんけいしょうがい)」、血流障害によって引き起こされる場合があります。

梨状筋症候群

梨状筋と呼ばれるお尻の近くある筋肉が坐骨神経を刺激することによって起こる症状のことです。神経ブロック注射やストレッチ等で緩和する場合もあります。

仙腸関節障害

骨盤のつなぎ目にある仙腸関節がずれたり、ゆがんだりすることで原因で腰から足にかけて痛みの症状が出ることがあります。ブロック注射やストレッチで緩和する場合があります。

椎間関節障害

背中の後ろ側にある椎間関節が変形することで症状がでます。進行すると変形性関節症になることがあり、椎間関節ブロック注射をすることで緩和する場合もあります。

臀皮神経障害

背骨とお尻の表面を結ぶ臀皮神経が骨や筋肉に挟まり締め付けられることで坐骨神経痛が起こります。神経ブロック注射をすることで緩和される場合があります。

血流障害

血液の流れが悪い場合などに坐骨神経痛が出ることがあります。血液の流れをよくする薬や、温熱療法、リハビリなどで緩和される場合があります。こうした症状は椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症から来る坐骨神経痛と非常に似ているため診断が難しく、治療法が症状に合わず改善しない場合もあります。坐骨神経痛のような症状が発生したら、まずは診断を受けることから始めてみてください。


NLC野中腰痛クリニックによる坐骨神経痛の治療実績

当院における坐骨神経痛の治療実績をご紹介します。坐骨神経痛は腰痛疾患をお持ちの幅広い年齢層の患者様に見られる症状です。当院の坐骨神経痛の治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、5,638件(集計期間:2018年6月~2024年3月)

過去に他院にて脊柱管狭窄症に対して外科的手術をされた患者さまです。一時は坐骨神経痛の改善を認めましたが、再発したために再度外科的手術をされました。しかし改善が乏しく歩くこともままならなくなったため、当院にてDST法(ディスクシール治療)を施術し、腰椎の動揺を抑え神経症状の緩和を図りました。


坐骨神経痛は何科の病院を受診する?間違えやすい病気について解説まとめ

坐骨神経痛は腰から足にかけて伸びる人体の中でも一番太い神経です。長く伸びているため腰痛病名に限らず様々な原因があります。原因を正しく診断し、身体にあった治療法を選択するためにもまずは整形外科を受診されることをおすすめします。

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


坐骨神経痛

坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。