研修報告 / 院長ブログ

北米での最新治療【アメリカ研修3日目】

アメリカ研修3日目です。本日は臨床実習が行われました。臨床実習は、実際の治療現場で治療技術の習得を行うことを目的としています。


頸椎に対するディスクシール治療

頸椎に対する治療から開始しました。患者様には鎮静剤で眠って頂き頸部の消毒を行いますので、不安や痛みを自覚されることはありません。ベットで横になり眠るだけです。

頸椎に治療用の管を挿入していますが、解剖学的な知識があればわずか10秒ほどで椎間板に挿入することが可能です。非常に細い針であるために血管や神経にあたっても問題はありません。

頸椎に対するディスクシール治療

ライセンスの問題で動画を提示することはできませんが、ディスクシール治療を行っているところになります。また、Annulogram検査において椎間板の損傷部分が神経側にあり、造影剤が硬膜外にまで漏出している場合には、特殊な方法で高濃度エクソソームを追加することで治療効果が格段に向上します。低濃度のエクソソームでは効果が低いとのことでした。

高濃度エクソソーム治療

また変形性股関節症や膝関節症に対しても高濃度エクソソームを投与していました。PRPや幹細胞治療よりも効果と持続性が高いとのことでした。研修を指導してくださったパウザ先生も変形性股関節症に対してPRP、幹細胞治療、高濃度エクソソーム治療のすべてを受けられていますが、効果があったのはエキソソームだけだったそうです。

パウザ先生

朝から治療室に入りびたりの状況であり、ものすごく疲れましたが、人生において大きな経験をさせていただきました。頸椎治療に関しては研修条件として、腰椎治療歴が10年以上またはディスクシール治療件数が5,000件以上の場合に許可しているそうです。米国内で腰椎治療を行う医師は多数いますが、頸椎治療にまでたどり着いた医師は非常に少ないそうです。アジアでは野中腰痛クリニックがパイオニアになります。

高濃度エクソソーム

残念ながら、1mlあたり200億個の高純度のエキソソーム粒子を含む製剤はアメリカにしか存在しません(製造方法は15の特許に守られているようです)。日本では1mlあたり200個前後のエキソソーム粒子しか含まれておらず、治療効果も限定的であるとのことでした。幸い、パウザ先生は高濃度エクソソーム粒子の流通に深くかかわっておられるので、今後、我々のクリニックに高濃度エクソソームの導入が可能になるようです。非常に高価ですが頸椎と腰椎治療の成績向上が期待されます。


まとめ

北米では、ディスクシール治療をはじめとした再生治療領域での技術革新が、臨床レベルにまで及んでいることに驚きました。また、ディスクシール治療や高純度エキソソーム治療の開発には数十億ドルの投資が必要であり、すべては企業や投資家から賄われているとのことでした。規模が違いすぎますわ……はやく日本に帰国して、研修でえた治療技術を提供したいと思います。

まとめ

この記事の著者

医療法人蒼優会 理事長・野中腰痛クリニック 大阪本院 院長:野中康行

大阪本院 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


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