はじめに
病院でMRI検査を受けたけれど、結果をもらった後「で、自分の腰の状態は実際どうなのか…?」「治療を受けられるのか」「費用はどれくらいかかるのか」と、モヤモヤしたまま過ごしていませんか?
多くの患者様が、MRI画像を見ても医師の説明だけでは理解しきれず、不安を抱えたままになっています。そこで今回は、あなたがMRI画像を見るだけで、自分の腰の状態と最適な治療法が判断できる知識をお伝えします。
今回は、当院(野中腰痛クリニック)のYouTubeチャンネルで公開した「手術の前に見て!その腰痛、MRI画像を見れば“本当に必要な治療”がわかります」の内容を基に、専門知識を持たない方でも理解できるよう、わかりやすく解説していきます。
動画で詳しく見たい方はこちら▼
目次
基礎知識:MRI画像の見方(白と黒の違い)
MRI画像に写っているもの

骨と骨の間にある「椎間板」、背骨の中央を通る「脊柱管」 、その周辺の組織や液体です。
患者様がよく勘違いされるのが、脊柱管(背骨の中央のトンネル)内の見え方です。
白く写る部分は「髄液(脳脊髄液)」で黒く写る部分が神経になります。ここで重要なのが、経が圧迫されているかどうかではなく、「なぜ圧迫されるようになったのか」という根本原因を見ることです。そしてその根本原因は、ほぼすべて「椎間板の傷み」にあります。

注視すべきは「椎間板(クッション)」の状態
腰痛の治療方針は、椎間板がどれだけ傷んでいるかで決まります。骨の変形や脂肪の増加も影響しますが、治療の入口となるのは常に「椎間板」です。
椎間板の変性レベル:グレード1~5の詳細解説
椎間板の状態を5段階(グレード1~5)で評価します。ここでは、複雑な医学用語をできるだけ避け、「タイヤのパンク」という比喩を使って説明します。
グレード1(正常):完全に健全な状態

- タイヤの比喩:新しいタイヤ、空気もしっかり入っている
- 画像の特徴:椎間板は白く、形も綺麗で整理整頓されている
- この段階では治療不要
グレード2(軽度):初期的な傷みが始まった

- タイヤの比喩:タイヤの表面に小さなひびが入り始めた状態
- 画像の特徴:椎間板の輪郭がやや曖昧になり、内部がぼやけ始める
- 内部で水分が失われ始めている段階、適切な治療で改善の可能性が高い
グレード3(中等度・高圧力):ヘルニアの一歩手前

- タイヤの比喩:ひびが広がり、内部の圧力が高まっている状態。まだ破裂(パンク)はしていない
- 画像の特徴:椎間板内のコラーゲン量が減少し、黒く映る
しかし厚み(高さ)はまだ保たれている
内圧が上昇している危険な状態 - 症状:腰痛や違和感が強まるが、まだ脚への放散痛は少ない場合が多い
- この段階は椎間板の中の圧力を下げる治療を行えば進行を止められる可能性がある
グレード4(重度・パンク開始):破裂が始まった状態

- タイヤの比喩:タイヤがパンクし、中身(空気)が漏れ出している状態
- 画像の特徴:椎間板の厚み(高さ)が明らかに減少している
ゲル状の髄核やヒアルロン酸が外に流出
内圧は下がっているが、破裂した部分が神経を刺激 - 症状:腰痛だけでなく、お尻や脚への痛みやしびれが出始める(ヘルニア症状)
- この段階では、圧力を下げるだけでは対応できない。修復治療が必要
グレード5(末期):クッション機能が完全に失われた

- タイヤの比喩:タイヤが潰れて、リムが地面に直接接触している状態
- 画像の特徴:椎間板の厚みがほぼなくなり、骨同士が接触
椎骨間の隙間が著しく狭小化 - 症状:慢性的な腰痛、身長が縮む、腰が曲がるなどの脊椎変形
- この段階では、椎間板修復治療や外科的手術が必要

グレード2(軽度):初期的な傷みが始まった

- タイヤの比喩:タイヤの表面に小さなひびが入り始めた状態
- 画像の特徴:椎間板の輪郭がやや曖昧になり、内部がぼやけ始める
- 内部で水分が失われ始めている段階、適切な治療で改善の可能性が高い
グレード3(中等度・高圧力):ヘルニアの一歩手前

- タイヤの比喩:ひびが広がり、内部の圧力が高まっている状態。まだ破裂(パンク)はしていない
- 画像の特徴:椎間板内のコラーゲン量が減少し、黒く映る
しかし厚み(高さ)はまだ保たれている
内圧が上昇している危険な状態 - 症状:腰痛や違和感が強まるが、まだ脚への放散痛は少ない場合が多い
- この段階は椎間板の中の圧力を下げる治療を行えば進行を止められる可能性がある
グレード4(重度・パンク開始):破裂が始まった状態

- タイヤの比喩:タイヤがパンクし、中身(空気)が漏れ出している状態
- 画像の特徴:椎間板の厚み(高さ)が明らかに減少している
ゲル状の髄核やヒアルロン酸が外に流出
内圧は下がっているが、破裂した部分が神経を刺激 - 症状:腰痛だけでなく、お尻や脚への痛みやしびれが出始める(ヘルニア症状)
- この段階では、圧力を下げるだけでは対応できない。修復治療が必要
グレード5(末期):クッション機能が完全に失われた

- タイヤの比喩:タイヤが潰れて、リムが地面に直接接触している状態
- 画像の特徴:椎間板の厚みがほぼなくなり、骨同士が接触
椎骨間の隙間が著しく狭小化 - 症状:慢性的な腰痛、身長が縮む、腰が曲がるなどの脊椎変形
- この段階では、椎間板修復治療や外科的手術が必要

しかし厚み(高さ)はまだ保たれている
内圧が上昇している危険な状態
グレード4(重度・パンク開始):破裂が始まった状態
- タイヤの比喩:タイヤがパンクし、中身(空気)が漏れ出している状態
- 画像の特徴:椎間板の厚み(高さ)が明らかに減少している
ゲル状の髄核やヒアルロン酸が外に流出
内圧は下がっているが、破裂した部分が神経を刺激 - 症状:腰痛だけでなく、お尻や脚への痛みやしびれが出始める(ヘルニア症状)
- この段階では、圧力を下げるだけでは対応できない。修復治療が必要

グレード5(末期):クッション機能が完全に失われた

- タイヤの比喩:タイヤが潰れて、リムが地面に直接接触している状態
- 画像の特徴:椎間板の厚みがほぼなくなり、骨同士が接触
椎骨間の隙間が著しく狭小化 - 症状:慢性的な腰痛、身長が縮む、腰が曲がるなどの脊椎変形
- この段階では、椎間板修復治療や外科的手術が必要

椎骨間の隙間が著しく狭小化
運命の分かれ道!グレードによる治療法の違い
治療方針を決める最大の分岐点は、「グレード3と4の間」、つまり「椎間板がパンクしているか、していないか」です。
グレード2・3の場合:圧力を下げる治療が有効
椎間板がまだ厚みを保ち、内圧が高い段階では、その圧力を低下させることが治療の目的です。
①レーザー治療(PLDD:経皮的レーザー椎間板減圧)
- 原理:レーザーで椎間板内部を蒸散させ、内圧を低下させる
- 費用:25~30万円程度
- メリット:薬品を使わないため副作用が少ない、費用対効果が高い
- 治療時間:約15~20分
②セルゲル法(ディスコゲル/DiscoGel)※当院では対応できません。
- 原理:特殊なゲルを椎間板内に注入し、内部組織を溶かして圧力を低下させる
- 費用:100万円以上
- メリット:PLDDと同様の治療効果が期待できる
- 治療時間:約15~20分
両治療法の治療成績はほぼ同等です。しかし、費用対効果と安全性を考慮すると、レーザー治療がより優れた選択肢と言えます。高額な費用をかけるよりも、まず圧力軽減治療で様子を見て、必要であれば他の治療に進むという段階的なアプローチが患者にとって最善です。

グレード4・5の場合:修復・再生治療が必要
椎間板が破れて厚みが減ってしまった段階では、「圧力を下げるだけ」では対応できません。破裂した部分を修復し、椎間板を再生させる治療が必要です。
①ディスクシール治療(Discseel Procedure)
- 原理:破れたタイヤを修理するように、椎間板の破裂部分を生体接着剤で修復する
- 費用:130~170万円程度
- メリット:破れた線維輪(椎間板の外側)を塞ぎ、内部の髄核の漏出を塞ぎ神経への圧迫や炎症を緩和
- 治療時間:約15~20分
②DRT法(椎間板再生治療)
- 原理:自分の細胞や成長因子を使って、傷んだ椎間板を再生させる
- 費用:100万円以上
- メリット:より根本的な再生を目指す治療
- 治療時間:約15~20分
グレード4以上に対して、レーザーやセルゲル法(除圧術)を行うのは適応外です。破裂したタイヤに空気を入れるだけでは修理できないのと同じでこの段階に達したら、修復治療を選択する必要があります。

あなたの「グレード」を見極めるチェックリスト
椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症と診断されている方はMRI画像を見るときに、以下のポイントを確認してみてください。あなたはどちらに当てはまりますか?
| 特徴 | グレード2~3 | グレード4~5 |
| 椎間板の厚み | 保たれている | 明らかに減少 |
| 椎間板の色 | グレーと黒が混在 | 真っ黒 |
| 内部の構造 | 比較的整理されている | 変形している、または狭くなっている |
| 神経圧迫 | ない、または軽い | ある(ヘルニア症状) |
| 推奨治療 | 圧力軽減(レーザー、セルゲル) | 修復(ディスクシール、DRT) |
まとめ:MRI画像から見える、適切な治療方法とは
このブログを最後まで読んでいただいた方へ、まずは3つのことを試してみてください。
自分のMRI画像をもう一度見てみる
まずは椎間板の厚みや色を確認してみましょう。「グレード2・3」と「グレード4・5」では、治療の方向性が全く異なります。

現在のグレードを把握する
自分で判断が難しい場合も、このブログの情報を参考に医師に相談すれば、より深い対話ができるようになります。
「自分に合った治療法」を見つける
グレード3までであれば、減圧治療で対応できる可能性が高いです。一方、グレード4以上であれば、早めに修復治療を検討することで、より良い予後が期待できます。最も大切なのは、「今の自分の腰がどの段階にあるか」を正確に知ること。そして、その段階に適した治療を選ぶことです。

切らずに治す治療のご相談はこちら
ご質問があれば、お気軽にお問い合わせください。MRI画像からあなたの症状に合わせた治療を提案いたします。
今回ご紹介した当院の治療法
この記事の著者
大阪本院 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任