背骨のお役立ち情報 / 院長ブログ

とんでもない状況

脊柱管狭窄症に対して他院でディスコゲル治療を受けられ、治療後より歩行困難となり、当院に相談に来られました。


患者様の背景

患者様は50代女性で、脊柱管狭窄症に対して、他院でディスコゲル治療をうけられた方です。治療後より下肢の神経痛が悪化し歩けなくなってしまわれ、治療を受けたクリニックに相談されるもリハビリと食事療法を推奨されただけだったため、納得がいかずに当院に相談に来られました。

検査

診察時のMRI

複数の椎間板が潰れており、神経の通り道である脊柱管も狭くなっています。素人目に見ても椎間板の容量は50%以上低下していることは明らかです。

悪化した理由

ディスコゲル治療は、成分の95%以上がエチルアルコールです。エチルアルコールは組織を科学的に融解(壊死)させる作用があるため、椎間板内にディスコゲルを投与すると、椎間板内を融解し、椎間板内の圧力を下げる効果があります。一般的に対象となる年齢は20~30代で、椎間板ヘルニアに対する治療法です。
しかし今回、治療を受けられた患者様の場合は、もともと椎間板が潰れており、椎間板内の圧力は低いことは明らかです。椎間板内の圧力が低い状態にディスコゲル(エチルアルコール)を投与したら・・・椎間板の損傷は急激に進行します。つまり、神経痛は悪化してしまいます。

患者様への説明

ディスコゲル治療により神経痛が悪化し、歩けなくなってしまわれた可能性があること。脊柱管狭窄症に対してディスコゲル治療を行うことは、海外の医療機関でも禁忌とされていることをご説明しました。そのうえで、外科的手術が可能な医療機関で相談する必要があることをお話しさせていただきました。


院長のつぶやき

昨日は大学時代からの旧友と大阪で食事をしてきました。僕以外は循環器内科医で学会に参加するために大阪に来たらしいです。30年前は、居酒屋で騒いだり、パチンコ、麻雀などで遊んでいた仲間ですが、偉くなっていてびっくりしました。学生時代の友人との仲は年をとっても変わらないものですね。

同級生の写真

とはいえ、まじめな話もしてきました。「子供を医師にするべきか?」という内容です。3人とも将来が見えないため、積極的に医学部を目指す必要はないと言っておりました。将来が見えない理由とは、「医療制度が維持できる保証がない」ということです。具体的には、保険制度改革が行われ、自己負担率の上昇、自由診療枠の拡大が進行する可能性が高い。その場合、医療の規制緩和が拡大し、医療の質低下、最終的に医療機関が一般企業と同じ土俵に立つかもしれないということです。昔は医者の子供は医者という流れもあったのですが・・・変わりつつあるようです。
さて、今日のタイガースは連敗脱出にむけてジャイアンツと戦います。絶対に負けられません。がんばれ、タイガース!


この記事の著者

医療法人蒼優会 理事長・野中腰痛クリニック 大阪本院 院長:野中康行

大阪本院 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


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