背骨のお役立ち情報 / 院長ブログ

【医師解説】ディスクシール治療はなぜ脊柱管狭窄症に有効?-動画解説

はじめに

「脊柱管狭窄症と診断されたけれど、ディスクシール治療がどのように役立つのか分からない…」
「椎間板を直すことで、なぜ脊柱管の問題が改善するの?」
このようにお悩みではありませんか?ディスクシール治療は、アメリカ発祥の椎間板を修復し機能改善を図る治療法です。北米では脊柱管狭窄症にも適用があるとされており、その有効性が認められています。この記事では、ディスクシール治療が脊柱管狭窄症に対してどのようなメカニズムで効果を発揮するのか、専門家の視点から分かりやすく解説します
この記事では、その内容を5分でわかる要約としてお届けします。
動画視聴の予習・復習にぜひご活用ください。


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目次

腰痛の根本原因と脊柱管狭窄症のメカニズム(0:48〜)

日帰り腰痛治療の多くは、腰の骨と骨の間でクッションの役割を果たす「椎間板」を治療対象としています。椎間板は、衝撃吸収、体をねじる関節の役割、骨のずれ防止といった重要な働きを担っています。この椎間板が傷むことで、腰痛はもちろん、椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症、すべり症などの様々な病気を引き起こします。
脊柱管狭窄症は、椎間板の損傷が原因となって進行することがあります。

脊柱管狭窄症の根本原因
  • 椎間板の潰れと骨の動揺

長年の生活で腰に負担がかかると、椎間板が潰れて厚みが失われることがあります(50%もの厚みが失われることも)。椎間板が潰れると、骨が動揺し始め、身長が縮み、腰にキシミが生じるようになります。

  • 靭帯の肥厚と神経圧迫

毎日キシミが起こると、指の節が太くなるように、神経が通っている骨のトンネル(脊柱管)の中にある靭帯(特に黄色靭帯)が傷つき太くなります。太くなった靭帯が神経を圧迫することで、トンネルが狭くなり(脊柱管狭窄症)、神経をこするような状況となり症状が出始めます。動くと神経痛が出たり、安静時でも変な姿勢で神経痛が出たりすることがあります。

このように、脊柱管狭窄症の原因は、椎間板の潰れによる骨の不安定性や靭帯の肥厚にあると説明されています。

ディスクシール治療が脊柱管狭窄症に有効な2つの理由(4:23~)

ディスクシール治療は、脊柱管自体を直接治療するのではなく、脊柱管狭窄症の原因となっている椎間板を修復することで、症状の改善を図ります。そのメカニズムは主に以下の2点です。

腰椎の機能的な安定化(物理的改善)

ディスクシール治療は、潰れてグラグラしている椎間板を修復し、その機能を改善させます。これにより、骨がキシむことがなくなり、腰椎の安定化が図られます。結果として、神経が擦れる回数が減り、症状が和らぐと考えられています。たとえ肥厚した靭帯などの物理的な「もの」が脊柱管内に残っていたとしても、症状がない状態で生活できることを目指します。

脊柱管狭窄症の効果①

化学的な炎症反応の抑制

椎間板が潰れ、中の髄核が線維輪の亀裂から漏れ出すと、その周囲で直接炎症が起こることがあります。ディスクシール治療で椎間板の破れた線維輪の亀裂に特殊な薬剤を注入して穴を塞ぐことで、このような化学的な炎症反応を抑え、症状を取り除くことが期待されます。

脊柱管狭窄症の効果②

ディスクシール治療の特長とメリット(5:10~)

ディスクシール治療(Discseel® Procedure)は、2010年よりアメリカで研究・臨床治療が開始された新しい脊椎疾患治療法です。野中腰痛クリニック院長の野中康行医師は、ディスクシール治療の提唱者であるケビン・パウザ医師と提携を結び、2018年6月より治療を行っています。

  • 椎間板の機能改善が可能
    • 従来の外科的手術では不可能であった椎間板自体の機能改善が期待できます。
  • 日帰り治療が可能
    • 局所麻酔と穿刺針のみで治療が完結するため、日帰りでの治療が可能です。治療時間は20~25分程度で、治療後数時間の安静で帰宅できます。
  • 広範な適用対象
    • 腰部脊柱管狭窄症、腰椎椎間板ヘルニア、椎間板変性症、腰椎すべり症など、様々な椎間板関連の疾患が対象です。また、高齢の方や外科的手術のリスクが高い方、外科手術後に改善が見られなかった方や再発した方にも治療が可能です。
  • 低い再発率
    • ディスクシール治療では、椎間板の修復効果があるため、症状の改善だけでなく再発率が低くなっています。
ディスクシール治療の2つの効果1
ディスクシール治療の2つの効果2

まとめ(5:40~)

ディスクシール治療は、脊柱管狭窄症の根本原因である椎間板の損傷を修復することで、腰椎の安定化と化学的炎症の抑制を図り、症状の改善を目指す治療法です。物理的な構造物の除去だけでなく、患者さんの痛みをなくし、残りの人生を痛みなく過ごせるようにすることが治療の最終的な目的です。

まとめ

ご自身の椎間板の状態を正確に診断し、最適な治療法を選択することが、腰痛改善への一番の近道となります。MRIなどの画像診断と専門医による診察で、ご自身の状態に合った治療法を見極めることが重要です。

関連情報

【関連動画・記事】
ディスクシール治療とは(院長・副院長対談動画)⇒こちらから
日帰り腰痛治療⇒こちらから

【当院の対象疾患と症状】
脊柱管狭窄症⇒こちらから
椎間板変性症⇒こちらから
腰椎すべり症⇒こちらから


この記事の著者

医療法人蒼優会 理事長・野中腰痛クリニック 大阪本院 院長:野中康行

大阪本院 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


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