コラム / 院長ブログ

赤字の病院が急増……でも医療関連企業は利益増大?

速報:赤字病院の増加

昨日、赤字病院の割合が増加していると報道されたのを見ました。2022年度は全国の赤字病院の割合は23%でしたが、2023年度は53%、2024年度には80%以上となったようです。2023年度までは世界的に医療材料の原価が上昇した事(インフレ)で医療材料費が増大した結果、赤字病院が増加していました。しかし、2024年度には世界的にインフレが落ち着いたことで医療材料費の原価も安定していたのですが、医療材料費の販売価格はさらに20-40%値上がりしてしまったことと、全国的に人件費が増加した結果、赤字病院の割合が急増したようです。

でも疑問があります。2024年度には医療材料費の原価が落ち着いたにも関わらず、どうして医療材料の販売価格が20-40%も値上がりしたのか? 医療関連企業が経営危機だから値上げしたのかな? と思い公表されている医療関連企業の決算を確認したところ、大手医薬品メーカーの武田薬品や第一三共、大手卸メーカーのアルフレッサ、スズケンなど、いずれの企業も2024年度は増益でした。原価は安定化したが、販売価格を値上げしたことでの利益増大です。さらに、今年4月にも医療材料が平均30%ほど値上げされたのですが、その理由は「昨今の原材料高騰や人件費など諸経費の増加により値上げさせて頂きます」と送られてきたお手紙に記載されていました。医療関連企業は2025年度も増益となりそうです。

世の中全体が値上げしやすい世論にはなってはいますが、保険診療を行っている病院は値上げされた医療材料費を患者さんに転嫁できません。保険診療の限界が見えてきた昨今では、若手医師が美容形成に流れるのも当然かもしれません。


医療機関以外はどうか?

世界的にインフレは落ち着いてきたので各国で利下げも進んでいます。為替も安定しているのに、なぜか日本でインフレが進行しています。ある経済サイトでは「大手企業は販売価格を値上げしやすい環境になったことから、最近は原材料高に対応するための値上げではなく、人件費の増加に対応する名目で販売価格を値上げしているが、得た利益の大部分は人件費には使われず企業収益とされている」と記載されていました。とすれば、人件費の上昇幅よりも物価の上昇幅が高くなる悪い物価上昇になります。(実質賃金が低下する物価上昇=企業が利益を得る物価上昇)

物価

良い物価上昇とは、景気が良くなり給与水準が切り上がった結果として物価が上昇すること。結果として、企業収益が上昇しさらに給与水準が上がることです。(実質賃金が増加する物価上昇=勤労者が利益を得る物価上昇)

良い物価上昇では、実質賃金が増える結果、個人消費が維持されるので持続可能性が高いですが、悪い物価上昇の場合は早晩破綻すると思います。破綻とは、悪い物価上昇により実質賃金が減る結果、勤労者の購買力が早期に限界を迎えるためGDPの50%以上を支えている内需(個人消費)が低迷し、景気が悪化することを意味します。また、景気悪化局面では需給関係から物価は低下するはずですが、同時に実質賃金も低下するため、購買力は低下したままとなります。最悪です。

悪い物価上昇から抜け出すには、景気が悪化する前に企業が自らの利益水準を切り下げて労働分配率を上げたり、消費税減税などの実質賃金を増やすような取り組みが必要になります。しかしながら、企業の労働分配率は1990年代には70%でしたが、その後は低下し続けており、2023年には60%にまで落ち込んでいます。企業は儲けているが勤労者(特に非正規職員)には還元されない状況になっています。また、減税も自公政権と財務省により阻まれております。

国会

財源

自民党は減税の財源が無いと言ってますが、効果の低い政策に大金をつぎ込んでいるから財源が無くなったんじゃないでしょうか? 各省庁の官僚も天下り先企業へ税金を流すような政策立案が仕事の一つだと思うんですが、自民党も官僚もそのようなことはやめて、既存の政策を中止し、支出を減らすことを仕事にすべきだと思うんですよね。家庭であれば収入が少なくなれば節約するのと同じです。

また政府が主導する経済政策よりも、民間企業が主導する経済活動の方が圧倒的にパフォーマンスは高いことは自明の理ですから、政府主導の経済政策で無駄なお金を使わずに、減税して個人や民間企業にお金を分配した方が経済は回ると思います。とは言え、既得権益構造が確立している自民党では無理なんでしょう。ことわざで「他人の財布、自分の懐」というものがありますが、基本的に自民党や官僚は税金や国債を「他人の財布」と思っているんじゃないでしょうか。

私見

個人的には、既得権益と繋がっていない政党に政権交代が行われた上で、政治家の給与を5倍程度にする。その代わり政治家には企業献金も接待も禁止してもらい、企業の為の経済政策を立案するのではなく、国民目線の減税を中心とした政策の立案に注力してもらう。官僚に対しては給与2倍、年金も3倍くらいに引き上げる。その代わりに官僚の天下りを廃止し、官僚の仕事を経済政策立案ではなく、効果の低い政策を廃止するための業務に従事することにすれば、やりくり上手なお母さんと同じように、財源を確保して大幅な減税も可能になるんじゃないでしょうか。政策の廃止により公的サービスの質低下は免れないでしょうが、それ以上に国債発行額の減額から将来世代の負債減免、利回り低下=金利低下、金利低下により円安傾向に振れますが、国民の実質所得が増えるので円安による物価上昇は相殺され生活は今よりも豊かになるんちゃうやろか。衆院選に立候補しよかな。笑


院長の一言

さて、まもなく盆休みですが私は家族でプールとラフティングを予定しております。怪我しないように頑張ります。

ヘルメット子ちゃん:夏休み

この記事の著者

医療法人蒼優会 理事長・野中腰痛クリニック 大阪本院 院長:野中康行

大阪本院 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


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