患者様の情報
40代 男性
疾患・症状
患者様の状態
患者様は私と同年代の方になります。今年3月に内服薬では効果が無い腰痛と坐骨神経痛を発症されました。近くの病院で診察を受けられましたが、「ヘルニアが大きくないため手術は適応外」と言われ、途方に暮れて当院を受診されています。
検査

L4/5の椎間板が黒くなっており、わずかに飛び出している状態です。ヘルニア部分では炎症により白く映っている部分が確認されます。椎間板終板炎と呼ばれる状態で、繊維輪の損傷も疑われる状態です。
治療
ヘルニアは大きくありませんので、外科的手術は困難を極めると思われます。しかし、ヘルニアの大きさは小さくとも、炎症が強い場合には強い坐骨神経痛が出現する事はよくあります。まずは椎間板に対して検査を行う事にしました。
Annulogram検査
椎間板の検査を行っているところです。Annulogram検査です。損傷部分が黒く映っていますね。差し棒で示している神経根の傍にある椎間板繊維輪の損傷部分が坐骨神経痛の原因であろうと判断します。
ディスクシール治療
損傷部分を修復するため、ディスクシール治療を行っているところです。40秒程で修復は完了しました。
まとめ
外科的手術はできなくとも、椎間板の内側からなら治療することはできます。椎間板の内側から修復する方法は、ディスクシール治療かDRT(椎間板再生治療)しかありません。PLDDやディスコゲル治療(セルゲル法)は椎間板を融解させる治療である為に修復はできませんのでご注意ください。このことは取扱説明書にも記載されています。
院長の一言
20kgの刺客
2024年5月にDRT法(椎間板再生治療)を行ってから1年以上が経過しました。ゴルフもスキーも楽しんでおりますが、昨日、20kg以上あるポータブルバッテリーを運んだ際に左わき腹を痛めてしまいました。腰痛と坐骨神経痛は治ったのに、肋軟骨障害を発症してしまいました。深呼吸や咳をすると左わき腹が痛みます。来週には家族サービスでナガシマスパーランドに行かなあかんのに……。激流プールで心身ともに弾ける予定やったのに……。1週間以内に治癒させなあきまへん。

今回の治療法
ディスクシール治療(Discseel® Procedure)
治療期間
日帰り
治療費用
1,320,000円~1,650,000円(税込)
リスク・副作用
治療後2週間程度は、一時的に症状が悪化する可能性があります。ごく稀に椎間板の容量が増えたことによって、周りの筋肉や関節、靭帯などの広がりにより、筋肉痛や腰の違和感が出現することもあります。
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この記事の著者

大阪本院 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任