最新腰痛情報/ 院長ブログ

【参加報告】再生医療学会総会2025

目次

再生医療学会学術総会2025

久しぶりの投稿となりますが、今回は先日横浜で行われました再生医療学会に参加してきましたので、その報告をいたします。再生医療に携わる我々にとって、新しい知見を得たりするとても重要な機会である再生医療学会の学術総会に参加してきました。

再生医療学会学術総会2025①

ほぼ毎年参加していますが、今回の目的は脊椎や神経関係の再生治療の情報収集以外にも大きな目的がありました。

私は以前、大学院時代にiPS細胞を使用した再生治療の研究を行っていて、本学会でも発表の経験があります。日本では初めての報告で世界的にみても先駆けとなっていた研究でした。メディアにも取り上げていただき、国内外の様々な学会のシンポジウムで講演させていただいたのはとても貴重な経験でした。良い結果に恵まれたことはとても幸運でしたが、困難なことや苦しいこと、忙しかったこと、過労により体調を壊したこと、、、、もう二度と経験できない(出来ればしたくない)生活は、今となってはいい思い出です!

その研究も治療への実用化にはいくつかの越えなければならないハードルがあり、現在は後輩が研究を引き継いでくれています。研究時代の恩師が今回の再生医療学会のシンポジウムでその成果と今後の展望について発表されていたので、聴講させていただきました。研究成果の報告が私の顔写真の紹介から始まり、嬉しくも気恥ずかしい思いでした。現在も研究は着実に進んでおり、近い将来に実用化される日を心待ちにしています!!!
発表後に恩師との会話に花が咲きすぎて写真を撮り忘れたことが心残りです。。。

再生医療学会学術総会2025②

椎間板の再生医療

さて、椎間板の再生医療に関しては、以前からある幹細胞を用いた再生治療に加え、当院でも使用しているPRP(多血小板血漿)を用いた治療やエクソソーム(細胞外小胞)を用いた治療が新たにトピックスとなっています。海外では以前からデータがありますが、日本でのデータも徐々に出始めてきました。我々の治療はこれらに加えて、ディスクシール治療(DISCSEEL Procedure)がありますが、それぞれの治療でメリットやデメリットがあり、今後は細かい使い分けを含めて色々検討し、皆様により良い治療をお届けできるように頑張りたいと思います。

現時点の情報だけでは今後の方向性は決められないのですが、今回改めて想いを強くしたことがありました。皆様の困っている症状を治療することももちろん重要ですが、予防が重要であるということです。悪くなりすぎると取り返しがつかなくなります。診察では、よく椎間板を歯に例えてお話をすることがあります。

歯に虫歯ができると元に戻らないのと同様に、椎間板も線維輪が損傷すると元には戻りません。ですので、虫歯を早期に治療するように椎間板の損傷を早期に治療することで、将来的な悪化を防ぐ必要があります。歯がボロボロになると歯を抜かないといけなくなるように、椎間板の厚さが薄くなったり、骨や靭帯の変形を伴うと外科手術が必要になることもあります。まだ外科手術(固定術や除圧術など)をしなくても大丈夫という状況は、まだ歯を抜かなくてもいいと言うだけなのです。痛みがないからと虫歯を放置していいことがないのと同様に、椎間板の損傷も放置しても修復することはありません。

多くの患者様の経過を見ていて、早期に修復治療をした方が経過が良いですし、治療のリスクも極めて低いことが予防的に治療を行うことも可能にしています。もちろん、歯を磨いて虫歯を予防するように、体幹トレーニングやストレッチで椎間板が損傷しにくい体づくりも重要です。

再生医療学会学術総会2025③

副院長の一言

再生治療は様々な可能性を秘めてはいますが、万能ではありません。大きく変形しすぎたものは元に戻らないのです。将来的には予防治療として、年齢が若い内から治療ができるようになれば健康寿命も延びると思います。

今回はいつも以上に実りの多い学会でした!今後、今回の学会の内容をYouTubeなどで発信できればと考えています。

再生医療学会学術総会2025④

この記事の著者

野中腰痛クリニック 大阪本院 副院長:石田貴樹

大阪本院 副院長石田 貴樹

2009年:高知大学卒業・医師免許取得、2012年:神戸市立医療センター西市民病院勤務、2013年:兵庫県立尼崎病院勤務、2014年:関西労災病院勤務、2019年:ILC国際腰痛クリニック勤務、2021年:野中腰痛クリニック勤務、2022年:2年間の研修を経て10月にライセンスを獲得、2023年:医療法人蒼優会理事就任・野中腰痛クリニック副院長就任


閉じる