第一腰椎から始まり第一仙椎までの各骨の間に椎間板は存在し、数は5つになります。腰椎椎間板ヘルニアになりやすい場所は第四腰椎と第五腰椎の間、第五腰椎と第一仙椎の間です。腰椎の中でもっとも負荷が掛かりやすい場所といわれています。椎間板ヘルニアに関連性が深い第五腰椎について解説していきます。

脊椎の模型

目次

第五腰椎の解剖学的特徴とは

腰椎の模型

腰椎とは第1腰椎(L1)、第2腰椎(L2)、第3腰椎(L3)、第4腰椎(L4)、第5腰椎(L5)から構成されている腰骨のことです。 椎間板とは腰椎の間に存在するクッションのことをいいます。第5腰椎の下にある第1仙椎(S1)も含めて、その間に存在する椎間板は5つあり、その中でもっとも負荷が掛かりやすいのは第5腰椎です。第5腰椎は、腰椎の中でもっとも下に位置する骨であり、第1仙椎(S1)の上に直接接しています。第5腰椎は他の腰椎よりもやや大きく、重心が下にあるため、より大きな負荷を支える構造を持っています。椎体(背骨を構成する骨)は広く横幅が大きいことが特徴で、その周りに存在する骨や靭帯や筋肉も安定感がありしっかりと固定されている状態です。


なぜ第五腰椎は負荷が掛かりやすいのか

骨盤の模型

第5腰椎と第1仙椎の間にある椎間板は、腰椎の中でも特に大きな負荷を受ける部位です。第5腰椎には関節突起といわれる骨により、上にある第4腰椎、下にある第1仙椎と連結しています。連結することにより、腰椎全体の安定性に関与し、骨がずれたり、椎間板が傷まないようにする役割があります。第5腰椎は腰椎の最下部に位置するため、体重の大部分が集中します。特に体を前に屈めたり後ろに反らしたり、捻る動作において負荷が大きくなります。脊椎の傾斜が強いことも負荷が掛かりやすい原因の1つです。第5腰椎の上下にある椎間板が傷んでしまうと、腰痛、お尻や足の痛み・しびれが出ます。また、足の感覚に異常が出現したり足の力が入りにくくなることもあります。


第五腰椎の椎間板ヘルニアを手術するとしたら

椎間板ヘルニアとは、椎間板が破れ、中にある成分が外に飛び出すことをいいます。飛び出したヘルニアは体の機能により3か月ほどで自然に吸収されます。ただ、傷がついた椎間板自体は自然には回復しません。椎間板の治療を行わなければ、再び破れた傷口からヘルニアが外に飛び出してしまいます。当院では日帰りで椎間板治療を行っています。

腰痛のアンケート結果

当院では、腰痛で悩んでいる50代~60代の男女(※病院で「腰痛」と診断された経験がある方)を対象に、「腰痛の治療や手術」に関する調査を実施しました。「再生治療を受けてよかったと思いますか?」と質問したところ、『とてもそう思う(30.1%)』『ある程度そう思う(48.8%)』『あまりそう思わない(17.9%)』『まったくそう思わな(3.3%)』という回答結果になりました。「とてもそう思う」「ある程度そう思う」と答えた人を合わせると、約8割の方が再生治療を受けてよかったと感じていることが明らかになりました。再生治療の満足度は高いことがうかがえます。


【まとめ】第五腰椎と椎間板ヘルニアの関連性

椎間板ヘルニアの説明図

第5腰椎は脊椎の構造上力学的負荷がもっとも掛かりやすい部位です。その結果、椎間板ヘルニアを発症すると、腰やお尻の痛み、足の痛みやしびれ、足に力が入らないなど日常生活に支障をきたす症状が現れる恐れがあります。腰痛改善には早期治療が大切です。お悩みの方は専門医の診察を受けられることをおすすめします。

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニア

腰椎椎間板ヘルニアとは背骨の間にある椎間板(ついかんばん)が外に飛び出し神経を圧迫する疾患です。坐骨神経痛、ぎっくり腰などの症状を引き起こします。