腰の再生医療は脂肪由来幹細胞治療、多血小板血漿(PRP)治療、幹細胞培養状清液治療(エクソソーム)等があります。また当院が独自で調査したアンケート結果によると再生医療の満足度は高いことが分かっています。

医療研究者

目次

再生医療とは?椎間板は再生するのか?

近未来の骨模型

再生医療とは、病気や怪我などで機能しなくなった組織などを再び機能するように働きかける治療方法です。再生医療は国内外問わず様々な研究が進められていて、これまで治療が難しかった症例や病気や怪我の根本治療になると期待されています。症状が改善される原理や効果など、すべて分かっているわけではありませんが、論文結果によると一定の基準をクリアし治療後1年間追跡調査を行った結果では改善を認められている症例も多く存在します。

椎間板変性に対するPRP療法の参考論文は下記となります。

  • 序論……臨床試験にて椎間板による疼痛を訴えた16例を対象に治療前と治療後を追跡調査した結果です。
  • 結論……PPR注入後、5年以上の経過観察において腰痛および身体障害の程度のスコアは改善され、その安全性も確認されています。
  • 出典元……脊椎脊髄ジャーナル 36巻1号(2023年4月発行)「椎間板変性に対するPRP療法」

国内で行われている腰の再生医療にはどんな種類がある?

最先端の医療施設

国内で、腰の椎間板に対して再生医療を行っている病院やクリニックは多数存在しています。再生医療といえばiPS細胞治療を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか?2024年3月に再生医療学会に出席した際、こちらの研究結果について報告を聞きましたが現時点では治験レベルであり、患者様へ治療を行えるのはまだまだ先になりそうです。

  • 脂肪由来幹細胞治療……脂肪に含まれる幹細胞を患者様から採取して、静脈内点滴を行う再生治療。
  • 多血小板血漿治療……患者様の血液を用いて血小板液を作成し、注射器にて椎間板内に投与する再生治療。
  • 幹細胞培養上清液治療<エクソソーム>……体内の幹細胞を培養し、その培養液から幹細胞を取り出して中の上澄み液を注射する再生医療。

当院ではディスクシール治療・DRT法(椎間板再生治療)を主に椎間板の機能改善に効果が期待できる治療として患者様にご提案しています。将来的には上記の再生医療も取り入れ、更なる治療効果の向上を目指すことができるのではないかと考えています。


再生医療を受けた人はいるの?そのメリットとは?

再生医療のアンケート結果

当院では腰痛で悩んでいる50代~60代の男女(※病院で「腰痛」と診断された経験がある方)を対象に、「腰痛の治療や手術」に関する調査を実施しました。「再生治療を受けてよかったと思いますか?」と質問したところ、『とてもそう思う(30.1%)』『ある程度そう思う(48.8%)』『あまりそう思わない(17.9%)』『まったくそう思わない(3.3%)』という回答結果になりました。約8割ほどの方が再生治療を受けて良かったと感じておられます。再生医療に対しての満足度は高いことが分かります。また再生医療を受けて良かったメリットとして「治療時間が短い」「日帰りでの治療が可能」「翌日から普段の生活ができる」といった点が高く評価されているようです。

【まとめ】再生医療について

治療室

2024年3月に新潟県で3日間に渡って開催された「第23回日本再生医療学会総会」に参加させていただきました。そこでは主に幹細胞治療・iPS細胞治療においての研究結果が発表されていました。北米に比べると日本はまだまだ再生医療の分野において遅れを取っています。また腰痛に対しての再生医療の保険適用についてもまだまだ時間が必要だと感じました。椎間板治療にとって再生医療はとても有効な治療方法と考えますが、エビデンスの確立など様々な課題もあります。当院ではすでに提供しているディスクシール治療とDRT法の治療成績の向上を目指し、より有効的な再生医療を皆様にご提供できるよう精進していきたいと思います。

再生医療学会については下記ブログにて執筆しています。よろしければご覧ください。

ご不明なことがあれば当院まで、お問い合わせください。

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任