概略

坐骨神経痛で椅子に座ると痛い場合、原因と対策を理解することが重要です。坐骨神経痛は、長時間の座位姿勢や不適切な椅子の使用で悪化することがありますので、対策として、適切なクッションを使用する姿勢を頻繁に変える適度な運動を取り入れることが推奨されます。また、椅子の高さや硬さ、座面の形状にも注意が必要です。これらの方法を実践することで、痛みを軽減し、快適な日常生活を送ることが可能となります。


目次

坐骨神経痛を予防・改善する正しい椅子の座り方

坐骨神経痛を予防、改善する正しい椅子の座り方には3つのポイントが挙げられます。

椅子の座り方

足の裏を均等に地面に着ける

いくら腰をまっすぐ伸ばしていても、足の裏が均等に地面に着いていなければ正しい座り姿勢とは言えません。足先から踵までを地面にしっかりと着けます。この時に足裏の内側や外側も地面から浮かないように注意してください。(土踏まずの部分は浮きます)
また、左右差が無いことも重要となります。右足はしっかりと地面に着くが、左足は少し浮いているなどが無いように意識してください。

椅子の座り方①

お尻の骨(座骨結節)を椅子に均等に当てる

座骨結節(ざこつけっせつ)というお尻の骨があります。写真にて、手を当てている部分です。この骨が左右均等に椅子に当たっていないと、骨盤が歪んでいる状態になります。座り姿勢が悪い場合は座骨結節が椅子に当たらず、腰が丸くなっている場合が多いです。また、左右均等というのも重要です。座った状態で左右の肩の高さが違う場合があると思います。右肩が下がっている場合は、右の座骨結節に重心が掛かりすぎています。出来るだけ左右均等に体重を掛けてください。

椅子の座り方②

上半身を伸ばす

左右均等に足が着いていても、上半身が丸くなっていたり腰が反っていては正しい姿勢とは言えません。「頭のてっぺんが天井から軽く引っ張られている」という意識を持ってください。座った姿勢で、猫背姿勢の場合は胸を張ろうと意識する方が多いです。胸を張りすぎると、腰のカーブが増えてしまい反り腰姿勢になります。反り腰は腰に負担がかかり、坐骨神経痛の悪化につながるので注意してください。天井から軽く引っ張られている意識を持つだけで、骨盤が立った綺麗な姿勢が取りやすくなります。

椅子の座り方③

※いくら良い座り姿勢でいても、長時間座っていることが腰にとっては負担となります。30分に1度は立ち上がるなどして、姿勢を変えることが重要です。

※坐骨神経痛とは症状の総称となります。腰椎椎間板ヘルニア、腰椎脊柱管狭窄症など原因となる疾患によって対処方法が異なります。ご自身に適したケア方法はかかりつけの先生にご相談ください。


坐骨神経痛を予防・改善する正しい床の座り方

坐骨神経痛を予防、改善する正しい床の座り方には2つのポイントが挙げられます。

床の座り方

あぐら姿勢で座る

足を横に出す「お姉さん座り」や、背中が丸くなる「体育座り」はお勧めできません。坐骨神経痛の症状が増悪する可能性があります。おすすめは「あぐら座り」です。あぐら姿勢であれば、左右どちらかのお尻だけに体重が掛かりにくいので、腰への負担は軽減されます。お尻に強い圧迫力が加わり続けると、お尻の痛みや足への痺れ症状にも繋がります。

床の座り方①

腰を丸めて座らない

あぐら姿勢で気を付けていただきたいのが、腰が丸い状態になってしまうことです。骨盤が後ろに傾くと、腰は丸くなり負担が掛かりやすくなります。背中が真っすぐになるように意識してください。ただ、腰回りの体幹筋力が足りないと背中を真っすぐにすること自体が難しくなります。その場合は、お尻にバスタオル(座布団でも結構です)を挟んでください。挟む場所は、お尻の後ろ半分ほどです。いかがですか。少し、背中が真っすぐになったのではないでしょうか。バスタオルを挟むことにより、骨盤が少し前に傾き、良い姿勢が取りやすくなります。

床の座り方②

※いくら良い座り姿勢でいても、長時間座っていることが腰にとっては負担となります。30分に1度は立ち上がるなどして、姿勢を変えることが重要です。

※坐骨神経痛とは症状の総称となります。腰椎椎間板ヘルニア、腰椎脊柱管狭窄症など原因となる疾患によって対処方法が異なります。ご自身に適したケア方法はかかりつけの先生にご相談ください。


坐骨神経痛の人が日常で気を付けること

  • 椅子、床問わず座る際は正しい姿勢を保つ
  • 長時間座ることは避け、休憩を挟む
  • 重いものを持たない
  • 身体を冷やさないようにする
  • 適度な運動を行う

NLC野中腰痛クリニックによる坐骨神経痛の治療実績

当院における坐骨神経痛の治療実績をご紹介します。坐骨神経痛は腰痛疾患をお持ちの幅広い年齢層の患者様に見られる症状です。当院の坐骨神経痛の治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、6,260件(集計期間:2018年6月~2024年9月)

脊柱管狭窄症に対して脊椎固定術を行われた患者さまです。術後に症状の改善は認められましたが、坐骨神経痛が再発(FBSS(脊椎術後疼痛症候群・隣接椎間障害))したため当院にてディスクシール治療(Discseel® Procedure)を施術致しました。治療後は2時間ほどベッドでお休みいただき、帰宅していただております。


まとめ

坐骨神経痛で椅子に座ると痛みが生じる場合、適切な対策を取ることが重要です。まずは腰をしっかりサポートするクッションや、足が床にしっかり着く高さの椅子を選びましょう。また、座る姿勢にも注意が必要で、膝と股関節が直角になるように座り、定期的に姿勢を変えることで血流を促進します。軽い運動やストレッチを日常的に取り入れることで痛みを和らげる効果も期待できます。これらの対策を実践し、坐骨神経痛の痛みを軽減し、快適な日常生活を送りましょう。もし症状の改善が見られず、悪化するようなことがありましたら近隣の整形外科など専門家に相談することをおすすめします。
当院に併設するリハビリ施設で行っている坐骨神経痛の方へ向けた運動方法こちらをご覧ください。

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


坐骨神経痛

坐骨神経痛

坐骨神経痛とは、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症などを原因とし、腰から下部の臀部や脚に痛みやしびれを感じる症状です。