腰椎椎間板ヘルニアに対して運動療法(リハビリ)は有効です。運動療法(リハビリ)を行うことで腰回りの筋肉を強化し、椎間板への負担を軽減する効果が期待できます。ただし、痛みが強い急性期間では無理に運動する必要はなく、薬やコルセットで安静にする必要があります。


目次

腰椎椎間板ヘルニアにリハビリは有効か

腰椎椎間板ヘルニアに対して、リハビリは有効です。椎間板ヘルニアは、腰のクッションである椎間板の中にある組織が外に漏れ出てしまい、炎症が発生して痛みやしびれが起きます。その症状は、椎間板に負担が掛かると余計に増悪します。腰の周りの筋肉が弱いと、良い姿勢が保てなくなり椎間板への負担はより大きくなります。前かがみになる姿勢が椎間板ヘルニアには負担の掛かる姿勢と言われます。リハビリを行い、腰回りの筋肉を強化することで椎間板への負担の軽減効果が期待できます。

リハビリを行って良い期間とは

椎間板ヘルニアになった直後は、急性期といって症状が1番強く出る時期です。日常生活にも支障が出るほど、腰から足にかけて痛みやしびれが認められます。椎間板ヘルニアにリハビリが有効とお伝えしましたが、痛みが強いこの時期に無理をして運動をする必要はありません。おおよそ数週間ほどで急性期が終わるので、無理にリハビリを始めるのではなく最初はお薬やコルセットを使い様子をみてください。


運動療法のメリットとデメリットとは

運動療法のメリットとは、お体への負担が少なくどなたでも気軽に行うことが出来る点です。外科手術は椎間板ヘルニアの根本治療となりますが、切開や入院が必要となりお体への負担は少なくありません。まずは運動療法から始め、回復の経過をみながら椎間板ヘルニアと向き合うことが出来ます。運動療法のデメリットは、椎間板ヘルニアそのものを治す力が無い点です。腰の筋肉をつけたり、関節を柔らかくすることは大切ですが、だからといって椎間板自体が治るわけではありません。運動療法は椎間板ヘルニアに有効ですが、根本治療とはなり得ません。


リハビリを中止して、病院に行くべき椎間板ヘルニアの症状とは

  • 足の麻痺がみられる
  • 尿意や便意の障害がある

リハビリは有効ですが、どんな症状が出ていてもリハビリを続けていれば良いかというとそういうわけではありません。上記のような症状が出ていれば、早急に病院を受診してください。関節や筋肉の問題ではなく、腰の神経の問題になります。リハビリを継続しても、効果は出ませんのでご注意ください。


腰椎椎間板ヘルニアには、どこを鍛えれば良いのか

筋肉は大きく2種類に分けることが出来ます。「アウターマッスル」と「インナーマッスル」です。アウターマッスルとは、体の表面にある外側にある筋肉です。ジャンプをしたり走ったりする瞬発系の役割があります。インナーマッスルとは、体の奥側にある筋肉です。腰を守ったり、姿勢を支えるなど持久系の役割があります。椎間板ヘルニアには、まずは腰の負担を減らす必要があります。そのためには、腰を支えるインナーマッスルのエクササイズが効果的です。ご自宅で行えるエクササイズを次項でお伝えします。

【ご自宅で出来る】椎間板ヘルニアに効果的なエクササイズ

  1. 膝と膝の間にクッションを挟み、仰向けになります
  2. 肩、お腹、膝が一直線になるようにお尻を上げます
  3. 5秒間キープして、ゆっくり下ろします
  4. この動きを10回繰り返します
  5. 1セット10回、1日3セット行います

ポイント

  • 運動中にタオルが落ちないように、お尻にも力を入れます

リハビリを行っても改善しない椎間板ヘルニアにお悩みの方へ

リハビリは腰椎椎間板ヘルニアに有効です。ただ、全ての症状に対して必ず効果が出るものではありません。リハビリとは筋肉や関節に対してのアプローチとなるので、椎間板自体が良くなるわけではありません。椎間板に傷が出来てしまい、その傷が治らなければ椎間板の中の組織は漏れ続けることになります。漏れ出た組織が炎症を起こし、腰痛や足の痛みやしびれが出現します。この傷を治すには、リハビリではなく椎間板治療が必要となります。当院では、メスを使わずに日帰りで行えるDST(ディスクシール)治療を行っております。入院も必要ありませんので、お体への負担も少なくご高齢の方でも受けていただくことが可能です。 外科手術しかないと診断があった方でも、是非一度ご検討いただければと思います。


腰椎椎間板ヘルニアにリハビリは有効!?運動療法のメリットデメリットを徹底解説!のまとめ

腰椎椎間板ヘルニアにはリハビリが有効です。ただ、行う時期や行う運動療法の種類によっても効果が変わりますので、詳しくは担当医の先生やリハビリテーションの先生にご相談ください。リハビリはどなたでもお気軽に行えます。特にデメリットが無いので、いきなり外科手術よりはまずはリハビリやお薬などから治療を始められるのはいかがでしょうか。しかし、椎間板自体が良くなるわけではありません。根本治療をお望みの方は、外科手術や当院で行っている椎間板治療を一度ご検討ください。


参照先

腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン 講座 シリーズ「エビデンスに基づく理学療法 ─理学療法診療ガイドラインを読み解く─」 伊藤 俊一 理学療法学 2015年42巻6号p.530-535

引用リンク

腰椎椎間板ヘルニア 理学療法診療ガイドライン

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰椎椎間板ヘルニア

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