すべり症にマッサージやストレッチは効果的ですが、悪化するようなやってはいけないこともあります。マッサージやストレッチの目的は筋肉をほぐすことであり、お尻や足を優しくさすったり揉んだりすることで血流が改善され、痛みが和らぎます。注意すべき点は、腰に強い力をかけないことです。よくない刺激が入ると、筋肉が硬くなって痛みが増します。すべり症は腰を反らすと悪化するので、うつ伏せで腰を押されるようなマッサージやストレッチもやってはいけません。
目次
すべり症にマッサージは効果的か
すべり症にマッサージは効果的です。ただ、マッサージの方法を間違えると症状が悪化してしまうことがあります。
良いマッサージ
すべり症にとって、良いマッサージとはお尻や足を気持ち良い程度にさすったり揉んだりすることです。筋肉が柔らかくなることで、血液循環も良くなり、症状の緩和が期待できます。
悪いマッサージ
力強いマッサージはお勧めできません。特に腰に対しては注意が必要です。強すぎる刺激が入ることで、筋肉が緊張して痛みに敏感になってしまうことがあります。すべり症には、腰を反る姿勢や動きが良くありません。うつ伏せの状態で上方向から腰を押さえるようなマッサージもお勧めできません。
悪いマッサージの例え
上記のようなマッサージは、すべり症の症状が増悪するおそれがあります。腰が反ってしまっているからです。足やお尻にローラーを置いてコロコロとマッサージをする分には良いと思います。ただ、腰にローラーを当ててしまうと反り腰の状態が出来てしまうので、すべり症の方には注意が必要です。
すべり症にマッサージの機械は良い?
腰痛に関して、様々なマッサージの機械があります。1番注意していただきたいのが、反り腰になっているかどうかです。反り腰になると、余計に骨が前にすべり、すべり症の症状は増悪します。どのような機械でも「腰が反っていないか」を確認しながら行うことが重要です。腰痛に良いマッサージ=すべり症に良いマッサージではありません。症状に適した、マッサージやストレッチを行うことが重要です。
マッサージ機
最近ではマッサージガンといった、片手で持てる小さなマッサージの機械があります。クッションタイプの物もありますし、様々なタイプがあります。気持ち良い範囲内で行っていただくには、全く問題ありません。ただ、腰ばかり集中的に強い力でマッサージすることはお勧めできません。前述した通り、腰回りの筋肉が硬くなり症状が増悪する可能性があります。お尻や足を中心にほどほどに行ってください。
マッサージチェア
マッサージチェアを受けていただくことも問題ありません。ただ、マッサージを行う揉み玉(突起部分)が大きいタイプのマッサージチェアには注意が必要です。大きな揉み玉が集中的に腰に当たることで、反り腰姿勢になり、症状が増悪する可能性があります。心配な方は、「全身モードで体全体をほぐす」か「弱いモードで行う」など、腰ばかりに強い刺激を与えないようにしてください。
ストレッチポール、バランスボール
ストレッチポールとは、筒状のもので、1人でストレッチをしたりマッサージを行ったりするものです。バランスボールとは、バランストレーニングや骨盤の運動を行う、大きなボールのことです。どちらもスポーツジムなどで見かけることがあります。これらもマッサージ機などと同様で、反り腰になっていないかどうかを確認しながら行ってください。
すべり症に対して日帰りで行える椎間板治療とは
外科手術は、すべり症に対する根本治療ですがお体への負担は大きくなります。「全身麻酔は怖い」「長期の入院はしたくない」「体にメスを入れたくない」など様々なご意見があるかと思います。当院で行っている、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)はすべり症に対して、日帰りで行える椎間板治療となります。メスを使用しないので、お体の負担は少なくご高齢の方にも治療を受けていただくことが可能です。
すべり症にマッサージは良い?良いマッサージと悪いマッサージの違いとは?のまとめ
すべり症にマッサージは効果的です。筋肉を柔らかくすることで、血液循環が良くなり症状の改善が期待できます。ただ、どんなマッサージでも効果があるわけではありません。すべり症は反り腰姿勢になると、骨が余計に前にすべり症状が増悪します。マッサージチェアや道具を使う際は、腰が反っていないかを確認しながら行ってください。マッサージの強さにも注意が必要です。強すぎる刺激は、筋肉が緊張し硬くなり、症状が悪化する可能性があります。腰だけに集中せずに、お尻や足など体全体を気持ち良い程度にマッサージすることをお勧めします。どれほど良いマッサージを行っても、すべり症が完治することはありません。すべり症の根本治療を目指すのであれば、専門医の診察を受け、手術や椎間板治療が必要となります。
参照先
特集『リハ専門医が知っておくべき骨関節の3次元動態』 腰椎の解剖とキネマティクス 松尾 庸平 The Japanese Journal of Rehabilitation Medicine 2016年 53巻10号p.770-773
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この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎すべり症
腰椎すべり症とは背骨が前方や後方にずれてしまう疾患です。腰痛・足の神経障害の他に間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状を引き起こします。