腰椎すべり症の方にとってウォーキングは有効な運動です。筋力や柔軟性を向上させ、血行を促進し、痛みやしびれを軽減する効果があります。道具や場所を選ばずに始められるので気軽に取り組めます。ただし、歩き方と姿勢に関しては注意が必要です。
目次
すべり症にウォーキングは効果的か
- 筋肉量向上
- 血液循環の改善
- 関節可動域の拡大
- 痛みの緩和
すべり症にウォーキングは効果的です。上記のような効果が見込まれます。道具は使いませんし、場所も選びません。どなたでも気軽に始めることが出来ます。歩く距離は無理のない範囲からで問題ありません。痛みやしびれを堪えながら、無理して歩くことは症状悪化に繋がる恐れがあります。また、外を歩くことが難しい場合は、プールウォーキングを推奨しています。転倒をして怪我をする心配もありませんし、全身運動となるのでお近くにプール施設がある方は、是非1度お試しください。
すべり症におすすめの歩き方
- 腰を少し丸くする
- 歩幅は広げすぎない
すべり症におすすめの歩き方については、上記2点を意識してください。腰を少し丸めることにより、神経の通り道が広がり腰の負担が軽減されます。歩幅を広げすぎると、腰が反りやすくなるので、無理に歩幅を広げないようにしてください。
すべり症に悪い歩き方
すべり症に悪い歩き方とは、胸を張って腰を反っている状態です。良い姿勢で歩く意識が強すぎたり、周りの方から「背すじが曲がっているよ」と言われたり原因は様々ですが、間違った「良い姿勢」で歩いている方が多いです。極端に胸を張ることにより、反り腰の状態が出来てしまいます。反り腰になると、神経の通り道は狭くなり症状が出やすくなります。
- お腹を突き出していないか
- 胸を張りすぎていないか
この2点に気を付けてください。該当する場合は、反り腰になっており、良い歩き方とはいえません。
すべり症に悪い歩き方を動画で解説
- お腹を突き出している
- 胸を張りすぎている
この結果、上半身が後ろに倒れすぎており、腰に負担が掛かっています。
すべり症のウォーキングにおすすめするアイテム
- 押し車
- ノルディックポール(左右1本ずつ持つ、ステッキのような杖のこと)
重症の方は、歩くこと自体が難しい場合があります。その場合は、上記のアイテムをお試しください。これらを使うことにより、腰が少し丸くなった姿勢を保つことが出来ます。この姿勢は、神経の通り道が広がり、すべり症や脊柱管狭窄症にとって負担の掛かりにくい姿勢となります。すべり症にとっての良い姿勢とは、腰を反らしたまっすぐな姿勢ではありませんのでご注意ください。
ウォーキング以外のおすすめトレーニング
ウォーキング以外のトレーニングとしては、自転車<エアロバイク>をおすすめします。前述した通り、すべり症には反り腰姿勢での運動は推奨していません。自転車であれば腰に優しい、腰が丸くなった姿勢でのトレーニングが可能です。「筋力をつけたいが歩くと症状が増悪する」といった方にもおすすめです。また、実際に街中を走らなくても、ご自宅でエアロバイクを漕ぐだけでも十分に効果的です。天候や時間に左右されませんので、継続しやすいのではないでしょうか。
メスを使わないすべり症の治療をお探しの方へ
外科手術は、腰椎すべり症に対する根本治療ですがお体への負担は大きくなります。「全身麻酔は怖い」「長期の入院はしたくない」「体にメスを入れたくない」など様々なご意見があるかと思います。当院で行っている、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)はすべり症に対して、日帰りで行える椎間板治療となります。メスを使用しないので、お体の負担は少なくご高齢の方にも治療を受けていただくことが可能です。
すべり症と歩き方についてのまとめ
すべり症の歩き方には注意が必要です。どんな歩き方でも良いわけではありません。
- お腹を突き出している
- 胸を張りすぎている
上記のような姿勢では、反り腰となり、神経の通り道が狭くなることにより症状が出やすくなります。すべり症にとっての良い姿勢とは、腰を反らしたまっすぐな姿勢ではありませんので、ご注意ください。少しでもすべり症の負担を減らすには、下記の2点を意識してください。
- 腰を少し丸くする
- 歩幅は広げすぎない
最少は慣れないと思いますが、少しずつ行ってみてください。また、重症の方で歩くと症状が増悪してしまう場合は、下記のアイテムをお使いください。
- 押し車
- ノルディックポール(左右1本ずつ持つ、ステッキのような杖のこと)
腰を少し丸くする姿勢となることにより、歩きやすくなる場合が多いです。歩くこと以外であれば、自転車<エアロバイク>トレーニングもおすすめしております。ご自身のすべり症に対して、どのような歩き方やトレーニングが効果的なのかは、専門医までご相談ください。レントゲンやMRI検査を行い、まずは腰の椎間板がどのような状態なのかを診察していただくことから始めてみてください。
参照先
総説 腰部脊柱管狭窄症の診断と治療 ―ガイドラインを中心に― 大島 正史,徳橋 泰明 日大医学雑誌 2012年71巻2号p.116-122
引用リンク
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰椎すべり症
腰椎すべり症とは背骨が前方や後方にずれてしまう疾患です。腰痛・足の神経障害の他に間欠性跛行(かんけつせいはこう)の症状を引き起こします。