脊柱管狭窄症は、神経が圧迫されて炎症を起こすことで血流障害を引き起こし、足が冷えやすくなります。冷えにより血液中の酸素や栄養素が不足し、筋肉や神経にダメージを与え、痛みやしびれを悪化させます。冷え対策として、適切な体操を行って筋肉を動かし、血流を改善させることが重要です。
目次
脊柱管狭窄症と足の冷えは関係する?
脊柱管狭窄症は大きく分けて、3つのタイプに分類されます。
- 神経根型……神経根(脊髄から枝分かれする細い神経)が圧迫され、片方のお尻や下肢に痛みやしびれを感じる症状が多いとされています。
- 馬尾型……馬尾神経(脊髄の末端にある細い神経の集まり)が圧迫され、両足のお尻や下肢のしびれ、悪化すると排尿・排便障害もみられます。この場合はすぐに医療機関の受診が必要です。
- 混合型……神経根型と混合型の両方の症状がみられます。
神経が圧迫され炎症が起きることにより、血流障害が生じ足の冷えに繋がります。適切な体操を行い、筋肉を動かし、血流を少しでも改善させる必要があります。
脊柱管狭窄症の足の冷えを予防する体操
- 床に足裏をつけて椅子に座ります
- その状態で足先をグー、パーと動かします
- 1セット10回として、3セット行ってください
ポイント
- 出来るだけ大きくグー、パーと動かしてください
脊柱管狭窄症の足の冷えを予防する体操②
- 椅子に座ります
- 片脚の膝を伸ばします
- その状態で、足首を起こしたり下げたりします
- 1セット10回として、3セット行ってください
ポイント
- 出来るだけ大きく、足首を動かしてください
脊柱管狭窄症と季節は関係する?冬には要注意!?
脊柱管狭窄症と季節は関係があります。特に冬の寒い時期には気を付けてください。寒さにより筋肉が硬くなり、血流障害が起きやすくなります。先ほどお伝えした、体操をしていただくことをお勧めしますが、日常生活でも寒さ対策をしていただければと思います。レッグウォーマーやひざ掛けなどで足を温めてください。特にふくらはぎを温めてください。ふくらはぎは「第二の心臓」とも呼ばれるほど、毛細血管が多い場所です。ふくらはぎを温め、全身の血液循環の改善を目指します。
足の冷えの対策を行っても脊柱管狭窄症が悪化してしまう場合はどうすれば良いか
脊柱管狭窄症と足の冷えには深い関わりがあります。血流が悪くなり、足が冷えてしまうと痛みやしびれが増悪するおそれがあります。そのためには、小まめに体操を行い、足先や足首を動かす必要があります。ご紹介した体操をぜひ行ってみてください。ただ、体操を行っただけですべての脊柱管狭窄症が改善するわけではありません。脊柱管の狭窄具合が重度による場合など、痛みやしびれが変わらない場合もあります。そのような場合は専門の医師にMRI画像を撮影してもらい、診察を受けることをお勧めします。保存療法(投薬やマッサージ)ではなく、外科手術と診断される場合もあると思います。「メスを使用するのが怖い」「家庭の事情で入院することが難しい」と仰る方も多くおられます。NLC野中腰痛クリニックでは、メスを使わずに脊柱管狭窄症の日帰り治療を行うことが出来ます。
足の冷えと脊柱管狭窄症のまとめ
脊柱管狭窄症を改善させるためには、足の冷えの改善も必要です。足先や足首を動かさなければ、血流が悪くなり、足の冷えが増悪します。体操を行う、レッグウォーマーやひざ掛けをするなど血流が悪くならないように工夫することが必要です。特に冬場は血流が悪くなりやすいので、注意が必要です。脊柱管狭窄症の改善のためには、日々の積み重ねが重要です。脊柱管狭窄症を正しく理解し、症状改善に努めていただければと思います。現在の症状に対して、どのような対策をすれば良いのか分からないといった場合は、医師などの専門医にまずはご相談いただくことをお勧めします
参照元
腰部脊柱管狭窄症の下肢循環 帖佐 悦男 田島 直也 川野 桂一郎 三股 恒夫 津曲 孝康 整形外科と災害外科 1987年36巻2号p.471-475
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この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任
腰部脊柱管狭窄症
腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。