脊柱管狭窄症の原因は、加齢や過度な負荷などが挙げられます。特に肥満は腰への負担が大きいので、食事療法でカロリーコントロールし、油物等の高カロリーなものばかり食べてはいけません。また、筋力や柔軟性を保つために適度な運動を行うことが大切です。


目次

脊柱管狭窄症は予防出来るか

脊柱管狭窄症の主な原因は、大きく3つに分けることが出来ます。原因により、日常生活において予防が出来る場合とそうでない場合に分かれます。

先天的要因

生まれながらにして、遺伝的要因により脊柱管(骨のトンネル)が狭い場合があります。(先天性狭窄)また、成長期になっても脊柱管が広がらない場合もあります。(発育性狭窄)このような場合は、日常での予防は難しくなります。原因としては比較的まれです。

後天的要因

加齢や無理な動作などが原因により、脊柱管の中にある靭帯が太くなり症状が発生する場合があります。このような場合は、日常での予防は可能です。原因としては一番多いものとなります。 40歳代から始まり、60歳以降の方に多いです。

その他

過去に脊椎の外科手術を行った場合や、交通事故等での外傷が原因となり脊柱管が細くなる場合があります。このような場合は、日常での予防は難しくなります。年齢は関係なく、比較的まれです。


脊柱管狭窄症の予防にはどのようなことが必要か

脊柱管狭窄症は、姿勢によって症状が出たり出なかったりするものです。腰を反らす姿勢は、脊柱管が狭くなり症状が出やすい姿勢です。反対に、腰を丸めるような姿勢は脊柱管が広くなり、症状が緩和しやすくなります。脊柱管狭窄症の方が、自転車に乗ったり、スーパーのカートや押し車を使用すると症状が出ないと仰るのもこのような理由が考えられます。このようなことから、脊柱管狭窄症の予防には腰を反らない姿勢をいかに作るかがポイントと言えます。そのためには、食事と体操が非常に重要です。


脊柱管狭窄症と食事について

お腹に脂肪がついてしまうと、重心は前に傾きます。前重心になると体が倒れてしまうので、腰を反ることにより体のバランスを取ろうとします。このことから分かるように、肥満体系と脊柱管狭窄症の症状は関係が深いです。高カロリーの食事は避け、バランスの良い食事を摂取することが重要となります。

また、脊柱管の不安定性が狭窄を進行させてしまうケースもあります。骨を強くし脊柱管を安定させることも大切です。 脊柱管狭窄症と骨粗鬆症を患っている方も多くおられます。

脊柱管狭窄症の予防に効果的な食事について

高カロリーのものを食べすぎることは避けるべきです。ラーメン(470kcal)、カレーライス(859kcal)、カツ丼(922kcal)、ショートケーキ(366kcal)など普段から食べるものでも高カロリーのものはたくさんあります。 1日の摂取カロリーの目安は、活動量の少ない成人女性で1400-2000kcal、男性では2200±200と言われています。上記の食べものがどれだけ高カロリーか分かると思います。

また、骨を強くするにはカルシウム、ビタミンD,ビタミンKが必要です。カルシウムは乳製品、小魚、大豆製品に多く含まれています。ビタミンDは魚類、干ししいたけ、きくらげに多く含まれます。ビタミンKは緑黄色野菜、キムチ、納豆に多く含まれます。少しずつで良いので、上記の食品の摂取を心がけてみてください。また、日光浴はビタミンDの産生を促すと言われています。季節にもよりますが、30分ほどでも効果的と言われています。


脊柱管狭窄症と体操について

先述した通り、腰が反ってしまうと脊柱管は狭くなります。腰を丸める動きを取り入れることは、非常に効果的です。 ただそのためには、骨盤をコントロールする筋肉の柔軟性が必要となります。最初は難しいですが、練習すれば出来るようになります。一度チャレンジしてみてください。

脊柱管狭窄症の予防に効果的な体操について

  1. 骨盤を立てて座ります
  2. おへそを覗き込むように腰を丸めます
  3. 5秒キープして、姿勢を元に戻します
  4. この動きを1セット10回、1日2,3セット行います

脊柱管狭窄症の予防をしているが、症状が進行してしまっている場合

椎間板の損傷が重度の場合や、脊柱管の中の靭帯が太くなってしまっている場合などは食事や体操では予防しきれないこともあります。椎間板や靭帯の状態、脊柱管の広さは、整体などでは判断できません。MRI画像を撮影し、専門家である医師の診察を受けることをお勧めします。


脊柱管狭窄症の予防に効果的な食事、体操のまとめ

脊柱管狭窄症を予防するには、まずは日常で出来ることから始めてみましょう。食事においては、高カロリーのものは避けて、肥満体系にならないように気をつけます。また、骨を丈夫にして脊柱管を安定させることも重要です。ビタミンなどの摂取も心がけましょう。体操については、腰を丸める動きが効果的です。そのためには、骨盤をコントロールする筋肉の柔軟性が必要です。ご紹介した、脊柱管狭窄症に特化した予防体操をぜひ行ってください。

脊柱管狭窄症には、症状が悪化する前の予防が非常に重要です。予防を行っても症状が進行する場合には、MRI画像を撮影し、医師の診察を受けることをお勧めします。


参照元

食事と運動による骨粗しょう症の予防-大豆イソフラボンを中心に-石見 佳子-2008年46巻12号P.872-878
一日に必要なエネルギー量と摂取の目安-農林水産省-2023.03.31
日光浴はどのくらい必要?-公益財団法人骨粗鬆症財団-2023.03.31

引用リンク

食事と運動による骨粗しょう症の予防-大豆イソフラボンを中心に
一日に必要なエネルギー量と摂取の目安
日光浴はどのくらい必要?

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任


腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症

腰部脊柱管狭窄症とは背骨にある神経の通り道「脊柱管」が狭くなる疾患です。腰痛、足の神経障害や歩行困難などの症状を引き起こします。