膝の痛みは椎間板ヘルニアが原因？

はじめに

先日、60代のインドネシア人男性患者様が腰と膝の痛みを訴えて来院しました。事前の遠隔画像診断において、腰椎の椎間板変性とヘルニア4箇所が認められたので当日治療を致しました。治療後診察で患者様に「腰と膝が離れているのに、椎間板を治療することで膝も治るものですか？」と聞かれました。
本日は、この質問に答えたいと思います。

結論

腰と膝は坐骨神経で繋がっています。つまり、坐骨神経痛を引き起こす原因に対し治療することで、膝の痛みや痺れ等の症状は緩和する可能性があります。

坐骨神経とは

坐骨神経は腰椎4番目と5番目の神経と仙骨の前面から出ており、足の指先まで伸びている人体の中で最も大きい神経です。坐骨神経は、椎間板に圧迫などによる損傷を受けると腰や臀部から下肢に痺れや疼痛のような症状が出ます。（坐骨神経痛）
ほとんどの場合は、痛みは片方の脚に出るため、両足に症状が同時に出ることはありません。

セルフケア

病院や専門の医療機関での受診をおすすめしますが、日常生活では以下のような点を意識してみてください。

• 正しい姿勢を保つよう心がける
• 座った際には体重が左右のおしりへ均等にかかるようにする
• 長時間、同じ姿勢をとらないよう留意する
• デスクワークでは、こまめに休憩してストレッチを行う
• 重いものをできるだけ持たないようにする
• 冷えないように注意する
• 毎日ぬるめのお湯にじっくり浸かって、身体を芯まで温める
• 毎日軽い運動を行う
• 坐骨神経痛の原因が椎間板ヘルニアの場合の治療法

まとめ

多くの方は膝の痛みがあると膝関節の問題によるものだと思い込みます。しかし、必ずしもそうではありません。椎間板ヘルニアによる神経の圧迫が原因の坐骨神経痛である可能性もあります。上記の症状が出た場合は、専門医に相談することをお勧めします。

参考文献参照元

①Association between knee pain and low back pain - 2015 - Mohammad Rahbar, Mohammad Shimia, Vahideh Toopchizadeh, Masud Abed - Journal of Pakistan Medical Association (VOLUME 65, ISSUE 6, P626-31)
②Intractable Knee Pain Caused by Foraminal Disc Herniation at the L3-4 Level - 2017 - Dong Yeob Lee, Hoon Jae Chung - Asian Journal of Pain (VOLUME 3, ISSUE 2, P29-31)
③Knee Pain and Low Back Pain Additively Disturb Sleep in the General Population: A Cross-Sectional Analysis of the Nagahama Study - 2015 - Kimihiko Murase, Yasuharu Tabara, Hiromu Ito, Masahiko Kobayashi, Yoshimitsu Takahashi, Kazuya Setoh, Takahisa Kawaguchi, Shigeo Muro, Hiroshi Kadotani, Shinji Kosugi, Akihiro Sekine, Ryo Yamada, Takeo Nakayama, Michiaki Mishima, Shuichi Matsuda, Fumihiko Matsuda, Kazuo Chin - PLOS ONE (October 7)

参考文献のリンク

①Association between knee pain and low back pain
②Intractable Knee Pain Caused by Foraminal Disc Herniation at the L3-4 Level
③Knee Pain and Low Back Pain Additively Disturb Sleep in the General Population: A Cross-Sectional Analysis of the Nagahama Study