概略

サイクリングは筋肉を強化し、柔軟性を向上させ、背骨へのストレスを軽減します。他の運動に比べて膝や背骨への負担が少ないので、腰痛に悩んでおられる方に適しています。


腰痛や脊柱管狭窄症にサイクリングは有効なのか? 序論

目次

はじめに 膝に優しいサイクリングで腰痛改善が可能?

この間、60代の女性患者様に腰痛のきっかけをお伺いしたところ、「膝の痛みでウォーキングを諦めてから3年の間に、何の前触れもなく徐々に腰痛が出てきたんです。」と悲しそうにお答えいただきました。また、「先生、膝に優しいサイクリングを始めたいと思うのですが、腰痛改善に効果がありますか?」と聞かれました。
本日は、こちらの質問にお答えしたいと思います。


結論 腰に負担の少ないサイクリングだからこそ運動に最適

サイクリングはウォーキングやジョギングなど、他の運動に比べて背骨への負担が少ないので腰痛に悩んでおられる方に適していると考えられます。


サイクリングが筋肉や柔軟性に効果的

腰痛でお悩みの多くの方は、その痛みの所為で運動ができず、体力や筋力が低下しています。その中でサイクリングは、筋肉の強さと柔軟性を高めながら、健康を促進する低負荷の運動です。繰り返す動きが必要ですが、膝やその他の関節は驚くほど楽です。

サイクリングで足腰の筋肉を鍛えるポイント

サイクリングで足腰の筋肉を鍛えて、腰痛の改善・予防することが研究により立証されておりますが、その際、姿勢や乗っている時間に気を付けるなど注意ポイントがあります。

  • 他の運動と同様に、ウォーミングアップとストレッチを忘れないでください。
  • 脊柱管狭窄症等の腰痛をお持ちの方は、自転車に前傾姿勢で乗ると身体が楽に感じると思いますので、リクライニングができるエアロバイクでの運動をおすすめします。
  • 長時間同じ姿勢を続けると背骨にストレスがかかり、痛みにつながる可能性があります。そうならないよう定期的に上半身を動かしたり、バイクから降りて休憩を取ったりしてください。

脊柱管狭窄症の方はエアロバイクがおすすめ

脊柱管狭窄症はサイクリング効果で痛みが軽減されることがあります。脊柱管狭窄症の場合、腰を曲げると痛みが楽になります。
そのためエアロバイクでの運動方法は相性が良く、腰への負担も軽減されるためおすすめです。
エアロバイクをすぐに用意できないという方は日常的に自転車を漕ぐようにしてみてください。


【まとめ】継続的なサイクリングが腰痛改善に効果的

腰痛が改善しているかどうかに関わらず、有酸素運動を持続的に行うことが大切です。屋内、屋外のサイクリングはどちらも腰や身体に良いと思われますが、お年を召された方、深刻な病状がある方は、ご自身のペースでエアロバイクに乗ることをおすすめします。エアロバイクは、はほとんどの方にとって安全ですが、心臓に不安がある方は必ず医師にご相談の上、始めてください。

腰痛や脊柱管狭窄症にサイクリングは有効なのか? 結論

参考文献参照元

①Recreational cyclists: The relationship between low back pain and training characteristics - 2010 - SAMANTHA J. SCHULTZ and SUSAN J. GORDON - International Journal of Exercise Science (VOLUME 3, ISSUE 3, P79-85)
②Which physical activities and sports can be recommended to chronic low back pain patients after rehabilitation? - 2013 - A.Ribauda, I.Tavaresa, E.Violletb, M.Juliaac, C.Hérissonac, A.Dupeyronbc - Annals of Physical and Rehabilitation Medicine (VOLUME 56, ISSUE 7-8, P576-594)
③LOW BACK PAIN IN CYCLING: DOES IT MATTER HOW YOU SIT? - 2014 - W van Hoof, K Volkaerts, K O'Sullivan, B Malfait, S Verschueren, W Dankaerts - British Journal of Sports (VOLUME 48, ISSUE 7, P134)
④Low back pain and muscle fatigue due to road cycling --An sEMG study - 2007 - J. Srinivasan, Venkatesh Balasubramanian - EXERCISE PHYSIOLOGY (VOLUME 11, ISSUE 3, P260-266)

参考文献のリンク

Recreational cyclists: The relationship between low back pain and training characteristics
Which physical activities and sports can be recommended to chronic low back pain patients after rehabilitation?
LOW BACK PAIN IN CYCLING: DOES IT MATTER HOW YOU SIT?
Low back pain and muscle fatigue due to road cycling—An sEMG study

この記事の著者

医療法人蒼優会理事長・NLC野中腰痛クリニック院長:野中康行

医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行

2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任