概略
歩行は理学療法と同様に、腰痛を改善・予防すると共に健康的なライフスタイルを送れるというメリットがあります。歩行は筋肉を強化し、血行を改善して痛みを和らげるだけでなく、血圧を下げたり脳や免疫系の機能を高め、ストレスを軽減する効果が有ります。
目次
散歩(ウォーキング)は腰痛の改善に効果的?
先日、60代の女性患者様から「先生、身体を鍛えたら腰痛が改善すると耳にしますが、私みたいに子供の頃から体育が苦手で散歩ぐらいしかできない人はどうすればいいですか?」と意見を求められました。本日は、このご質問についてお答えしたいと思います。
適度な散歩(ウォーキング)は腰痛改善や予防に効果的
適度なウォーキングが腰痛改善・予防に効果的であることが科学的に証明されています。
散歩(ウォーキング)が腰痛改善に有効である科学的根拠
Clinical Rehabilitation誌に掲載されたテルアビブ大学医学部の調査によりますと、簡単な有酸素運動のウォーキングは、リハビリ施設等で使用される筋肉強化マシンを使ったプログラムと同じくらい腰痛緩和に有効であると報告されました。腰痛患者52名をランダムにグループ分けをその効果を検証した結果になります。一般的なクリニックで行われる筋力強化プログラムを週2~3回6週間受けたグループと有酸素運動ウォーキングプログラムを週2~3回6週間受けたグループの2つに分け実験を行ったところ、両グループともに各評価項目で改善が見られたことからウォーキングプログラムが「クリニックで受けられるプログラムと同等の効果がある」と証明されています。
効果的に散歩(ウォーキング)をするために
ご自身の身体の状態に合わせて無理のない範囲で以下の点を意識して取り組んでみてください。
- 毎日5~10分の短時間のウォーキングから始め、徐々にペースを上げていきましょう。
- 通常のウォーキングが苦痛な場合は、浅いプールの中でウォーキングをしてみてください。水の浮力でウォーキングが続けやすい体勢が維持しやすくなります。
- ウォーキング中は常に正しい姿勢で、背骨が自然に曲がるようにします。肩の力を抜いて、頭は背骨の上にバランスよく乗せましょう。(※前屈みにならないように)
NLC野中腰痛クリニックによる腰椎椎間板ヘルニアの治療実績
当院における腰椎椎間板ヘルニアの治療実績をご紹介します。腰部脊柱管狭窄症と併発するケースも多く、また坐骨神経痛などの症状もみられます。当院の腰椎椎間板ヘルニアの治療実績はこちらをご覧ください。
NLC野中腰痛クリニックの日帰り腰痛治療の実績は、6,358件(集計期間:2018年6月~2024年10月)
椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症による間欠性跛行で難儀されている患者さまです。検査をしたところ、椎間板がほとんど潰れてしまっている状態でしたが、ディスクシール治療(Discseel® Procedure)を行うことで椎間板の修復と症状改善を図りました。
【まとめ】散歩(ウォーキング)は腰痛に効果がありますか?
ウォーキングには、腰痛を改善・予防すると共に、患者さんがより健康的なライフスタイルを送れるというメリットがあります。定期的に運動している人は、ウォーキングという負荷の少ない運動を通じて血圧を下げ、脳や免疫系の機能を高め、ストレスを軽減する効果が有ります。しかし高血圧や糖尿病のある方は注意が必要ですので、事前に医師や理学療法士に相談してから無理のない範囲で身体を動かすようにすることをお勧めします。
参考文献参照元
①An aerobic walking programme versus muscle strengthening programme for chronic low back pain: a randomized controlled trial - 2012 - Ilana Shnayderman, Michal Katz-Leurer - Clinical Rehabilitation (VOLUME 27, ISSUE 3, P207-214)
②The treatment of acute low back pain--bed rest, exercises, or ordinary activity? - 1995 - A Malmivaara, U Häkkinen, T Aro, M L Heinrichs, L Koskenniemi, E Kuosma, S Lappi, R Paloheimo, C Servo, V Vaaranen, et al. - The New England Journal of Medicine (VOLUME 332, ISSUE 6, P351-355)
③Does walking improve disability status, function, or quality of life in adults with chronic low back pain? A systematic review - 2016 - Belinda J Lawford, Julie Walters, Katia Ferrar - Clinical Rehabilitation (VOLUME 30, ISSUE 6, P523-536)
④Walking Exercise for Chronic Musculoskeletal Pain: Systematic Review and Meta-Analysis - 2015 - Seán R O'Connor, Mark A Tully, Brigid Ryan, Chris M Bleakley, George D Baxter, Judy M Bradley, Suzanne M McDonough - Archives of Physical Medicine and Rehabilitation (VOLUME 96, ISSUE 4, P724-734)
⑤Guidelines for the prevention of low back pain - 2007 - Yigal Mirovsky - Harefuah (VOLUME 146, ISSUE 4, P272-273)
参考文献のリンク
①An aerobic walking programme versus muscle strengthening programme for chronic low back pain: a randomized controlled trial
②The treatment of acute low back pain--bed rest, exercises, or ordinary activity?
③Does walking improve disability status, function, or quality of life in adults with chronic low back pain? A systematic review
④Walking Exercise for Chronic Musculoskeletal Pain: Systematic Review and Meta-Analysis
⑤Guidelines for the prevention of low back pain
この記事の著者
医療法人蒼優会 理事長
NLC野中腰痛クリニック 院長野中 康行
2002年:川崎医科大学卒業・医師免許取得、2006年:神鋼加古川病院(現加古川中央市民病院)勤務、2011年:医療法人青心会郡山青藍病院(麻酔科・腰痛外来・救急科)勤務・医療法人青心会理事就任、2018年:ILC国際腰痛クリニック開設、2020年:医療法人康俊会開設・理事長就任、2021年:NLC野中腰痛クリニック開設、2023年:医療法人蒼優会開設・理事長就任